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真の災難
ゲームのキャラに恋するのは規約違反ですか? 49
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「なに……これ」
大きさから考えても自然に出来たなんて考えられない。でも、この気持ち悪いほどの生々しさは生き物にしか出せない味わいだ。
「これはシザーマンティスの卵じゃないのか?」
コルテが口にした「シザーマンティス」というのは、イリス・オンラインに出現するカマキリ型のモンスターの名前だ。レベルはコルテよりも30ほど低い。こいつを狩ってレベル上げをしていた時期もあったが、こいつらよりもレベルが上がったときには別の狩り場に移動していた。コルテにとっては通過点でしかなかった雑魚モンスター。でも、それはコルテにとってであって、私はもちろん、この世界にいるほとんどの人が倒せるわけがない。そんな事実を信じることなんて、出来はしない。
「本当にそうなの? 確証は?」
「確証はない。この世界だとゲームのシステム表示が一切ないから。でも、これは間違いなくモンスターだ。俺の本能がそう言っている」
そう言われても、信じれるわけがない。
ゲームの世界から現実世界にモンスターが迷い込むなんてそんなのは……。
「あり得ない」
「あり得ないなんてことはないさ。俺があり得ているんだ」
モンスターではないが、コルテはゲームの世界にいる住人だ。そのコルテがいるのだから、モンスターだけが例外的に来るはずがないとは言えない。
「あれだけモンスターはいないって聞いていたけど、これがあるってことはモンスターもいるってことだよな」
嬉しそうなコルテを否定することは出来ない。でも、なんだか悔しいから、屁理屈で対抗しよう。
「で、でも、これは卵でまだモンスターじゃないからセーフ!」
「じゃあ、孵化するまで待つか。懐かしいな。こいつらでレベル上げをしていたときは卵を壊さずにどうやって効率よくカマキリだけを倒すかとか考えてたからな」
しみじみと思い出に浸っているコルテだが、同じ思いでを共有している私はそれどころではない。
「孵化とかだめよ! 倒せるなら卵の内に処理しておかないと危ないでしょ」
「俺のレベルをいくつだと思っているんだ。シザーマンティスなんて敵じゃないよ」
「コルテはそうかもしれないけど、他の人はそうじゃないの」
「そりゃあ、NPCっていうのは攻撃手段なんて」
「NPCじゃない。全員、レベル1のプレイヤーなの。考えてもみて、初心者の町にシザーマンティスなんて高レベルのモンスターが進入してきたらどうなるか」
私の説得で、現実世界にモンスターが現れるのがどんな危機的状況なのか理解してくれた。
「なるほど。この世界の違和感はそれか。玲だって強いはずなのに、武器や防具を一切持っていない。そもそも、戦う必要がないってことか。なるほどな。やっとこのマップを理解したよ。つまり、これはどれだけ人を守れるかという防衛戦ってわけだな」
「そうだけど……どこまでもゲーム脳」
ゲーム感覚というのが不安だが、やってくれるのなら文句はない。
「じゃあ、卵を壊すために武器と防具を出すけど、いいんだよな?」
「もちろん」
「よかった。倒し方を悩まずにすみそうだ」
まさかとは思うが、素手でどうにかしようとしていたのだろうか。
「この時を二日待った。やっと、俺の出番だ! シェイプチェンジ!」
コルテの体は目映い光に包まれた。
大きさから考えても自然に出来たなんて考えられない。でも、この気持ち悪いほどの生々しさは生き物にしか出せない味わいだ。
「これはシザーマンティスの卵じゃないのか?」
コルテが口にした「シザーマンティス」というのは、イリス・オンラインに出現するカマキリ型のモンスターの名前だ。レベルはコルテよりも30ほど低い。こいつを狩ってレベル上げをしていた時期もあったが、こいつらよりもレベルが上がったときには別の狩り場に移動していた。コルテにとっては通過点でしかなかった雑魚モンスター。でも、それはコルテにとってであって、私はもちろん、この世界にいるほとんどの人が倒せるわけがない。そんな事実を信じることなんて、出来はしない。
「本当にそうなの? 確証は?」
「確証はない。この世界だとゲームのシステム表示が一切ないから。でも、これは間違いなくモンスターだ。俺の本能がそう言っている」
そう言われても、信じれるわけがない。
ゲームの世界から現実世界にモンスターが迷い込むなんてそんなのは……。
「あり得ない」
「あり得ないなんてことはないさ。俺があり得ているんだ」
モンスターではないが、コルテはゲームの世界にいる住人だ。そのコルテがいるのだから、モンスターだけが例外的に来るはずがないとは言えない。
「あれだけモンスターはいないって聞いていたけど、これがあるってことはモンスターもいるってことだよな」
嬉しそうなコルテを否定することは出来ない。でも、なんだか悔しいから、屁理屈で対抗しよう。
「で、でも、これは卵でまだモンスターじゃないからセーフ!」
「じゃあ、孵化するまで待つか。懐かしいな。こいつらでレベル上げをしていたときは卵を壊さずにどうやって効率よくカマキリだけを倒すかとか考えてたからな」
しみじみと思い出に浸っているコルテだが、同じ思いでを共有している私はそれどころではない。
「孵化とかだめよ! 倒せるなら卵の内に処理しておかないと危ないでしょ」
「俺のレベルをいくつだと思っているんだ。シザーマンティスなんて敵じゃないよ」
「コルテはそうかもしれないけど、他の人はそうじゃないの」
「そりゃあ、NPCっていうのは攻撃手段なんて」
「NPCじゃない。全員、レベル1のプレイヤーなの。考えてもみて、初心者の町にシザーマンティスなんて高レベルのモンスターが進入してきたらどうなるか」
私の説得で、現実世界にモンスターが現れるのがどんな危機的状況なのか理解してくれた。
「なるほど。この世界の違和感はそれか。玲だって強いはずなのに、武器や防具を一切持っていない。そもそも、戦う必要がないってことか。なるほどな。やっとこのマップを理解したよ。つまり、これはどれだけ人を守れるかという防衛戦ってわけだな」
「そうだけど……どこまでもゲーム脳」
ゲーム感覚というのが不安だが、やってくれるのなら文句はない。
「じゃあ、卵を壊すために武器と防具を出すけど、いいんだよな?」
「もちろん」
「よかった。倒し方を悩まずにすみそうだ」
まさかとは思うが、素手でどうにかしようとしていたのだろうか。
「この時を二日待った。やっと、俺の出番だ! シェイプチェンジ!」
コルテの体は目映い光に包まれた。
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