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昔を思い出す
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「直くんのおやつを買ってきたんだ」
プリンの入った紙袋を見せるが、直くんはまだわかっていない様子。
まぁ紙袋を見ただけでわかるわけがないか。
直くんのベッドにあるテーブルを近づけて、そこに紙袋から取り出した箱を出した。
興味津々だが、何が出てくるかわからないという緊張もあるんだろう、
直くんは秋穂の服をしっかりと掴みながら、視線は箱に向いている。
ゆっくりと箱を開け、中からとろとろプリンを取り出して見せる。
「こりぇ、なーにー?」
「これはね、プリンというんだ。甘くてとっても美味しいよ」
「ぷいん?」
「そう、プリン」
秋穂は直くんが食べやすいように膝に乗せたままテーブルに近づいた。
「私が食べさせよう」
一緒に入っていた小さなスプーンで、柔らかなプリンを掬い、直くんの口に運ぶと、直くんは一度匂いを嗅いでから口を開けた。
「んっ!!」
口に入って甘みを感じた瞬間、直くんの目が大きく開いた。
幼児でも食べられる程よい甘さのプリンだが、直くん自身はここまで強い甘みは初めて感じたのかもしれない。
そこからは何度も口を開ける直くんのおねだりに合わせるように何度も口にプリンを運んだ。
あっという間に完食した直くんは満足そうに笑っていた。
「美味しかったかな?」
「おーちー」
「そうか、よかった」
プリンをお土産にして大成功だったな。
それからは卓くんたちが用意してくれていたおもちゃや絵本で遊ばせながら、あっという間に時間が経った。
小児病棟の夕食の時間は早い。
そろそろ夕食の時間にかかろうとする時、部屋をノックする音が聞こえて私が扉を開けに行った。
「お父さん!」
「そろそろくる頃だと思っていたよ。卓くんも仕事終わりに大変だったね」
「いえ。ここにくることをむしろ楽しみにしてましたから。夕食は全員分を頼みましたから一緒に食べましょう」
さすが卓くん、気がきくな。
部屋の中に入り、直くんが二人の姿を捉える。
「あーちゃ! ちゅぐぅちゃ!」
嬉しそうに呼びかける声に絢斗も卓くんも笑みを浮かべていて、すっかり親の顔になっている。
「あいちゃ、じいちゃ!」
直くんは私たちの呼び名を二人に教えているようだ。
「お父さんはじいちゃなんだ、可愛い」
「直くんはおじいちゃんと呼んでるつもりなんだよ。寛さんに確認を取らずに悪かったが、私のことはおじいちゃんと呼んでもらうようにしてもらった」
「そんな、父のことは気にしないでいいですよ。昇がおじいちゃんと呼んでますし、直くんからは別の呼び方にしてもらいましょう。寛と呼び捨てにするのも面白いかもしれませんよ」
卓くんは笑っているが寛さんを呼び捨てにするような強者はいない。
だが、確かに直くんが寛と呼び捨てにしたら、それは唯一無二の呼び方かもしれないな。
直くんに秋穂と絢斗が食べさせながら、みんなで楽しい夕食を過ごす。
幼い子どもが一人いるだけでこんなにも食卓の時間が変わるのかと思うほど楽しい時間だった。
絢斗が幼い頃を思い出す。
食べるのが好きな子だったから食事が大変だったことはない。
いつも可愛い笑顔で「おいちいねー」って言ってくれるから、私も秋穂も幸せだった。
直くんも一口食べるたびに「おーちーねー」と言ってくれる。
懐かしい日々を思い出しながらの夕食は最高だった。
今日は私たちが直くんの部屋に泊まる日だ。
心配なのは絢斗と卓くんが帰るのを直くんが寂しがらないかということだが、どうだろう。
「直くん、そろそろ帰るね」
「あーちゃ、ちゅぐぅちゃ、かえりゅ?」
「でもまた明日の朝、会いに来るよ」
「あちゃ?」
「うん。でも直くんは寂しくないよ。あきちゃんとおじいちゃんが一緒にお風呂に入って寝てくれるからね。直くんは一人にはならないよ」
「ひちょり、ない?」
「大丈夫」
絢斗の笑顔に安心したのか、直くんは秋穂にギュッと抱きついた。
「いってらっちゃい、ちゅる」
「直くん……」
寂しいに違いない。
それでも必死に秋穂に抱きついて悲しみを癒そうとしている。
本当にいじらしい子だ。
絢斗たちもそんな直くんの姿に後ろ髪を引かれる思いだろう。
でもここで四人で泊まっても仕方がない。
今日は私たちと直くんの距離を縮めるためなのだから。
可愛い直くんを抱っこして、扉まで見送る。
「いってらっちゃい」
その言葉に見送られて絢斗たちは帰って行った。
「さぁ、じゃあお風呂に入りましょうか」
「あいるたん、いっちょ」
「あいるたん?」
聞きなれない言葉に秋穂に聞き返すと、昨夜卓くんが用意していた風呂でのおもちゃらしい。
さすが、いいものを用意している。
私たちの着替えを持って、みんなで脱衣所に入ると一番目立つ場所に可愛いあひるのおもちゃが置かれていた。
それを直くんに渡し、遊んでいる間に私と秋穂は服を脱いだ。
プリンの入った紙袋を見せるが、直くんはまだわかっていない様子。
まぁ紙袋を見ただけでわかるわけがないか。
直くんのベッドにあるテーブルを近づけて、そこに紙袋から取り出した箱を出した。
興味津々だが、何が出てくるかわからないという緊張もあるんだろう、
直くんは秋穂の服をしっかりと掴みながら、視線は箱に向いている。
ゆっくりと箱を開け、中からとろとろプリンを取り出して見せる。
「こりぇ、なーにー?」
「これはね、プリンというんだ。甘くてとっても美味しいよ」
「ぷいん?」
「そう、プリン」
秋穂は直くんが食べやすいように膝に乗せたままテーブルに近づいた。
「私が食べさせよう」
一緒に入っていた小さなスプーンで、柔らかなプリンを掬い、直くんの口に運ぶと、直くんは一度匂いを嗅いでから口を開けた。
「んっ!!」
口に入って甘みを感じた瞬間、直くんの目が大きく開いた。
幼児でも食べられる程よい甘さのプリンだが、直くん自身はここまで強い甘みは初めて感じたのかもしれない。
そこからは何度も口を開ける直くんのおねだりに合わせるように何度も口にプリンを運んだ。
あっという間に完食した直くんは満足そうに笑っていた。
「美味しかったかな?」
「おーちー」
「そうか、よかった」
プリンをお土産にして大成功だったな。
それからは卓くんたちが用意してくれていたおもちゃや絵本で遊ばせながら、あっという間に時間が経った。
小児病棟の夕食の時間は早い。
そろそろ夕食の時間にかかろうとする時、部屋をノックする音が聞こえて私が扉を開けに行った。
「お父さん!」
「そろそろくる頃だと思っていたよ。卓くんも仕事終わりに大変だったね」
「いえ。ここにくることをむしろ楽しみにしてましたから。夕食は全員分を頼みましたから一緒に食べましょう」
さすが卓くん、気がきくな。
部屋の中に入り、直くんが二人の姿を捉える。
「あーちゃ! ちゅぐぅちゃ!」
嬉しそうに呼びかける声に絢斗も卓くんも笑みを浮かべていて、すっかり親の顔になっている。
「あいちゃ、じいちゃ!」
直くんは私たちの呼び名を二人に教えているようだ。
「お父さんはじいちゃなんだ、可愛い」
「直くんはおじいちゃんと呼んでるつもりなんだよ。寛さんに確認を取らずに悪かったが、私のことはおじいちゃんと呼んでもらうようにしてもらった」
「そんな、父のことは気にしないでいいですよ。昇がおじいちゃんと呼んでますし、直くんからは別の呼び方にしてもらいましょう。寛と呼び捨てにするのも面白いかもしれませんよ」
卓くんは笑っているが寛さんを呼び捨てにするような強者はいない。
だが、確かに直くんが寛と呼び捨てにしたら、それは唯一無二の呼び方かもしれないな。
直くんに秋穂と絢斗が食べさせながら、みんなで楽しい夕食を過ごす。
幼い子どもが一人いるだけでこんなにも食卓の時間が変わるのかと思うほど楽しい時間だった。
絢斗が幼い頃を思い出す。
食べるのが好きな子だったから食事が大変だったことはない。
いつも可愛い笑顔で「おいちいねー」って言ってくれるから、私も秋穂も幸せだった。
直くんも一口食べるたびに「おーちーねー」と言ってくれる。
懐かしい日々を思い出しながらの夕食は最高だった。
今日は私たちが直くんの部屋に泊まる日だ。
心配なのは絢斗と卓くんが帰るのを直くんが寂しがらないかということだが、どうだろう。
「直くん、そろそろ帰るね」
「あーちゃ、ちゅぐぅちゃ、かえりゅ?」
「でもまた明日の朝、会いに来るよ」
「あちゃ?」
「うん。でも直くんは寂しくないよ。あきちゃんとおじいちゃんが一緒にお風呂に入って寝てくれるからね。直くんは一人にはならないよ」
「ひちょり、ない?」
「大丈夫」
絢斗の笑顔に安心したのか、直くんは秋穂にギュッと抱きついた。
「いってらっちゃい、ちゅる」
「直くん……」
寂しいに違いない。
それでも必死に秋穂に抱きついて悲しみを癒そうとしている。
本当にいじらしい子だ。
絢斗たちもそんな直くんの姿に後ろ髪を引かれる思いだろう。
でもここで四人で泊まっても仕方がない。
今日は私たちと直くんの距離を縮めるためなのだから。
可愛い直くんを抱っこして、扉まで見送る。
「いってらっちゃい」
その言葉に見送られて絢斗たちは帰って行った。
「さぁ、じゃあお風呂に入りましょうか」
「あいるたん、いっちょ」
「あいるたん?」
聞きなれない言葉に秋穂に聞き返すと、昨夜卓くんが用意していた風呂でのおもちゃらしい。
さすが、いいものを用意している。
私たちの着替えを持って、みんなで脱衣所に入ると一番目立つ場所に可愛いあひるのおもちゃが置かれていた。
それを直くんに渡し、遊んでいる間に私と秋穂は服を脱いだ。
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