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番外編
なおくんのともだちがきた!
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「なおくん、おいで」
直くんの新しい友だちに、直くんは俺のものだと見せつけるために、俺は座ったまま直くんを抱っこして、みんながこっちにくるのを待った。
玄関先でじいちゃんとばあちゃんの楽しそうな声が聞こえる。
合間に直くんのパパの声も聞こえるけれど、聞いたことがない大人の声が何人か聞こえる。
これは誰だ?
一人はその友だちのおとーさんってことだよね?
櫻葉グループの会長さんだ。
じいちゃんとも仲良く話してそうだからきっと一人はその人。
女の人の声も聞こえるからそれはきっとその子のおかーさんかな?
あと二人くらい男の人の声が聞こえる。
あれは誰だろう?
直くんを抱っこしながらも、ずっと玄関の方に集中して声を聞いていると、
「もうーっ、パパたちおしゃべりばっかり! いちかもはやく、おともだちにあいたいよー!!」
という可愛らしい声が響き渡った。
「ははっ。わかった、わかった。それじゃあ、お邪魔させていただきますよ」
その言葉の後、数人が中に入ってくる足音が聞こえてくる。
とうとうきた!
俺は直くんをギュッと抱きしめたまま、入り口をじっと見つめていた。
<side保>
玄関チャイムが鳴り、沙都さんに声をかけられて出迎えにいく。
史紀さんとは仲良くさせてもらっているけれど、今日ここに来るのは櫻葉会長ご夫妻とご子息の一花くんのはず。
寛さんと沙都さんは櫻葉会長ご夫妻とも親しいみたいだけれど、そんなとこに私もついていっていいのか緊張してしまう。
確かに今日のことは私が史紀さんから話を受けて賢将さんに伝えたことで実現した顔合わせだけど、会長とは会社で初日に声をかけていただいた以来だし、ドキドキが止まらない。
「保くん、大丈夫よ。櫻葉さんはもちろんだけど、麻友子さんも保くんに会いたがっていたから」
「えっ? どうしてですか?」
「一花くんがね、お家で話していたみたいよ。ふみくんのお友だちに会ったって。とっても優しそうな人だったって話していたから麻友子さんも史紀さんにお友達ができてよかったって思っていたみたい。だから今日は直くんに一花くんを紹介する日でもあるけど、麻友子さんに保くんを紹介する日でもあるの」
そんなことを言われてさらに緊張が増してしまう。
ドキドキしつつも、とうとう玄関についてしまった。
寛さんが玄関を開けると、想像していたよりも多い人数が入ってきた。
「保くん。こんにちは」
「あ、史紀さん。どうして?」
「私が言い出しっぺだからね。ついてきたんだ」
史紀さんの笑顔にホッとする。来てくれてよかった。
「ふみくん。いちかにもたもつくんとおはなしさせてー」
「ははっ。ごめん、ごめん」
可愛らしい声が会長の後ろから聞こえてきたと思ったら、スッと出てきたのは貴船コンツェルンの次期総帥とその腕に抱かれたご子息の一花くん。
「えっ……」
まさか一緒に来られるとは思っても見なかった。
「せいくんが、いちかといっしょにいきたいっていうから、つれてきたのー。ねっ、せいくん」
「ああ、一花の友だちになる子は私も知っておきたいからな」
その言葉にご子息の一花くんは笑っていたが、次期総帥の表情は本気だ。
その様子を見て史紀さんが笑っているのが見える。
あっ、もしかして……
――征哉くんの嫉妬っぷりが楽しくて……
あの時もそう言っていたけれど、もしかして友だちになる直くんに嫉妬してここまでついてきたとか?
まさかと思いたいけれど、あの表情を見るとそれがしっくりくる。
次期総帥がまだ赤ちゃんと言ってもおかしくない直くんに、嫉妬……。
思わず笑ってしまいそうなのを必死に抑えた。
それからしばらく会長と寛さんの話が続いたからか、一花くんが声を上げた。
「もうーっ、パパたちおしゃべりばっかり! いちかもはやく、おともだちにあいたいよー!!」
「ははっ。わかった、わかった。それじゃあ、お邪魔させていただきますよ」
「わぁーい! せいくん、いこう!」
「では、失礼します」
次期総帥は一花くんを抱っこしたまま、沙都さんの後に続いてスタスタと部屋の奥に進んでいく。
私も急いでそのあとを追うと、リビングが見えるその場所で立ち尽くしている次期総帥の姿があった。
<side昇>
俺が直くんを抱っこして待っていると、突然見たことのない背の高い男の人が可愛い子を抱っこして現れた。
えっ、だれ?
俺が背の高い人を茫然として見ていると、あっちも俺を見てその場に立ち尽くしていた。
「わぁー! かわいいっ! ねぇ、せいくん。おろしてー!」
「ん? ああ」
せいくんと呼ばれた男の人は抱っこしていた可愛い子を下ろすと、その子がタタタっと俺と直くんの方に走ってきた。
「このこが、なおくん?」
「――っ、う、うん。そうだよ。ね、なおくん」
あまりにも可愛い顔で尋ねられて一瞬戸惑ってしまったけど、直くんを紹介できた。
そうしたら、直くんは可愛い笑顔でその子に挨拶した。
「いちょやま、なおー」
「わぁー! あいさつ、じょうずだねー。ぼくは、いちかだよ」
「いーちゃ?」
「かわいい! それがいい! いーちゃだよー!」
「ふふ。なお、じょーじゅ」
その子に褒められて、直くんはとっても嬉しそうに笑っていた。
直くんの新しい友だちに、直くんは俺のものだと見せつけるために、俺は座ったまま直くんを抱っこして、みんながこっちにくるのを待った。
玄関先でじいちゃんとばあちゃんの楽しそうな声が聞こえる。
合間に直くんのパパの声も聞こえるけれど、聞いたことがない大人の声が何人か聞こえる。
これは誰だ?
一人はその友だちのおとーさんってことだよね?
櫻葉グループの会長さんだ。
じいちゃんとも仲良く話してそうだからきっと一人はその人。
女の人の声も聞こえるからそれはきっとその子のおかーさんかな?
あと二人くらい男の人の声が聞こえる。
あれは誰だろう?
直くんを抱っこしながらも、ずっと玄関の方に集中して声を聞いていると、
「もうーっ、パパたちおしゃべりばっかり! いちかもはやく、おともだちにあいたいよー!!」
という可愛らしい声が響き渡った。
「ははっ。わかった、わかった。それじゃあ、お邪魔させていただきますよ」
その言葉の後、数人が中に入ってくる足音が聞こえてくる。
とうとうきた!
俺は直くんをギュッと抱きしめたまま、入り口をじっと見つめていた。
<side保>
玄関チャイムが鳴り、沙都さんに声をかけられて出迎えにいく。
史紀さんとは仲良くさせてもらっているけれど、今日ここに来るのは櫻葉会長ご夫妻とご子息の一花くんのはず。
寛さんと沙都さんは櫻葉会長ご夫妻とも親しいみたいだけれど、そんなとこに私もついていっていいのか緊張してしまう。
確かに今日のことは私が史紀さんから話を受けて賢将さんに伝えたことで実現した顔合わせだけど、会長とは会社で初日に声をかけていただいた以来だし、ドキドキが止まらない。
「保くん、大丈夫よ。櫻葉さんはもちろんだけど、麻友子さんも保くんに会いたがっていたから」
「えっ? どうしてですか?」
「一花くんがね、お家で話していたみたいよ。ふみくんのお友だちに会ったって。とっても優しそうな人だったって話していたから麻友子さんも史紀さんにお友達ができてよかったって思っていたみたい。だから今日は直くんに一花くんを紹介する日でもあるけど、麻友子さんに保くんを紹介する日でもあるの」
そんなことを言われてさらに緊張が増してしまう。
ドキドキしつつも、とうとう玄関についてしまった。
寛さんが玄関を開けると、想像していたよりも多い人数が入ってきた。
「保くん。こんにちは」
「あ、史紀さん。どうして?」
「私が言い出しっぺだからね。ついてきたんだ」
史紀さんの笑顔にホッとする。来てくれてよかった。
「ふみくん。いちかにもたもつくんとおはなしさせてー」
「ははっ。ごめん、ごめん」
可愛らしい声が会長の後ろから聞こえてきたと思ったら、スッと出てきたのは貴船コンツェルンの次期総帥とその腕に抱かれたご子息の一花くん。
「えっ……」
まさか一緒に来られるとは思っても見なかった。
「せいくんが、いちかといっしょにいきたいっていうから、つれてきたのー。ねっ、せいくん」
「ああ、一花の友だちになる子は私も知っておきたいからな」
その言葉にご子息の一花くんは笑っていたが、次期総帥の表情は本気だ。
その様子を見て史紀さんが笑っているのが見える。
あっ、もしかして……
――征哉くんの嫉妬っぷりが楽しくて……
あの時もそう言っていたけれど、もしかして友だちになる直くんに嫉妬してここまでついてきたとか?
まさかと思いたいけれど、あの表情を見るとそれがしっくりくる。
次期総帥がまだ赤ちゃんと言ってもおかしくない直くんに、嫉妬……。
思わず笑ってしまいそうなのを必死に抑えた。
それからしばらく会長と寛さんの話が続いたからか、一花くんが声を上げた。
「もうーっ、パパたちおしゃべりばっかり! いちかもはやく、おともだちにあいたいよー!!」
「ははっ。わかった、わかった。それじゃあ、お邪魔させていただきますよ」
「わぁーい! せいくん、いこう!」
「では、失礼します」
次期総帥は一花くんを抱っこしたまま、沙都さんの後に続いてスタスタと部屋の奥に進んでいく。
私も急いでそのあとを追うと、リビングが見えるその場所で立ち尽くしている次期総帥の姿があった。
<side昇>
俺が直くんを抱っこして待っていると、突然見たことのない背の高い男の人が可愛い子を抱っこして現れた。
えっ、だれ?
俺が背の高い人を茫然として見ていると、あっちも俺を見てその場に立ち尽くしていた。
「わぁー! かわいいっ! ねぇ、せいくん。おろしてー!」
「ん? ああ」
せいくんと呼ばれた男の人は抱っこしていた可愛い子を下ろすと、その子がタタタっと俺と直くんの方に走ってきた。
「このこが、なおくん?」
「――っ、う、うん。そうだよ。ね、なおくん」
あまりにも可愛い顔で尋ねられて一瞬戸惑ってしまったけど、直くんを紹介できた。
そうしたら、直くんは可愛い笑顔でその子に挨拶した。
「いちょやま、なおー」
「わぁー! あいさつ、じょうずだねー。ぼくは、いちかだよ」
「いーちゃ?」
「かわいい! それがいい! いーちゃだよー!」
「ふふ。なお、じょーじゅ」
その子に褒められて、直くんはとっても嬉しそうに笑っていた。
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