青い華が選んだのは。

さん。

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推しと同じ時代でした。

【閑話】魚が食べたい。・ナル・

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ナル・ラズリ5歳。

ある日の午後。


「ねーねー、ラピス~」

私の髪を色々アレンジして
楽しんでいるラピスは、

「ん~?どうした~?」

手を動かしながら、

ふんふんふふん~♪ふん♪

と鼻唄混じりに答える。


どうやらご機嫌みたいね・・・
わたしは、にやりと微笑み、
 

「ナルは、お魚が食べたいです」


と、上目遣いでラピスをみた。


ラピスは、一瞬ぴくっとなる。


「サカナナニソレ」と


あからさまに視線を逸らした。



「やっぱり・・・」

私は1人納得した。


この世界に転生して5年。
私は一度も魚を食べていない。


最初はこの世界に魚なんて
存在しないんだな~~と、
思っていたのだが、
最近このジェム国の地図を見た時に、


なタンザナイトという都市があったのを思い出したのだ。


あるじゃん魚。
盛んじゃん、タンザナイト。


タンザナイトに魚が存在しているって事は少なからず、ジェム国では流通していると考えるのが普通だろう。


私が来てからは、
裏都市ラピスラズリで採れる食材以外は、クオーツが持って来てくれたり、商人のおじさんが魔法石のお礼といって置いていってくれたりする。


でも、今まで頂いた食材の中に
一度も魚を見た事がない。


つまり、はじめから魚を除くように誰かが指示していると考えられる。


そんな事できるのラピスしかいない。



「ラピス、魚嫌いなの?」


わたしが聞くと


ラピスは案の定、


「・・・(コクリ)」


と、うなづいた。


「なんで??」

お肉よりヘルシーで、
タンパク質だよ!
味が苦手とか・・・・?


「み、見た目がキモいじゃん・・・」


どもりながら、
ラピスは口を尖らせた。


待って・・・・
「見た目がキモいじゃん・・・」だと………???


乙女かっ!!

いや、乙女だった!!


というかそんな理由で食べてなかったんかーーーい!!!

「ナ、ナル・・・?」


私は、ふらりと立ち上がると
ラピスの呼びかけを無視して
自分の部屋に戻った。



ガサゴソ
ガサゴソ
ガサゴソッ




「よしっ」



準備完了だ。


-----------





「ナル、どこ行くの・・・?」



ラピスがオロオロしながら聞いてくる。



私は光ランプを手に持ち、


「ちょっとラピスの泉まで行ってくる」

と言った。


「ラピスの泉?!」

「どうやって行くつもり?!」

「人間には辿りつけないよ?!」

「てか、なんで泉の事知ってるの!!」


ラピスがワタワタし始めた。


「ラピスの泉の事は、
クオーツさんが教えてくれたんだよ。
行き方もその時に聞いた!」


私が答えると、

「あいつっっっ!!!」

ラピスが憎々しげな顔で、
顔を真っ赤にしている。


「それなら、マーナを見つける事が人間には出来ない事も分かるだろうっっっ?!」


ラピスが私の前に立ち、通せんぼをした。


私はにやりと笑うと


「探知」


と呟いた。



ふむふむ、なるほど。



「ラピス、私に内緒で部屋で
育ててない??」



私が言うと、

ラピスは思いっきり


「えっ?!?!?!」といった。


ビンゴだ。


「何、育ててるの?」


生命反応的に小さい人みたいな・・・
小人???


私がラピスを見つめると


「うううう、ナルが迷子になってもいいように、私の分身を・・・・・作ろうと思って・・・」

ラピスは弱々しく呟いた。


え。

どうゆう事?!?!


私は、急いでラピスの部屋に向かうと
生命反応があった場所を見る。


「植木鉢に何か埋まって・・・て頭っ?!?!」


花を育てるような小さい植木鉢に、
人(小人)の頭が埋まっている。
頭には青いお花が咲いている。



なんだコレは?!?!



「一応、精霊だから!
動き出すにはまだ3年位かかるんだけど・・・。今は養分を吸収してる途中だから!」

ラピスはそういうと、
精霊の頭に水をかけた。
頭がぴょこぴょこ揺れた。

ちょっと可愛い・・・

「精霊って作れるんだ・・・・
でも、どうして私にこの子は見えるの??」


人間には精霊が見えないはず・・・・


「言ったじゃん。ナルの居場所がいつでも分かるように私の分身を作るって。
この子はナルの髪の毛と私の精霊主の力が媒体になっているの。」


私の髪の毛???!!!
いつの間に???!!

「ナルの髪の毛を使っているから、本人にも見えるってわけ。この子が動き出したら、媒体を通してナルの様子が分かるし、ナルが危険な時はラピスに教えてくれるってわけ」

ラピスがドヤ顔で胸を張っている。


・・・て、

それって、
前世でいう、GPSじゃない!!


むしろ親が防犯ブザーを子供に渡す感覚で精霊つくってる!!


私が呆気にとられてると、


「それより、さっきの「探知」ってなんだ!!!ラ、ラピス知らない!!聞いてない!!!」


ラピスが、プルプルしている。


あ、そっか、言ってなかった。

「クオーツさんが、
「ラピスがよく居留守使うから、どこに居るのか見つけるためにはどうしたらいいかって100年考えてたらいつの間にかできるようになった~~ナルちゃんも覚えてたら便利だよ~♪」
て教えてくれたの。
出来るようになったのは最近だけど・・・クオーツさんに氷魔法より飲み込みが早いって言われたよ!!」

今度は私が胸を張る。

「何か探したいものでもあるの~?」て聞かれたけど、ソウを探すために使えるかもしれないから、凄い頑張ったとは口が裂けても言えなかったけど!!!

「さすがナル!!!
・・・って、あいつクオーツーーー!!!そんな物覚えていたのか!!!どうりでここ最近、的確にラピスの場所に来やがるって思ってたけどそう言う事だったのか!!!」


やばっ、この話内緒だった!!
ごめんなさい、クオーツさん・・・


心の中でクオーツさんに謝ると、

「じゃ、出かけてきまーす」


私は、まだプリプリ怒っているラピスに声をかけると玄関に向かった。

ちゃんと聞こえたかな??


まぁ、いいやっ、

目的は魚だ。

泉にたくさん居るといいなあ。

ナルはるんるんとした足取りでラピスの泉に向かった。


この時の彼女はまだ知らない。



ラピスの泉に全く魚がいない事、



「探知」魔法が使えるのが、
この世界にクオーツと自分の2人だけと言う事を。









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