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第二章 謎の惑星
4 フラン
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重力エレベーターから降りて、フランは黙々と森の中を歩き回った。
(バカだ。僕、バカだ──)
頭の中で繰り返すのは、ずっと同じ言葉ばかりだ。
あんなことまでして、彼の宇宙船をおびき寄せておきながら。
彼の話によれば、宇宙船はこの惑星に引き寄せられたことで事故にあい、少なからぬ資源を失い、人員に被害も出たらしい。
(それなのに、僕って奴は)
彼らの胸中を思うと、胸がひどく痛んだ。ただただ申し訳なくて、気がふさいで、当初期待していたようなことはまったく、なんにもできやしなかった。
それで結局、自分は彼を少しばかりおもてなしして、まっすぐ母船に帰ってもらっただけだったのだ。
(何やってんだよ──)
別に、無理に抱いてもらわなくてもいいのだ。少し、ほんの少しだけ、彼の「遺伝情報」を分けてもらいさえすればいい。それだけなのに。
それさえあれば、自分は次の世代を生み出せる。
兄と自分に最初から「封入」されていた人類の膨大な遺伝子。ずっと昔、どこかの時点で、それには不具合が生じてしまった。色々と調べてみたが、どうも遺伝子そのものの相性が良くないらしい。
それがこの惑星の環境によるものなのかはわからないが、ともかくも、ある種の突然変異であるらしい。それでもお互い、番う相手が別の個体なら、問題なく子が宿せるようなのだが。
だから、彼とどんなに交わっても、自分たちに子供は生まれない。
本来だったらもう何百年も昔に、自分たちは「人類」を生み出してこの地に増やし、楽園を広げられたはずだった。そしてその役目さえ果たし終われば、静かにこの星の土になればよかっただけだったのに。
恐らく、この広い宇宙のどこかでは、それに成功している「フラン」と「アジュール」もきっといる。そこではとっくに、人類の新しい惑星の歴史が紡がれているはずだった。
自分たちは、そのためにこそ造られた、まがいものの命だから。
自分たちには、普通の人間とは違い、ある程度過酷な環境でも生き残れるよう、様々な能力も付与されてしまっている。そのため、ちょっとやそっとのことでは死なない。かなりの重傷を負った場合でも、今回のようにドームの「誕生装置」で治療すれば、大概のことは問題なく済んでしまう。
そして特に何もなければ、たやすく数百年の時間を生きる。それはもちろん、まだよちよち歩きの人類を見守り、手助けをするという使命のためだ。
まがいものの夜を演出して「月」が輝き始めた空をちらりと見上げて、フランはひとつ溜め息をついた。
ここの「月」も「星」も「太陽」も。それらはすべて、贋物だ。
まだ幼い人類のために用意されたゆりかご。
地下の「楽園」。
それがこの場所の本来の目的なのだから。
自分たちはその楽園の、単なる付属物のようなものに過ぎない。
(それにしても──)
フランは先ほどの男の風貌をまぶたの裏によみがえらせた。
なんだか、不思議な人だった。
初対面のときにはひどく驚いたし、ぬうっと上背のあるいかつい見た目には正直いって恐怖を覚えた。
しかし、彼の目には少しも狂暴な色がなかった。むしろちゃんと話してみれば、かなり理性的だし、相当知的な人なのではないかと思う。
水浴びの時、勝手に衣服を隠してしまったことやいきなり武器を向けてしまったことを少なからず恥じていたようだったし、言葉は正確に分からないけれども、ちゃんと謝ってもくれた。
多分、優しい人なのだ。
言葉づかいは荒っぽいようだし、顔立ちもかなり野性味を帯びて見える。けれど、彼のその笑顔にも声音にも、その底流にごくおだやかで温かなものが秘められているのがちゃんとわかった。
あのアジュールよりひと回り大きな掌が、拳の形になって自分を殴るところは想像がつかない。その瞳が酷薄な嗜虐の色に染まって、自分を思うさま蹂躙するところも。
……それは、自分の知らないものだ。
これまで、知り得なかったものだ。
言葉については、源流が同じと思われるため似ているのは当然だった。彼の風貌からして、今回の宇宙船の乗組員たちもまた、自分たちのようなどこかの「フラン」、どこかの「アジュール」の子孫である可能性が高い。
しかし、多くの人によって何百年も使われているうちに、言語は少しずつ変化していくものなのだろう。自分が使っている「共通語」と似た部分も多かったけれども、彼の話す言葉はこちらのものとはだいぶ異なっているようだった。
(もう、会えない……のかな)
そう思うと、なんだか胸がきゅうっと締め付けられるみたいになった。
ふとした時に見せる、彼の困ったような笑み。戸惑ったようにじっと自分を見つめていた瞳の色。それらを思い出すと、なぜか胸の芯のところがぽうっと熱くなる。
もっと近づいてみればよかった。
もう少しぐらい、触れてみたかった。
もっと……話がしたかった。
なぜか無性に、それが心残りだった。
どうしてかは、わからないけれど。
(いや。でも……これでいいんだ)
これ以上、彼らを自分たちに関わらせてはいけない。
彼にも、もう会ってはならないだろう。
(けど……驚いたな)
彼は一体、どこからここへ入り込んだというのだろう。基本的に、ここは外界の者が勝手に入り込めるような造りにはなっていない。自分がステルス・システムを復活させるまでの短い時間に、するりと入り込まれてしまったということなのか。たとえそうでも、容易なことではないはずなのに。
この地下世界への入り口はいくつかあるけれども、もしかすると長い年月のうち、不具合の生じている場所があったのかもしれない。自分たちは普段、先ほど使った樹の根本の所しか利用しない。だからついつい、ほかの入り口のメンテナンスはおろそかになっていた。
なにしろ、住人が二人しかいない惑星だ。無用なものはどんどん廃れ、朽ちてさびれていくばかり。
(ともかく──)
彼らには、一刻も早くあの宇宙船を修理して、こんな惑星からは逃げてもらわなくては。それも、あの兄が目を覚ます前に。そのための手伝いなら、自分もこっそりと協力できるかも知れない。
負傷者の治療についても、きっと手伝えることがあるはずだ。自分にはあの兄にはない、別の能力があるのだから。
本当は、彼らのうちの誰でもいいから、その生きのいい遺伝情報を分けて欲しかったのだけれども。
相手が男性でも女性でも、またそれ以外でも構わないのだ。
その遺伝情報さえあれば、自分たちは恐らく新たな「人類」を生み出せる。
そうして生まれて来た子供たちが、また新たな命を生むだろう。
そうすれば。
(きっと、アジュールも)
きっとそれら新たな命に癒されてくれると、そんな風に思うのは身勝手だろうか。
彼自身の、あのどうしようもない孤独を、やるせなさを埋めてくれるだろうと、そう夢想するのは罪なのだろうか。
そんなことのために生み出された命は、それを迷惑だと思うだけかもしれないのに。
これまで何千回、何万回も考えて来たことを、頭の中でまた繰り返す。どんなに考えても、自分には「正解」は分からなかった。
自分たちだって、決して「不死」なわけではない。
いずれは体の機能を失って土に還り、分子や原子レベルにまで分解されていく運命だ。人類よりも長命で、ちょっと能力が高いというだけで、その点は大して変わらない。
こんな砂だらけの惑星で、与えられた役目を果たすこともできずにただ失われていくのは、やっぱり寂しい気持ちもする。けれど、この宇宙には自分たちのような運命をたどった仲間も恐らく大勢いるのだろう。だから、それはそれでも構わないとも思う。
「……ヴォルフ」
気が付けば、まがいものの月をじっと見上げて、彼の名前をつぶやいていた。
(会いたい……な)
やっぱり会いたい。
もう一度会って、彼のあの、ちょっと困ったような笑顔が見たい。
少しでいいから、手に触れてみたい。
……触れられたい。
もうダメなんだ、無理なんだとは、百も承知なのだけれど。
(バカだ。僕、バカだ──)
頭の中で繰り返すのは、ずっと同じ言葉ばかりだ。
あんなことまでして、彼の宇宙船をおびき寄せておきながら。
彼の話によれば、宇宙船はこの惑星に引き寄せられたことで事故にあい、少なからぬ資源を失い、人員に被害も出たらしい。
(それなのに、僕って奴は)
彼らの胸中を思うと、胸がひどく痛んだ。ただただ申し訳なくて、気がふさいで、当初期待していたようなことはまったく、なんにもできやしなかった。
それで結局、自分は彼を少しばかりおもてなしして、まっすぐ母船に帰ってもらっただけだったのだ。
(何やってんだよ──)
別に、無理に抱いてもらわなくてもいいのだ。少し、ほんの少しだけ、彼の「遺伝情報」を分けてもらいさえすればいい。それだけなのに。
それさえあれば、自分は次の世代を生み出せる。
兄と自分に最初から「封入」されていた人類の膨大な遺伝子。ずっと昔、どこかの時点で、それには不具合が生じてしまった。色々と調べてみたが、どうも遺伝子そのものの相性が良くないらしい。
それがこの惑星の環境によるものなのかはわからないが、ともかくも、ある種の突然変異であるらしい。それでもお互い、番う相手が別の個体なら、問題なく子が宿せるようなのだが。
だから、彼とどんなに交わっても、自分たちに子供は生まれない。
本来だったらもう何百年も昔に、自分たちは「人類」を生み出してこの地に増やし、楽園を広げられたはずだった。そしてその役目さえ果たし終われば、静かにこの星の土になればよかっただけだったのに。
恐らく、この広い宇宙のどこかでは、それに成功している「フラン」と「アジュール」もきっといる。そこではとっくに、人類の新しい惑星の歴史が紡がれているはずだった。
自分たちは、そのためにこそ造られた、まがいものの命だから。
自分たちには、普通の人間とは違い、ある程度過酷な環境でも生き残れるよう、様々な能力も付与されてしまっている。そのため、ちょっとやそっとのことでは死なない。かなりの重傷を負った場合でも、今回のようにドームの「誕生装置」で治療すれば、大概のことは問題なく済んでしまう。
そして特に何もなければ、たやすく数百年の時間を生きる。それはもちろん、まだよちよち歩きの人類を見守り、手助けをするという使命のためだ。
まがいものの夜を演出して「月」が輝き始めた空をちらりと見上げて、フランはひとつ溜め息をついた。
ここの「月」も「星」も「太陽」も。それらはすべて、贋物だ。
まだ幼い人類のために用意されたゆりかご。
地下の「楽園」。
それがこの場所の本来の目的なのだから。
自分たちはその楽園の、単なる付属物のようなものに過ぎない。
(それにしても──)
フランは先ほどの男の風貌をまぶたの裏によみがえらせた。
なんだか、不思議な人だった。
初対面のときにはひどく驚いたし、ぬうっと上背のあるいかつい見た目には正直いって恐怖を覚えた。
しかし、彼の目には少しも狂暴な色がなかった。むしろちゃんと話してみれば、かなり理性的だし、相当知的な人なのではないかと思う。
水浴びの時、勝手に衣服を隠してしまったことやいきなり武器を向けてしまったことを少なからず恥じていたようだったし、言葉は正確に分からないけれども、ちゃんと謝ってもくれた。
多分、優しい人なのだ。
言葉づかいは荒っぽいようだし、顔立ちもかなり野性味を帯びて見える。けれど、彼のその笑顔にも声音にも、その底流にごくおだやかで温かなものが秘められているのがちゃんとわかった。
あのアジュールよりひと回り大きな掌が、拳の形になって自分を殴るところは想像がつかない。その瞳が酷薄な嗜虐の色に染まって、自分を思うさま蹂躙するところも。
……それは、自分の知らないものだ。
これまで、知り得なかったものだ。
言葉については、源流が同じと思われるため似ているのは当然だった。彼の風貌からして、今回の宇宙船の乗組員たちもまた、自分たちのようなどこかの「フラン」、どこかの「アジュール」の子孫である可能性が高い。
しかし、多くの人によって何百年も使われているうちに、言語は少しずつ変化していくものなのだろう。自分が使っている「共通語」と似た部分も多かったけれども、彼の話す言葉はこちらのものとはだいぶ異なっているようだった。
(もう、会えない……のかな)
そう思うと、なんだか胸がきゅうっと締め付けられるみたいになった。
ふとした時に見せる、彼の困ったような笑み。戸惑ったようにじっと自分を見つめていた瞳の色。それらを思い出すと、なぜか胸の芯のところがぽうっと熱くなる。
もっと近づいてみればよかった。
もう少しぐらい、触れてみたかった。
もっと……話がしたかった。
なぜか無性に、それが心残りだった。
どうしてかは、わからないけれど。
(いや。でも……これでいいんだ)
これ以上、彼らを自分たちに関わらせてはいけない。
彼にも、もう会ってはならないだろう。
(けど……驚いたな)
彼は一体、どこからここへ入り込んだというのだろう。基本的に、ここは外界の者が勝手に入り込めるような造りにはなっていない。自分がステルス・システムを復活させるまでの短い時間に、するりと入り込まれてしまったということなのか。たとえそうでも、容易なことではないはずなのに。
この地下世界への入り口はいくつかあるけれども、もしかすると長い年月のうち、不具合の生じている場所があったのかもしれない。自分たちは普段、先ほど使った樹の根本の所しか利用しない。だからついつい、ほかの入り口のメンテナンスはおろそかになっていた。
なにしろ、住人が二人しかいない惑星だ。無用なものはどんどん廃れ、朽ちてさびれていくばかり。
(ともかく──)
彼らには、一刻も早くあの宇宙船を修理して、こんな惑星からは逃げてもらわなくては。それも、あの兄が目を覚ます前に。そのための手伝いなら、自分もこっそりと協力できるかも知れない。
負傷者の治療についても、きっと手伝えることがあるはずだ。自分にはあの兄にはない、別の能力があるのだから。
本当は、彼らのうちの誰でもいいから、その生きのいい遺伝情報を分けて欲しかったのだけれども。
相手が男性でも女性でも、またそれ以外でも構わないのだ。
その遺伝情報さえあれば、自分たちは恐らく新たな「人類」を生み出せる。
そうして生まれて来た子供たちが、また新たな命を生むだろう。
そうすれば。
(きっと、アジュールも)
きっとそれら新たな命に癒されてくれると、そんな風に思うのは身勝手だろうか。
彼自身の、あのどうしようもない孤独を、やるせなさを埋めてくれるだろうと、そう夢想するのは罪なのだろうか。
そんなことのために生み出された命は、それを迷惑だと思うだけかもしれないのに。
これまで何千回、何万回も考えて来たことを、頭の中でまた繰り返す。どんなに考えても、自分には「正解」は分からなかった。
自分たちだって、決して「不死」なわけではない。
いずれは体の機能を失って土に還り、分子や原子レベルにまで分解されていく運命だ。人類よりも長命で、ちょっと能力が高いというだけで、その点は大して変わらない。
こんな砂だらけの惑星で、与えられた役目を果たすこともできずにただ失われていくのは、やっぱり寂しい気持ちもする。けれど、この宇宙には自分たちのような運命をたどった仲間も恐らく大勢いるのだろう。だから、それはそれでも構わないとも思う。
「……ヴォルフ」
気が付けば、まがいものの月をじっと見上げて、彼の名前をつぶやいていた。
(会いたい……な)
やっぱり会いたい。
もう一度会って、彼のあの、ちょっと困ったような笑顔が見たい。
少しでいいから、手に触れてみたい。
……触れられたい。
もうダメなんだ、無理なんだとは、百も承知なのだけれど。
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