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可愛い告白
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ようやく中谷くんの裏事情と彼の名前を出してみました♡
こんなカップルになりましたが、いかがでしょうか?
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side絢斗>
皐月が考えた伊織くんへのサプライズ。
伊織くんはもちろん、成瀬くんの驚いた表情も見られて大成功だった。
直くんはずっとご機嫌で伊織くんにも成瀬くんにもおとなしく抱っこされてよかった。
でも卓さんの顔を見ると今まで頑張っていた分が弾けちゃったのかな。
卓さんの腕の中におさまるとホッとした表情を見せていた。
「磯山先生、嬉しそう。直くんが自分を求めてくれたのがよっぽど嬉しいんだね」
「うん。本当にいい親子だよ」
「それは絢斗もだよ。最初に駐車場で絢斗に抱っこされていた時と、今の直くん同じ顔してるもん」
皐月がそう言ってくれて嬉しくなる。私もちゃんと直くんの親になれているみたいだ。
「あ、そういえば成瀬くん、一星くんと陽太くんは?」
「今ちょうど資料庫に……あ、来ましたよ」
事務所の中に事務の二人の姿が見えないことを思い出して尋ねると、ちょうど二人が戻ってきたみたい。
「あ、先生。噂の直くんですか?」
「ああ、志良堂と鳴宮くんが遊びにきてくれたから、安慶名くんと成瀬くんにサプライズがてら紹介していたところだよ。中谷くんと波多野くんにも紹介しよう」
卓さんは直くんを抱っこしたまま、二人に近づいた。
「わぁー、可愛いですね。どことなく先生にも絢斗さんにも似ていますね」
「ははっ。そうだろう。私もそう思っているんだよ」
「――っ!!」
一星くんの言葉に卓さんが満面の笑顔で答えたものだから、一星くんも陽太くんも驚きの色を隠せないみたいだ。
私には見慣れた卓さんの笑顔だけれど、事務所では見せることがないだろうから二人の驚きはかなりのものだろう。
「ちゅぐぅちゃ、だれー?」
また新しいお兄ちゃんの登場に、直くんはキョロキョロしながら卓さんに尋ねている。
私は急いで直くんと卓さんの元に駆け寄って教えてあげた。
「直くん。こっちのお兄ちゃんは、一星くんだよ」
「いっちぇい?」
「そう、一星くん。そして、こっちのお兄ちゃんは陽太くんだよ」
「よーたー」
きっとこの名前が直くんにとっては一番言いやすかったのかもしれない。
「よーたー」
嬉しそうに呼びかけるのを見て、少し卓さんが嫉妬している。
もう、本当に直くんが絡むとすぐに子どもっぽくなるんだから。
「直くん、このお兄ちゃんたちにも抱っこしてもらう?」
まだちょっと疲れているかな? と思ったけれど、直くんは笑顔で二人に手を伸ばした。
「だこ、ちてもらう」
その舌足らずな口調に二人にも笑みが溢れる。
まず抱っこしたのは一星くん。
彼にはまだ一歳にも満たない小さな娘ちゃんがいる。
一星くんは二年前、幼馴染の女性に迫られる形で体の関係を無理やり持たされてやむなく結婚をし、子どもができたものの、女性は出産後に記入済みの離婚届を残し、一星くんと子どもを捨てて失踪してしまった。念のためにDNA鑑定をしたところ、子どもは一星くんの子どもではなかった。けれど、一星くんはその子を育てる決断をし、卓さんと伊織くん、それに成瀬くんは一星くんの決断を守るために奔走していた。
一人で乳飲子を育てるのは大変だったけれど、そんな一星くんのことを好きだと言ってくれる男性が現れて今は、その彼と一星くんと娘ちゃんの三人で暮らしている。
ちなみにその彼は一星くんが大ファンの小説家。
ファンレターがきっかけで出会うことになったと卓さんたちに話をした時にはみんな心配していたけれど、その彼があのベストセラー作家の新海夏央だと聞いて驚いていた。
なんせ、高校在学中に作家デビューして以来、新人賞から権威ある賞まで総ナメにした、今日本で最も有名な小説家とも言われている人だ。桜城大学の文学部を卒業し、学部は違うものの彼の姿を見たこともある。
人間的にもものすごく優れた人だ。だから、一星くんの相手だと知って私は安心した。
「櫻子よりやっぱり大きいなぁ」
娘ちゃんとの大きさの違いに感動しているのもしっかりパパをしているんだなという印象だ。
一星くんは嬉しそうに抱っこすると、次は陽太くんとばかりにそちらに直くんを向けた。
「お、おいで」
小さい子どもに触れ合う機会がなさそうな陽太くんは恐る恐る手を伸ばすと、直くんが嬉しそうに手を伸ばす。
そしてそのまますっぽりとおさまった。
「おおー。抱っこされてる」
なんともいえない感動が押し寄せているみたいだ。ふふ、可愛い。
「あーちゃ!」
しばらく陽太くんの腕におさまっていた直くんが今度は私に手を伸ばす。
それに誘われるように私が手を伸ばすと直くんが嬉しそうに私の腕の中におさまった。
「直くん」
「あーちゃ! ちゅき!」
「――っ、あーちゃんも直くん好きだよ」
可愛い告白に私は直くんをギュッと抱きしめた。
こんなカップルになりましたが、いかがでしょうか?
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side絢斗>
皐月が考えた伊織くんへのサプライズ。
伊織くんはもちろん、成瀬くんの驚いた表情も見られて大成功だった。
直くんはずっとご機嫌で伊織くんにも成瀬くんにもおとなしく抱っこされてよかった。
でも卓さんの顔を見ると今まで頑張っていた分が弾けちゃったのかな。
卓さんの腕の中におさまるとホッとした表情を見せていた。
「磯山先生、嬉しそう。直くんが自分を求めてくれたのがよっぽど嬉しいんだね」
「うん。本当にいい親子だよ」
「それは絢斗もだよ。最初に駐車場で絢斗に抱っこされていた時と、今の直くん同じ顔してるもん」
皐月がそう言ってくれて嬉しくなる。私もちゃんと直くんの親になれているみたいだ。
「あ、そういえば成瀬くん、一星くんと陽太くんは?」
「今ちょうど資料庫に……あ、来ましたよ」
事務所の中に事務の二人の姿が見えないことを思い出して尋ねると、ちょうど二人が戻ってきたみたい。
「あ、先生。噂の直くんですか?」
「ああ、志良堂と鳴宮くんが遊びにきてくれたから、安慶名くんと成瀬くんにサプライズがてら紹介していたところだよ。中谷くんと波多野くんにも紹介しよう」
卓さんは直くんを抱っこしたまま、二人に近づいた。
「わぁー、可愛いですね。どことなく先生にも絢斗さんにも似ていますね」
「ははっ。そうだろう。私もそう思っているんだよ」
「――っ!!」
一星くんの言葉に卓さんが満面の笑顔で答えたものだから、一星くんも陽太くんも驚きの色を隠せないみたいだ。
私には見慣れた卓さんの笑顔だけれど、事務所では見せることがないだろうから二人の驚きはかなりのものだろう。
「ちゅぐぅちゃ、だれー?」
また新しいお兄ちゃんの登場に、直くんはキョロキョロしながら卓さんに尋ねている。
私は急いで直くんと卓さんの元に駆け寄って教えてあげた。
「直くん。こっちのお兄ちゃんは、一星くんだよ」
「いっちぇい?」
「そう、一星くん。そして、こっちのお兄ちゃんは陽太くんだよ」
「よーたー」
きっとこの名前が直くんにとっては一番言いやすかったのかもしれない。
「よーたー」
嬉しそうに呼びかけるのを見て、少し卓さんが嫉妬している。
もう、本当に直くんが絡むとすぐに子どもっぽくなるんだから。
「直くん、このお兄ちゃんたちにも抱っこしてもらう?」
まだちょっと疲れているかな? と思ったけれど、直くんは笑顔で二人に手を伸ばした。
「だこ、ちてもらう」
その舌足らずな口調に二人にも笑みが溢れる。
まず抱っこしたのは一星くん。
彼にはまだ一歳にも満たない小さな娘ちゃんがいる。
一星くんは二年前、幼馴染の女性に迫られる形で体の関係を無理やり持たされてやむなく結婚をし、子どもができたものの、女性は出産後に記入済みの離婚届を残し、一星くんと子どもを捨てて失踪してしまった。念のためにDNA鑑定をしたところ、子どもは一星くんの子どもではなかった。けれど、一星くんはその子を育てる決断をし、卓さんと伊織くん、それに成瀬くんは一星くんの決断を守るために奔走していた。
一人で乳飲子を育てるのは大変だったけれど、そんな一星くんのことを好きだと言ってくれる男性が現れて今は、その彼と一星くんと娘ちゃんの三人で暮らしている。
ちなみにその彼は一星くんが大ファンの小説家。
ファンレターがきっかけで出会うことになったと卓さんたちに話をした時にはみんな心配していたけれど、その彼があのベストセラー作家の新海夏央だと聞いて驚いていた。
なんせ、高校在学中に作家デビューして以来、新人賞から権威ある賞まで総ナメにした、今日本で最も有名な小説家とも言われている人だ。桜城大学の文学部を卒業し、学部は違うものの彼の姿を見たこともある。
人間的にもものすごく優れた人だ。だから、一星くんの相手だと知って私は安心した。
「櫻子よりやっぱり大きいなぁ」
娘ちゃんとの大きさの違いに感動しているのもしっかりパパをしているんだなという印象だ。
一星くんは嬉しそうに抱っこすると、次は陽太くんとばかりにそちらに直くんを向けた。
「お、おいで」
小さい子どもに触れ合う機会がなさそうな陽太くんは恐る恐る手を伸ばすと、直くんが嬉しそうに手を伸ばす。
そしてそのまますっぽりとおさまった。
「おおー。抱っこされてる」
なんともいえない感動が押し寄せているみたいだ。ふふ、可愛い。
「あーちゃ!」
しばらく陽太くんの腕におさまっていた直くんが今度は私に手を伸ばす。
それに誘われるように私が手を伸ばすと直くんが嬉しそうに私の腕の中におさまった。
「直くん」
「あーちゃ! ちゅき!」
「――っ、あーちゃんも直くん好きだよ」
可愛い告白に私は直くんをギュッと抱きしめた。
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