となりの席の変態さん

夏休み編

天に向かって

のんびりとした営業終了の喫茶店
片付けを終えた俺たちは
おじさんがいるリビングに向かい
舞が用意した夕飯を食べている。



「いや～すまんね秋兎くん、冬花ちゃん」

神川お父さんは腰をさすりながら
こちらに会釈した


「大丈夫ですよお父さん……腰大丈夫ですか？」

「大丈夫だよ…歳わ取りたくないね……自慢の腰がこのざまとは……」


「何かスポーツしてたんですか？」

「夜のスポーツを少々……ってぐぼら！」


おじさんが女子中学生に下ネタを言った瞬間
舞が腰を軽く叩いた。


「痛いじゃないか！我が娘よ！？」

「セクハラしないで」

「セクハラはしてないだろ？」

「言葉でもセクハラになるのよ？」

「……まじで？」

「まじでよ」

「…………そうなのか」

何か神川お父さん落ち込んだ……
冬花は全く気にせず食べている


「秋兎くん……娘が虐めてくるんだが？」

「自業自得です」

「辛辣な兄ちゃんだね冬花ちゃん……」

「ん？兄ちゃんは優しい兄ちゃんだよ？」

「そうよパパ優しい彼氏よ？」

「モテモテですな秋兎くん…羨ましい！」

「や、やめてくださいよ」

「いいもん！俺には母さんがいるもん！かーさぁーん！愛してまぁァす！！」


そう言うと神川お父さんは天井にむかって
吠えた。

そう……天井に…天にむかって。







喫茶店に着いてすぐ舞に聞いたことだが
舞のお母さんは10年前に亡くなっている
そうだ……交通事故……だったらしい。
亡くなっているのは何となく気付いていた。
リビングの仏壇の供え物が
随分と可愛かったしな……






「もう…パパったらラブラブね」

「おうよ！ラブラブloveだぜ！」

「すごいですね！」

「おうよ！…秋兎くんも負けないようにまぁ努力しなさい！がはは！」

そう言うと神川お父さんは笑った。
すこし寂しそうに……



時間は少し過ぎて風呂の時間
今は舞と冬花が入っている……目的達成だな
舞は……頑張れ！冬花！