婚約破棄? 婚約者は私ではなく……あ、そこにいらっしゃるようですよ!

「クリアーネ・ティシントン! おまえとの婚約を破棄する!」

「わたくしとの婚約は十二の時に解消されております。それも殿下がわたくしを拒否なさったからです。ご記憶ではありませんか? そう『こんな醜女と結婚したくない』とおっしゃったのです」
 殿下はぱくりと口を開いて、鯉のようにしばらく黙りました。よかった、思い出してくださったようです。
「それは……それは……だが……では、私の婚約者は誰なのだ……?」
24h.ポイント 142pt
23
小説 7,199 位 / 183,836件 恋愛 3,207 位 / 56,024件