王家に嫁ぐ盗賊海賊

谷奈

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タイタ族の話

族長

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「ここがタイタ族が住むとされる所。」
「帰れ。」
「えっ‼️」
「帰れ、忌まわしき人間。」
「そうだ、帰れ人間。ここはタイタ族であるものだけが入れる場所だ。」
「帰れ、帰れ。」
どんどんとこの声が増えてくる。
「族長に会わせてもらえない?」
「お前なんかに会わせる義理はない。」
「帰れ、帰れ人間。」
「さっきから『帰れ人間』って言ってるけど、あなた達だって人間でしょう。それとも怪物だった?」
「貴様‼️」
「お願い、族長に会わせて。どうしても話が聞きたいの。」
ユリシロは深く頭を下げた。
「・・・今、族長はいない。代理の族長でもいいのか?」
「勿論。」
「どうかしたのか?」
「族長‼️」
皆が一斉に片ひざをついた。
「今そちらに向かおうと思っていたところでございます。」
「何か話があるのか?」
「あちらの娘がお話ししたいと。」
族長はユリシロを見た。
「ルッカ様?」
「えっ?」
「あ、いや、すまない。昔いなくなってしまったルッカ様にすごく似ていたものだから。」
「初めまして。」
「良ければ俺の家に来るといい。」
「では、お言葉に甘えます。」
ユリシロと族長は家に向かった。
「お茶でもいいかい?」
「勿論です。」
族長はユリシロに席を勧めた。ユリシロが座っていると、族長はお茶を持ってきた。
「ところで、何を聞きたかったのかい?」
「・・・ルッカについてです。」
「ルッカ様のことか。」
「少しでもいいんです。教えてくれませんか?」
「いいだろう。」
「ありがとうございます。」
ユリシロは深く頭を下げた。
「頭をあげてくれ。」
「はい。」
「あれは二十年ぐらい前だったかな。ここで一人の女の子が生まれた。その子は生まれつきピンクの髪と目を持っていた。その子がルッカ・プラーグマ・バシリス・レジェ・タイタで、今のタイタ族の本当の族長だ。」
「いないのにですか?」
「そうだ、いないのにだ。昔からピンクの髪と目を持つものが族長になると決まっているからな。」
「どうしてルッカはいなくなってしまったんですか?」
「いなくなったと言うよりも、引き取られたといった方が正しいかな。ルッカ様が生まれてすぐに、母親も父親も亡くなった。そこでいきなりルッカの母親の友人と名乗る女がルッカ様を引き取っていてしまった。それからのことは分からない。」
「そうなんですか・・・。あ、後、男性がタイタ族を名乗れないっていうのは・・・。」
「あれは嘘だ。だってほら、今は俺がタイタ族の代理の族長やっている。」
「あ、そっか。」
「ところで、どうしてルッカ様のことを知っていたんだい?タイタ族以外が知っているはずないんだが・・・。あなたは何者なんだ?」
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