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番外編
ボールで遊ぼう!
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<side昇>
「ねぇねぇ、のぼるくん。なおくんといつもどんなことしてあそんでるの?」
せいやくんに抱っこされたまま、一花くんが俺に話しかけてくる。
何だかそのせいやくんの目がちょっと怖い。
「えっと……なおくん、ボールなげがすきなんだ。だから、あのにわであそんでるよー」
「わぁ! たのしそう! いちかもなおくんとあそびたい! ね、なおくんもあそびたいよねぇ」
「あちょぶー!」
直くんはすっかり一花くんが気に入ったみたいで嬉しそうに手を伸ばしている。
「ふふ、かわいい」
直くんに笑顔を見せている一花くんを見るせいやくんの顔がすごく優しそうだ。
何だかおとーさんがおかーさんを見るときのようなそんな感じ。
やっぱりこの人、一花くんが好きなんだな。
「じゃあ、いこー! せいくん、おろしてー」
一花くんの言葉にせいやくんが優しく腕をはなす。
すると、一花くんが俺と直くんの手を取っていっしょにたち上がろうとする。
「ちょっ、一花。俺も行くよ」
「せいくんはパパたちとおしゃべりしてていーよ。いこー、なおくん。のぼるくん」
「う、うん」
いいのかな? と思いつつ、直くんを放ってもおけなくて、一花くんといっしょに庭におりた。
すると部屋の中からさっと庭に下りてきた人影が見えて、視線を向けるとそこには直くんのパパがいた。
「僕も一緒に遊んでもいいかな?」
「あ、たもつくんだ! いいよ、いっしょにあそぼー!」
「じゃあ、僕も参加しようかな」
直くんのパパが庭に置いてあったサンダルに足を入れていると、また部屋の中から声が聞こえた。
誰だろう? と思っていると、一花くんが笑顔で声をかけた。
「ふみくんもいっしょにあそびたいの?」
「うん、保くんとはお友だちだからね」
「そっか、じゃああそぼー!」
一花くんが次々にさそうから、結局庭で俺と直くんと一花くんと直くんのパパとふみくんっていう人と五人で遊ぶことになった。こんなにいっぱいになるなら、あのせいやくんもいっしょでもよかった気がするけど……。
そっとせいやくんを見ると、じいちゃんや大おじさんたちに囲まれて話をしているのが見える。
そっか、きっと一花くんはせいやくんがじいちゃんたちと話がしたいのを知っていたんだろうな。
それなら、ここにいるみんなで遊ぼうっと!
俺はいつものやわらかくてちょっと大きなボールを取って、直くんにわたした。
「なおくん、ぽーんってして」
「えーいっ!」
直くんが思いっきり投げると、ボールはぽんぽんぽんとはずんで直くんのパパのところに行く。
「わぁー! なおくん、じょーず。じょーず!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねて直くんをほめる一花くんを見ながら、嬉しそうにボールを取った直くんのパパが、今度は一花くんに投げた。
ぽんぽんとはずんだボールを一花くんがとると、直くんがたのしそうに
「じょーじゅ!」
と声をかける。
その笑顔がとっても可愛くてたまらない。
一花くんからふみくんって人にボールがいって、今度は俺のところにボールがやってくる。
直くんと一花くんに恥ずかしいところは見せられないな。
ポーンと投げられたボールが地面にはずむ前に、取りに行った。
がしっと捕まえて得意げな顔を見せると直くんと一花くんが
「すごい、すごーい!」
「のぼりゅ、ちゅごーい!」
と二人してほめてくれる。
やばい、これ……めちゃくちゃ楽しいな!
調子に乗って、それからもボールで遊んでいるとばあちゃんの声がとんできた。
「さぁさぁ、そろそろお昼にしましょう。みんなで手を洗ってきて」
「わぁー、なおくん。ごはんだよー。おててあらいにいこー! のぼるくんもたもつくんもふみくんもいくよー!」
一花ちゃんがまるで先生みたいに俺たちに声をかけてきて、ちょっと笑ってしまった。
「一花くんはいつもこうしてクラスの子に声をかけているそうだよ。みんなのお兄ちゃんみたいな感じかな」
ふみくんって人が教えてくれる。
そっか……だから直くんともああやって楽しく遊べるんだな。
「ねぇねぇ、のぼるくん。なおくんといつもどんなことしてあそんでるの?」
せいやくんに抱っこされたまま、一花くんが俺に話しかけてくる。
何だかそのせいやくんの目がちょっと怖い。
「えっと……なおくん、ボールなげがすきなんだ。だから、あのにわであそんでるよー」
「わぁ! たのしそう! いちかもなおくんとあそびたい! ね、なおくんもあそびたいよねぇ」
「あちょぶー!」
直くんはすっかり一花くんが気に入ったみたいで嬉しそうに手を伸ばしている。
「ふふ、かわいい」
直くんに笑顔を見せている一花くんを見るせいやくんの顔がすごく優しそうだ。
何だかおとーさんがおかーさんを見るときのようなそんな感じ。
やっぱりこの人、一花くんが好きなんだな。
「じゃあ、いこー! せいくん、おろしてー」
一花くんの言葉にせいやくんが優しく腕をはなす。
すると、一花くんが俺と直くんの手を取っていっしょにたち上がろうとする。
「ちょっ、一花。俺も行くよ」
「せいくんはパパたちとおしゃべりしてていーよ。いこー、なおくん。のぼるくん」
「う、うん」
いいのかな? と思いつつ、直くんを放ってもおけなくて、一花くんといっしょに庭におりた。
すると部屋の中からさっと庭に下りてきた人影が見えて、視線を向けるとそこには直くんのパパがいた。
「僕も一緒に遊んでもいいかな?」
「あ、たもつくんだ! いいよ、いっしょにあそぼー!」
「じゃあ、僕も参加しようかな」
直くんのパパが庭に置いてあったサンダルに足を入れていると、また部屋の中から声が聞こえた。
誰だろう? と思っていると、一花くんが笑顔で声をかけた。
「ふみくんもいっしょにあそびたいの?」
「うん、保くんとはお友だちだからね」
「そっか、じゃああそぼー!」
一花くんが次々にさそうから、結局庭で俺と直くんと一花くんと直くんのパパとふみくんっていう人と五人で遊ぶことになった。こんなにいっぱいになるなら、あのせいやくんもいっしょでもよかった気がするけど……。
そっとせいやくんを見ると、じいちゃんや大おじさんたちに囲まれて話をしているのが見える。
そっか、きっと一花くんはせいやくんがじいちゃんたちと話がしたいのを知っていたんだろうな。
それなら、ここにいるみんなで遊ぼうっと!
俺はいつものやわらかくてちょっと大きなボールを取って、直くんにわたした。
「なおくん、ぽーんってして」
「えーいっ!」
直くんが思いっきり投げると、ボールはぽんぽんぽんとはずんで直くんのパパのところに行く。
「わぁー! なおくん、じょーず。じょーず!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねて直くんをほめる一花くんを見ながら、嬉しそうにボールを取った直くんのパパが、今度は一花くんに投げた。
ぽんぽんとはずんだボールを一花くんがとると、直くんがたのしそうに
「じょーじゅ!」
と声をかける。
その笑顔がとっても可愛くてたまらない。
一花くんからふみくんって人にボールがいって、今度は俺のところにボールがやってくる。
直くんと一花くんに恥ずかしいところは見せられないな。
ポーンと投げられたボールが地面にはずむ前に、取りに行った。
がしっと捕まえて得意げな顔を見せると直くんと一花くんが
「すごい、すごーい!」
「のぼりゅ、ちゅごーい!」
と二人してほめてくれる。
やばい、これ……めちゃくちゃ楽しいな!
調子に乗って、それからもボールで遊んでいるとばあちゃんの声がとんできた。
「さぁさぁ、そろそろお昼にしましょう。みんなで手を洗ってきて」
「わぁー、なおくん。ごはんだよー。おててあらいにいこー! のぼるくんもたもつくんもふみくんもいくよー!」
一花ちゃんがまるで先生みたいに俺たちに声をかけてきて、ちょっと笑ってしまった。
「一花くんはいつもこうしてクラスの子に声をかけているそうだよ。みんなのお兄ちゃんみたいな感じかな」
ふみくんって人が教えてくれる。
そっか……だから直くんともああやって楽しく遊べるんだな。
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