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世界樹探索編
どうも、どうやら新しい旅は光に導かれるようです
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影の森での死闘が終わり数日が過ぎた。
俺たちが最後の戦いを繰り広げた大聖堂は跡形もない。そこにはただ若草が風にそよぐ、穏やかな平原が広がっていた。森は永い悪夢からようやく解放されたのだ。
俺たちはリーフエンドの街で旅の傷を癒していた。
オリオンの犠牲は俺たちの心に深く、そして温かい傷跡を残した。だが悲しみに暮れている暇はない。彼の、そしてルシフェルの魂は俺たちに未来を託したのだ。その想いに応えなければならない。
宿屋の部屋。俺は手のひらに乗せた二つの形見をじっと見つめていた。
一本は友の魂が宿る、美しいエルフの長剣。
そしてもう一つは黒き星がその全ての絶望から解放され、生まれ変わった『光の種子』。
それはまるで小さな太陽のように俺の手のひらで、温かい光を放っている。
「ショウさん。これからどうするんですか?」
シュタが俺の隣に座り静かに尋ねる。その瞳にはもう不安の色はない。俺がどんな道を選んでもついてきてくれるという、絶対の信頼がそこにはあった。
俺は仲間たちの顔を見回した。
シュタ、リル、シルフィ。そして心の中にいるオリオン。
「決まってる。俺たちは行くんだ。――世界樹の元へ」
俺の言葉に皆が力強く頷いた。
俺は光の種子にそっと、自分の【自然の支配者】としての力を注ぎ込む。
すると種子は俺の力に喜ぶように共鳴した。そしてその光を一際強く輝かせると、一本の細く揺るぎない光の筋となって、遥か東の方角を指し示した。
その光はこの大陸のさらにその向こう。広大な海の彼方を指している。
俺たちの進むべき道が決まった。
俺たちはリーフエンドの街の人々、そして森の全ての生命たちに別れを告げた。そしてフィンステイン商会が用意してくれた、最新式の魔力駆動の馬車に乗り込み東へと出発した。
数週間の旅路は穏やかだった。
穢れが消え去ったことで、大陸東方の街道は活気を取り戻している。俺たちはいくつかの大きな街に立ち寄りながら、次の目的地である大陸最東端の港町を目指した。
ある街の冒険者ギルドに立ち寄った時のことだ。
酒場の席で俺たちは、他の冒険者たちの噂話を耳にした。
「聞いたか?西のアストライア王国から来た、『光の勇者』一行のこと」
「ああ知ってるぜ。なんでも魔王軍の四天王の一角を打ち破ったらしいじゃねぇか。大したもんだ」
剣崎光。
その名を聞いて俺の心臓が僅かに軋んだ。
あいつもあいつの世界で戦っているらしい。
「だが良い噂ばかりでもないぞ」
別の冒険者が声を潜めて言った。
「奴らの『正義』はあまりにも一方的すぎる、って話だ。少しでも魔族に与するような村は、女子供だろうと容赦なく焼き払うらしい。……やり方が過激すぎるんだよ」
その言葉に俺は何も言えなかった。
剣崎のあの純粋すぎる正義感。それがこの単純ではない世界で、歪んだ形で発揮されているのかもしれない。いつか俺はあいつとも向き合わなければならない時が来るのだろう。
そんなことを考えながら俺たちが街を出て、数時間後のことだった。
街道筋の森の中で俺たちの馬車は、数人の黒いローブの男たちに囲まれた。
「……見つけたぞ。『器』と、『鍵』」
その声と袖口に覗く蛇の紋章。
『古き理の探求者』の残党だ。ジュッテルでの一件を知り復讐か、あるいは俺たちの力を奪うために追ってきたのだろう。
「シュタ、下がってろ。……こいつらは俺がやる」
俺は御者台から静かに降り立った。
敵は五人。その殺気からジュッテルで戦った暗殺者たちほどの、手練れではないことがわかる。
俺は『天樹』を抜き放った。
そしてガルドさんとの修行のその全てを、この一振りに込める。
穢れの合成獣との戦いを経て俺の剣は、もはやただの技ではなかった。
俺は大地を蹴る。
一人目の懐に一瞬で潜り込むと、その剣を峰打ちで鳩尾へと叩き込んだ。
二人目の振り下ろす短剣を最小限の動きで受け流し、その勢いを利用して仲間同士を激突させる。
三人目と四人目にはシルフィが上空から風の刃を放ち、その動きを完全に封じた。
そして最後のリーダー格の男が恐怖に顔を引きつらせた、その時。
俺はすでにその背後に立っていた。
「……終わりだ」
俺はその首筋に手刀を静かに落とす。
戦闘はものの数十秒で終わった。
残党を縛り上げ近くの街の警備隊に引き渡した後、俺たちは再び旅路へと戻った。
この程度の障害はもはや俺たちの旅を止めることはできない。
さらに一週間後。
俺たちの目の前についに潮の香りと、巨大な港のシルエットが姿を現した。
大陸最東端の港湾都市『オーシャンズ・ゲート』。
ここが俺たちのこの大陸での旅の終着点。
そして未知なる新大陸への出発点。
俺は馬車の窓から広大な青い海を見つめた。
あの水平線の遥か彼方。
光の種子が指し示すその先に、俺が求める答えが待っている。
「ここからが本当の冒険の始まりだな」
俺のその呟きに、仲間たちが力強く頷いた。
俺たちの新しい船出は、もうすぐそこまで迫っていた。
俺たちが最後の戦いを繰り広げた大聖堂は跡形もない。そこにはただ若草が風にそよぐ、穏やかな平原が広がっていた。森は永い悪夢からようやく解放されたのだ。
俺たちはリーフエンドの街で旅の傷を癒していた。
オリオンの犠牲は俺たちの心に深く、そして温かい傷跡を残した。だが悲しみに暮れている暇はない。彼の、そしてルシフェルの魂は俺たちに未来を託したのだ。その想いに応えなければならない。
宿屋の部屋。俺は手のひらに乗せた二つの形見をじっと見つめていた。
一本は友の魂が宿る、美しいエルフの長剣。
そしてもう一つは黒き星がその全ての絶望から解放され、生まれ変わった『光の種子』。
それはまるで小さな太陽のように俺の手のひらで、温かい光を放っている。
「ショウさん。これからどうするんですか?」
シュタが俺の隣に座り静かに尋ねる。その瞳にはもう不安の色はない。俺がどんな道を選んでもついてきてくれるという、絶対の信頼がそこにはあった。
俺は仲間たちの顔を見回した。
シュタ、リル、シルフィ。そして心の中にいるオリオン。
「決まってる。俺たちは行くんだ。――世界樹の元へ」
俺の言葉に皆が力強く頷いた。
俺は光の種子にそっと、自分の【自然の支配者】としての力を注ぎ込む。
すると種子は俺の力に喜ぶように共鳴した。そしてその光を一際強く輝かせると、一本の細く揺るぎない光の筋となって、遥か東の方角を指し示した。
その光はこの大陸のさらにその向こう。広大な海の彼方を指している。
俺たちの進むべき道が決まった。
俺たちはリーフエンドの街の人々、そして森の全ての生命たちに別れを告げた。そしてフィンステイン商会が用意してくれた、最新式の魔力駆動の馬車に乗り込み東へと出発した。
数週間の旅路は穏やかだった。
穢れが消え去ったことで、大陸東方の街道は活気を取り戻している。俺たちはいくつかの大きな街に立ち寄りながら、次の目的地である大陸最東端の港町を目指した。
ある街の冒険者ギルドに立ち寄った時のことだ。
酒場の席で俺たちは、他の冒険者たちの噂話を耳にした。
「聞いたか?西のアストライア王国から来た、『光の勇者』一行のこと」
「ああ知ってるぜ。なんでも魔王軍の四天王の一角を打ち破ったらしいじゃねぇか。大したもんだ」
剣崎光。
その名を聞いて俺の心臓が僅かに軋んだ。
あいつもあいつの世界で戦っているらしい。
「だが良い噂ばかりでもないぞ」
別の冒険者が声を潜めて言った。
「奴らの『正義』はあまりにも一方的すぎる、って話だ。少しでも魔族に与するような村は、女子供だろうと容赦なく焼き払うらしい。……やり方が過激すぎるんだよ」
その言葉に俺は何も言えなかった。
剣崎のあの純粋すぎる正義感。それがこの単純ではない世界で、歪んだ形で発揮されているのかもしれない。いつか俺はあいつとも向き合わなければならない時が来るのだろう。
そんなことを考えながら俺たちが街を出て、数時間後のことだった。
街道筋の森の中で俺たちの馬車は、数人の黒いローブの男たちに囲まれた。
「……見つけたぞ。『器』と、『鍵』」
その声と袖口に覗く蛇の紋章。
『古き理の探求者』の残党だ。ジュッテルでの一件を知り復讐か、あるいは俺たちの力を奪うために追ってきたのだろう。
「シュタ、下がってろ。……こいつらは俺がやる」
俺は御者台から静かに降り立った。
敵は五人。その殺気からジュッテルで戦った暗殺者たちほどの、手練れではないことがわかる。
俺は『天樹』を抜き放った。
そしてガルドさんとの修行のその全てを、この一振りに込める。
穢れの合成獣との戦いを経て俺の剣は、もはやただの技ではなかった。
俺は大地を蹴る。
一人目の懐に一瞬で潜り込むと、その剣を峰打ちで鳩尾へと叩き込んだ。
二人目の振り下ろす短剣を最小限の動きで受け流し、その勢いを利用して仲間同士を激突させる。
三人目と四人目にはシルフィが上空から風の刃を放ち、その動きを完全に封じた。
そして最後のリーダー格の男が恐怖に顔を引きつらせた、その時。
俺はすでにその背後に立っていた。
「……終わりだ」
俺はその首筋に手刀を静かに落とす。
戦闘はものの数十秒で終わった。
残党を縛り上げ近くの街の警備隊に引き渡した後、俺たちは再び旅路へと戻った。
この程度の障害はもはや俺たちの旅を止めることはできない。
さらに一週間後。
俺たちの目の前についに潮の香りと、巨大な港のシルエットが姿を現した。
大陸最東端の港湾都市『オーシャンズ・ゲート』。
ここが俺たちのこの大陸での旅の終着点。
そして未知なる新大陸への出発点。
俺は馬車の窓から広大な青い海を見つめた。
あの水平線の遥か彼方。
光の種子が指し示すその先に、俺が求める答えが待っている。
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