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番外編
episode R & L 3
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代表戦まであと1カ月……。
リリアはあれから毎日俺に飲み物を持ってくるようになった。
水筒を渡して、前日の水筒を受け取っては走り去るを繰り返し、中身も最近少し変わってきた。
最初はただの紅茶だったが、たまに「今日は…少し珍しいお茶を…」と言って、苦味が強い薄緑の紅茶?になったりして、なかなか楽しみになっていた。
「きょ、今日は…」
「リリア」
「ひゃ、ひゃい!」
そんな驚かなくてもいいだろう…。
こんだけ毎日来てんだから…。
でも、思えば俺から声をかけるのは最初を除けば初めてだな。
「最近、内容に行き詰まってる。ちょっと相手してくれ」
「わ、私がラロック様の相手ですか!?」
リリアは驚いてはいるが、三女とはいえ侯爵家だ。
魔法力はそこそこあるはず。
それに、カトリー家は雷魔法の扱いに長けた家系だ。
俺は攻撃魔法の速度の遅さが想像できるし、攻撃の速い雷魔法相手にどこまでできるか試したい。
でもまぁ、一つとはいえ、上の学年の相手はきついか。
「いや、無理にはしなくていい。できればで…」
「い、いえ!お相手します!」
やや食い気味でリリアは返事をした。
逆にそんなやる気になられてもあれなんだけどな…。
俺はレフさんを2匹呼んで、リリアの準備を待った。
リリアは「準備してきます!」と言って訓練室を出て行ってから10分ほどで、手に靴を持って戻ってきた。
「……なんだそれ?」
持っていた靴は明らかに普通じゃないとわかった。
靴の底が一部金属で出来ている部分があるのだ。
「これはカトリー家の魔法を用いるための特殊な靴です」
そう言ってリリアは靴を履き替える。
そして、歩くときにカツカツと金属がぶつかる音がする。
「まぁ、ちょっと履き心地悪いんですけどね」
そう言って恥ずかしそうに笑うリリアを見て、少しドキッとした。
……ドキっ?なんでだ?
まぁいいか。
「それではラロック様、始めましょう!」
「……ラロックでいい」
「はい?」
「様はいらない」
「そ、そんな…」
「いいから。様はやめろ。俺が毎日飲み物持ってこさせてるみたいだろ」
「じゃ、じゃあ……ラロック…さん」
えへへと笑いながら名前を呼ぶリリアは、なんというか…眩しくて、こっちまでなんか照れてしまう。
「ラロックさん?」
「いや、なんでもない。始めよう」
気を取り直して…俺が構えをとると、リリアも戦闘の態勢になる。
でも…両手を下に向ける…?なんのために?
雷魔法は速度が速い魔法だ。
だから、雷魔法の使い手は先手を取るために必ずと言っていいほど、手を前に向ける魔法使いが多い。
まぁ……戦ってみればわかるか…。
「それじゃあルールは複合戦、一発勝負だ。いくぞ…はじめっ!」
「第二エレクト・雷電の道!」
「なにっ!?」
リリアの両手から雷が放たれる。
リリアを中心にして地面に糸を広げたように雷が地を這っていき、リリアはその雷の上に乗った。
「第三クリエイト・ショット!」
俺が土魔法を放つと、リリアは高速でそれをかわす。
速い!?あの靴……そういうことか。聞いたことがある。雷魔法を使うときに痺れやダメージの他に、金属に対して影響を及ぼすことがあるらしい。あの魔法で地面に雷を張り、その上に靴の金属面で乗って、雷魔法の性質を使って高速移動しているんだ。
「第二エレクト!」
高速で動くリリアが次は俺に向かって雷を放つ。
「くっ…!」
俺はリリアの雷を避けて、手をリリアに向けるが、高速で動くリリアはとらえられない…。
どうする…高速で動く相手に対して土魔法は速度が足りない。だったら…。
俺は左手を自分の後ろへ向けた。
リリアはあれから毎日俺に飲み物を持ってくるようになった。
水筒を渡して、前日の水筒を受け取っては走り去るを繰り返し、中身も最近少し変わってきた。
最初はただの紅茶だったが、たまに「今日は…少し珍しいお茶を…」と言って、苦味が強い薄緑の紅茶?になったりして、なかなか楽しみになっていた。
「きょ、今日は…」
「リリア」
「ひゃ、ひゃい!」
そんな驚かなくてもいいだろう…。
こんだけ毎日来てんだから…。
でも、思えば俺から声をかけるのは最初を除けば初めてだな。
「最近、内容に行き詰まってる。ちょっと相手してくれ」
「わ、私がラロック様の相手ですか!?」
リリアは驚いてはいるが、三女とはいえ侯爵家だ。
魔法力はそこそこあるはず。
それに、カトリー家は雷魔法の扱いに長けた家系だ。
俺は攻撃魔法の速度の遅さが想像できるし、攻撃の速い雷魔法相手にどこまでできるか試したい。
でもまぁ、一つとはいえ、上の学年の相手はきついか。
「いや、無理にはしなくていい。できればで…」
「い、いえ!お相手します!」
やや食い気味でリリアは返事をした。
逆にそんなやる気になられてもあれなんだけどな…。
俺はレフさんを2匹呼んで、リリアの準備を待った。
リリアは「準備してきます!」と言って訓練室を出て行ってから10分ほどで、手に靴を持って戻ってきた。
「……なんだそれ?」
持っていた靴は明らかに普通じゃないとわかった。
靴の底が一部金属で出来ている部分があるのだ。
「これはカトリー家の魔法を用いるための特殊な靴です」
そう言ってリリアは靴を履き替える。
そして、歩くときにカツカツと金属がぶつかる音がする。
「まぁ、ちょっと履き心地悪いんですけどね」
そう言って恥ずかしそうに笑うリリアを見て、少しドキッとした。
……ドキっ?なんでだ?
まぁいいか。
「それではラロック様、始めましょう!」
「……ラロックでいい」
「はい?」
「様はいらない」
「そ、そんな…」
「いいから。様はやめろ。俺が毎日飲み物持ってこさせてるみたいだろ」
「じゃ、じゃあ……ラロック…さん」
えへへと笑いながら名前を呼ぶリリアは、なんというか…眩しくて、こっちまでなんか照れてしまう。
「ラロックさん?」
「いや、なんでもない。始めよう」
気を取り直して…俺が構えをとると、リリアも戦闘の態勢になる。
でも…両手を下に向ける…?なんのために?
雷魔法は速度が速い魔法だ。
だから、雷魔法の使い手は先手を取るために必ずと言っていいほど、手を前に向ける魔法使いが多い。
まぁ……戦ってみればわかるか…。
「それじゃあルールは複合戦、一発勝負だ。いくぞ…はじめっ!」
「第二エレクト・雷電の道!」
「なにっ!?」
リリアの両手から雷が放たれる。
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「第三クリエイト・ショット!」
俺が土魔法を放つと、リリアは高速でそれをかわす。
速い!?あの靴……そういうことか。聞いたことがある。雷魔法を使うときに痺れやダメージの他に、金属に対して影響を及ぼすことがあるらしい。あの魔法で地面に雷を張り、その上に靴の金属面で乗って、雷魔法の性質を使って高速移動しているんだ。
「第二エレクト!」
高速で動くリリアが次は俺に向かって雷を放つ。
「くっ…!」
俺はリリアの雷を避けて、手をリリアに向けるが、高速で動くリリアはとらえられない…。
どうする…高速で動く相手に対して土魔法は速度が足りない。だったら…。
俺は左手を自分の後ろへ向けた。
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