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番外編
害虫駆除のお礼は
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前話の『噂の悠亮さん』の逆バージョンを書こうと思って書き出したんですが違う方向に向いちゃいました(汗)
なんでだろう? また次回チャレンジします。
というわけで全然違う話になりましたが、楽しんでいただけると嬉しいです。
時系列的には二つ前のお話の『力を貸してください』の序章のようなお話です。
* * *
俺の可愛い恋人・葉月は入社してきた時から男女問わず人気者だ。しかも営業で外回りに行く葉月は社内だけでなく社外でもファンは多い。だが、本人だけはその事実を知らない。それはなぜか。俺が全ての芽を摘んできたからだ。
入社してすぐに葉月の教育係となった俺は、葉月には心から愛する相手がいて、その人以外に心を奪われたりはしない一途なやつだから、浮気や不倫には嫌悪感を抱いているから誘いには絶対に乗らないという噂を流した。もちろん、葉月の耳には入らないように細心の注意を払って。
そのおかげで葉月に直接アプローチをかけてくるやつはほとんどいなかったが、それでも俺を通してチョコを渡して欲しいだの、連絡先を伝えて欲しいだの、合コンに参加して欲しいだの言ってくるやつはいたが全て葉月の耳に入れずに断った。
そのおかげもあって、入社二年目を迎える頃には葉月に声をかけてくるやつはいなくなった。
だが厄介なのは新入社員が入ってくる四月。俺にもアプローチしてくる奴らもいるが、葉月をターゲットにする奴が増える時期だ。
これが本当に面倒くさい。
その中でも営業部に入ってきた新入社員は、即座に可愛い葉月に目をつけ些細なことで葉月に声をかける。
葉月は優しいからそれに丁寧に回答してあげてるのだが、正直聞いてきた本人は葉月に夢中で話は全く聞いていない。
俺がいるときは、わざとその間に割り込んでさっさと葉月をそいつらから引き離すのだが、四六時中一緒にいるわけにもいかず、気づいた時には葉月のポケットや机に連絡先が入れられていたり、食べ物を置かれたりしている。
俺はそれを葉月が気づく前にそっと処分するのだが、それもイタチごっこ。だから俺は葉月にアプローチしている奴全てに接触して軽い仕事の手伝いを頼み、お礼名目で男を紹介した。
俺のゲイ仲間の中にはバイの奴も結構いて、しかもみんな誰もが知る大手企業に勤めている。
葉月に気がある奴らは最初こそ遠慮していたが、企業名を教えれば目の色を変えて飛びついてきた。そうして会ったが最後、すぐに付き合い初め、葉月のことはあっという間に忘れてしまう。
なぜなら俺の友人たちと一度セックスしてしまったら、普通の男では物足りない身体になってしまうのだ。そんなセックスに慣れきってしまったら、可愛い葉月には見向きもしなくなるのは当然だ。
そして、今年も葉月を守りつつ、葉月が入社して三年目の春がやってきた。
葉月が一人で担当する営業先は、俺が吟味に吟味を重ねた相手だけに決め、それ以外の営業先は俺と二人一組で回るように会社に圧力をかけている。会社としても営業2トップの俺たちが抜けるのは困るということで守ってくれるからありがたい。
今日は葉月が一人で営業先に行っている間に、俺は社員食堂で新入社員が話をしているところに遭遇した。
「ねぇねぇ、営業部の葉月先輩。超可愛くない?」
「わかる!! 三つ上とは思えないよねぇー!!」
「私も秘書課じゃなくて、営業にすればよかったー。そうしたらお近づきになれたのに……」
「でもさ、秘書って響きに靡くかもよ。声かけたらワンチャンあるかも!!」
「えっ、でも私、葉月先輩の噂聞いたよー! すっごく大切にしている恋人がいるから浮気とか考えられないって!」
「いやいや、そんなの言ってるだけだって。葉月先輩も可愛いけど男なんだから誘われたらフラフラっときちゃうって。明日美、巨乳だしスタイルいいし、絶対イケるって!」
「そうかなー、じゃあ頑張ってみようかなー」
ふざけんな。何が頑張ってみようかなだよ。葉月はそんな肉肉しい身体に興味ないんだよ。
葉月は自分を異性愛者だと思ってるが、俺の見立てでは絶対にこっち側なんだ。あいつが女を気持ちよくさせるなんて絶対にないんだよ!! 俺の身体で気持ちよくさせようとチャンスを窺ってるんだから邪魔すんなよな。
俺は深呼吸して、わざと大袈裟に社員食堂に入り彼女たちの注目を集め、彼女たち3人を簡単な手伝いに誘った。お礼がてらジュースを奢りながら世間話をして、友人が合コンメンバーを探している話を出し、彼女たちをその合コンに送り込むことに成功した。
なんせ相手は現役パイロットたち。もちろんバイの。
ついさっき葉月とワンチャンを狙っていたやつも目を輝かせて参加をOKした。参加したが最後、もう葉月に寄ってくることはないだろう。
これでいい。害虫駆除をしてくれた友人たちへのお礼は倉橋先輩の開発した最高級ローション。一般流通していないこれを俺が手に入れられるから、友人たちも喜んで力を貸してくれるんだ。本当に先輩さまさまだな。
それにしても飽きることなく変な虫が近づいてくる。本当に葉月が可愛すぎて困る。
だから俺は決めたんだ。葉月を早く自分のものにするって。そうして俺は葉月をものにするべく、倉橋先輩に頼みに行った。
なんでだろう? また次回チャレンジします。
というわけで全然違う話になりましたが、楽しんでいただけると嬉しいです。
時系列的には二つ前のお話の『力を貸してください』の序章のようなお話です。
* * *
俺の可愛い恋人・葉月は入社してきた時から男女問わず人気者だ。しかも営業で外回りに行く葉月は社内だけでなく社外でもファンは多い。だが、本人だけはその事実を知らない。それはなぜか。俺が全ての芽を摘んできたからだ。
入社してすぐに葉月の教育係となった俺は、葉月には心から愛する相手がいて、その人以外に心を奪われたりはしない一途なやつだから、浮気や不倫には嫌悪感を抱いているから誘いには絶対に乗らないという噂を流した。もちろん、葉月の耳には入らないように細心の注意を払って。
そのおかげで葉月に直接アプローチをかけてくるやつはほとんどいなかったが、それでも俺を通してチョコを渡して欲しいだの、連絡先を伝えて欲しいだの、合コンに参加して欲しいだの言ってくるやつはいたが全て葉月の耳に入れずに断った。
そのおかげもあって、入社二年目を迎える頃には葉月に声をかけてくるやつはいなくなった。
だが厄介なのは新入社員が入ってくる四月。俺にもアプローチしてくる奴らもいるが、葉月をターゲットにする奴が増える時期だ。
これが本当に面倒くさい。
その中でも営業部に入ってきた新入社員は、即座に可愛い葉月に目をつけ些細なことで葉月に声をかける。
葉月は優しいからそれに丁寧に回答してあげてるのだが、正直聞いてきた本人は葉月に夢中で話は全く聞いていない。
俺がいるときは、わざとその間に割り込んでさっさと葉月をそいつらから引き離すのだが、四六時中一緒にいるわけにもいかず、気づいた時には葉月のポケットや机に連絡先が入れられていたり、食べ物を置かれたりしている。
俺はそれを葉月が気づく前にそっと処分するのだが、それもイタチごっこ。だから俺は葉月にアプローチしている奴全てに接触して軽い仕事の手伝いを頼み、お礼名目で男を紹介した。
俺のゲイ仲間の中にはバイの奴も結構いて、しかもみんな誰もが知る大手企業に勤めている。
葉月に気がある奴らは最初こそ遠慮していたが、企業名を教えれば目の色を変えて飛びついてきた。そうして会ったが最後、すぐに付き合い初め、葉月のことはあっという間に忘れてしまう。
なぜなら俺の友人たちと一度セックスしてしまったら、普通の男では物足りない身体になってしまうのだ。そんなセックスに慣れきってしまったら、可愛い葉月には見向きもしなくなるのは当然だ。
そして、今年も葉月を守りつつ、葉月が入社して三年目の春がやってきた。
葉月が一人で担当する営業先は、俺が吟味に吟味を重ねた相手だけに決め、それ以外の営業先は俺と二人一組で回るように会社に圧力をかけている。会社としても営業2トップの俺たちが抜けるのは困るということで守ってくれるからありがたい。
今日は葉月が一人で営業先に行っている間に、俺は社員食堂で新入社員が話をしているところに遭遇した。
「ねぇねぇ、営業部の葉月先輩。超可愛くない?」
「わかる!! 三つ上とは思えないよねぇー!!」
「私も秘書課じゃなくて、営業にすればよかったー。そうしたらお近づきになれたのに……」
「でもさ、秘書って響きに靡くかもよ。声かけたらワンチャンあるかも!!」
「えっ、でも私、葉月先輩の噂聞いたよー! すっごく大切にしている恋人がいるから浮気とか考えられないって!」
「いやいや、そんなの言ってるだけだって。葉月先輩も可愛いけど男なんだから誘われたらフラフラっときちゃうって。明日美、巨乳だしスタイルいいし、絶対イケるって!」
「そうかなー、じゃあ頑張ってみようかなー」
ふざけんな。何が頑張ってみようかなだよ。葉月はそんな肉肉しい身体に興味ないんだよ。
葉月は自分を異性愛者だと思ってるが、俺の見立てでは絶対にこっち側なんだ。あいつが女を気持ちよくさせるなんて絶対にないんだよ!! 俺の身体で気持ちよくさせようとチャンスを窺ってるんだから邪魔すんなよな。
俺は深呼吸して、わざと大袈裟に社員食堂に入り彼女たちの注目を集め、彼女たち3人を簡単な手伝いに誘った。お礼がてらジュースを奢りながら世間話をして、友人が合コンメンバーを探している話を出し、彼女たちをその合コンに送り込むことに成功した。
なんせ相手は現役パイロットたち。もちろんバイの。
ついさっき葉月とワンチャンを狙っていたやつも目を輝かせて参加をOKした。参加したが最後、もう葉月に寄ってくることはないだろう。
これでいい。害虫駆除をしてくれた友人たちへのお礼は倉橋先輩の開発した最高級ローション。一般流通していないこれを俺が手に入れられるから、友人たちも喜んで力を貸してくれるんだ。本当に先輩さまさまだな。
それにしても飽きることなく変な虫が近づいてくる。本当に葉月が可愛すぎて困る。
だから俺は決めたんだ。葉月を早く自分のものにするって。そうして俺は葉月をものにするべく、倉橋先輩に頼みに行った。
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