前世で辛い思いをしたので、神様が謝罪に来ました

初昔 茶ノ介

文字の大きさ
136 / 145
番外編

episode R & L 4

しおりを挟む
第三トリルウィンド!」

俺は風を自分の後ろへ起こし、機動力を上げる。
これで俺が足を浮かせている間は、リリアに近い速度が出せるはずだ。

加速してリリアに追いつくと、リリアも負けじと移動する。

第三トリルウィンド!」

「…っ!第二ダブルエレクト!」

激しい移動を繰り返す中で風魔法を放つが、リリアもそれを見てからかわし、雷魔法をこちらに放つ。

やっぱりこういう高速での戦いになると、まだ俺は風魔法は土魔法ほど命中精度がよくないか…。
それにしても、リリアの動き…なんか違和感があるんだよな…。
さっきの風魔法を避ける時も、変に体を捻ってるというか…一瞬、回避に隙ができてるというか…。

ふと、視線を足元に落とす。
もしかして…。

俺は考えたことを試すべく、いったんリリアと距離をとる。
距離を取ったことで、リリアが雷魔法を撃ち込んでくるが、それを避けつつ俺も魔法を使う。

第一シグルクリエイト」

俺はリリアに気づかれないように動く方向を見て、その進行方向の雷が這っている地面を数カ所もり上げる。

よし…これで予想が正しければ…。

俺は再び風魔法を自分の後ろに起こしてもう一度接近を図る。
そして、リリアが反応して俺から離れるために速度を上げた瞬間…。

「えっ!?きゃー!」

リリアの体は勢いそのままに宙に飛び、訓練室の壁に衝突して床に落下した。。

「………第一シグルウィンド」

「あう…」

切れないようにした風を倒れているリリアの頬に撃って、ぺしぺしという音とともに、レフさんが鳴いた。

「痛たたた…」

「大丈夫か?」

「はい…ちょっと頭がクラクラしますが…」

「そうか…よいしょっと」

「…っ!?!?らららラロックさん!?」

俺がリリアを持ち上げると、リリアはとても慌てていた。

「頭がくらくらすんだろ、医務室まで連れてってやる。悪かったな」

「そ、そんなことは別にいいのですが…このままは恥ずかしいと言いますか…なんというか…」

なんかゴニョゴニョ言っててよく聞こえなかったが、気にせずに俺は訓練室を後にした。
途中で何人か生徒とすれちがって注目されたが、けが人がいるんだ。しょうがない。
訓練室に到着して、俺は医務室の治療師に経緯を伝えると、しばらく横になっていれば大丈夫とのことだった。
リリアをベットに下ろして、俺は訓練室に戻ることにした。

「あ、あの!ラロックさん…」

「ん?」

ベットに横になるリリアに声をかけられて俺は振り返る。

「ありがとうございました。とても参考になる特訓でした」

「俺が頼んだことだ。気にするな。俺の方こそありがとな」

「そんな…あの、よろしければまた…お相手をさせていただいてもいいですか?」

「……そうか。助かる」

「…はい!」

俺はリリアの返事を聞いて、なんだか照れ臭くなってリリアの方へ顔を向けずに医務室を出て行った。
しおりを挟む
感想 317

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?

藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」 9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。 そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。 幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。 叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます! 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。