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通常は出身地、髪の色、睛の色などを細かく記載されているものだが、年齢は十七歳でヒロセと同い年。性別は男だということ以外何も分からない。友人リストに誰もいない。まだSNSをはじめたばかりなのかも?
画面を見つめたまま、コンタクトを取ることにした。どうせ辞めることにしていたんだから、ついでに声を掛けてからでも悪くないか、という軽い気持ちで。
ビデオチヤットで対面式の会話をするのが常だが、当人もあまり顔を晒したくないのではないか?という配慮から、それはやめた。
プロフィール名前がホームとして存在し、赤く点滅表示されているので、彼は今、パソコンの前にいるらしい。
早速文章を打ち込み、呼びかけてみる。
__________初めまして、プロフィールを拝見しました。ヒロセ・タカナシと申します。少し話がしたいのですが、今時間ありますか?
少し畏まりすぎたかな、と思いつつも、初対面の人間に声を掛けるなら、マナーとしてはこんなものだろうと思った。
ややあって、反応が返る。
____________はじめまして、カズヤ・ハギワラと申します。
プロフィールを読んでいただきありがとうございます。
はじめてsnsを利用するので、こういう場は慣れていないので、もしも失礼があったらすみません。
声を掛けてもらったのが今回はじめてで、とてもうれしいです。
せひ話をしましょう。時間はたくさんあるので、喜んで。
どういう経緯でカズヤ・ハギワラはここにいるのだろう?
気になって、まず、SNSを利用してみようかと思ったのはなぜ?と質問してみる。
________俺、学校に行っていなくて。SNSでみんなやりとりしていて、みんな友達がいて、楽しそうだったから、俺も参加してみたいなーって思っていて。きみは?
「俺は、学校のカリキュラムで義務づけられているからかな」
_________え、どういうこと、それ?
「高校の途中から通信制に切り替わって、通学しない代わりにオンラインで授業受けることが決まって、SNSで友達を作らなければいけなくなって。それらは通知表の点数に加算されて総合評価に繋がる」
________そうか、そうだよね…………。
ショックを受けているのか、カズヤは閉口する。
そうでもないと自分は相手にされないと思ってしまったのだろうか。
そう思われてはまずいと、すぐに。
「でも、もう卒業までもうわずかだよ」
点数稼ぎのためにやっているんじゃないよとアピールしておく。
「大学もすでに推薦で決まっているし、今さら内申書の点数を上げたところで意味がないんだ」
_______え、それじゃあ…………。
「大学に進学したらオンライン講義とレポート提出だけで、卒業できるみたいだ」
だから、SNSで友達を作る必要はもうない。と伝えた。
それを聞くとカズヤはすっかり安心したようだ。
________ねぇ、学校ってどんなところで、どんなことをしていたの?
「集団生活の場所だったよ。授業を受けたり、部活動をしたりして。いろいろなことがあったな」
______もちろん、友達もいたよね。そこで。
「ああ、そうだな」とヒロセは一応返事してみる。
______学校生活が終わって寂しくなったんじゃないのかな。友達と会えなくなって。
「そんなこともないよ。気楽なもんだよ」
一瞬、高校生活を思い起こしてみる。
薄情な奴だと思われるだろうか。誰の顔も思い出さない。
ふいに可笑しさがこみ上げてくる。
何、どうしたの?と怪訝なカズヤの問い。
画面の向こうで相手が急に笑い出したことなど気付きもしないだろう。
何でもないよと、すぐに答える。
「それより、きみのことがもっと知りたい」
画面を見つめたまま、コンタクトを取ることにした。どうせ辞めることにしていたんだから、ついでに声を掛けてからでも悪くないか、という軽い気持ちで。
ビデオチヤットで対面式の会話をするのが常だが、当人もあまり顔を晒したくないのではないか?という配慮から、それはやめた。
プロフィール名前がホームとして存在し、赤く点滅表示されているので、彼は今、パソコンの前にいるらしい。
早速文章を打ち込み、呼びかけてみる。
__________初めまして、プロフィールを拝見しました。ヒロセ・タカナシと申します。少し話がしたいのですが、今時間ありますか?
少し畏まりすぎたかな、と思いつつも、初対面の人間に声を掛けるなら、マナーとしてはこんなものだろうと思った。
ややあって、反応が返る。
____________はじめまして、カズヤ・ハギワラと申します。
プロフィールを読んでいただきありがとうございます。
はじめてsnsを利用するので、こういう場は慣れていないので、もしも失礼があったらすみません。
声を掛けてもらったのが今回はじめてで、とてもうれしいです。
せひ話をしましょう。時間はたくさんあるので、喜んで。
どういう経緯でカズヤ・ハギワラはここにいるのだろう?
気になって、まず、SNSを利用してみようかと思ったのはなぜ?と質問してみる。
________俺、学校に行っていなくて。SNSでみんなやりとりしていて、みんな友達がいて、楽しそうだったから、俺も参加してみたいなーって思っていて。きみは?
「俺は、学校のカリキュラムで義務づけられているからかな」
_________え、どういうこと、それ?
「高校の途中から通信制に切り替わって、通学しない代わりにオンラインで授業受けることが決まって、SNSで友達を作らなければいけなくなって。それらは通知表の点数に加算されて総合評価に繋がる」
________そうか、そうだよね…………。
ショックを受けているのか、カズヤは閉口する。
そうでもないと自分は相手にされないと思ってしまったのだろうか。
そう思われてはまずいと、すぐに。
「でも、もう卒業までもうわずかだよ」
点数稼ぎのためにやっているんじゃないよとアピールしておく。
「大学もすでに推薦で決まっているし、今さら内申書の点数を上げたところで意味がないんだ」
_______え、それじゃあ…………。
「大学に進学したらオンライン講義とレポート提出だけで、卒業できるみたいだ」
だから、SNSで友達を作る必要はもうない。と伝えた。
それを聞くとカズヤはすっかり安心したようだ。
________ねぇ、学校ってどんなところで、どんなことをしていたの?
「集団生活の場所だったよ。授業を受けたり、部活動をしたりして。いろいろなことがあったな」
______もちろん、友達もいたよね。そこで。
「ああ、そうだな」とヒロセは一応返事してみる。
______学校生活が終わって寂しくなったんじゃないのかな。友達と会えなくなって。
「そんなこともないよ。気楽なもんだよ」
一瞬、高校生活を思い起こしてみる。
薄情な奴だと思われるだろうか。誰の顔も思い出さない。
ふいに可笑しさがこみ上げてくる。
何、どうしたの?と怪訝なカズヤの問い。
画面の向こうで相手が急に笑い出したことなど気付きもしないだろう。
何でもないよと、すぐに答える。
「それより、きみのことがもっと知りたい」
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