飛んできた聖女は愛されたい

聖女

聖女が飛んできた。

世界を滅ぼすために。

世界を滅ぼして人類を滅ぼすために。

言い訳の大好きな聖女は殺戮を繰り返した。

その手段は窒息のための津波であったり、文明を発達させて病気にさせたり。


聖女の由縁は新しい世界を創造するため。


世界は必要ない。人は必要ない。

そんな聖女に恋をした人間たちは、どういうわけだか、殺戮を免れた。

聖女を愛した人々は、人類の存続を望む人々によって、聖女をおびき寄せるおとりになった。


聖女は人間が裏切ることを知った。

殺す必要のない人間をも殺しまくった。

これ以上飛んでいく必要なんてないんだ。

満足しただろうか？

それでいいんだ。

ただ、もう世界は終焉に向かっている。


その運命に括り付けられた聖女はそのまま死を受け入れるしかないのだ。


「私はあなたのことが好きなんです」

「ならば、そっちも死んでもらいましょう……」



聖女様。愛しています。

私も、一人の人間を愛しました。


罪を認めて、二人とも死んでしまう。