まさか転生? 

花菱

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「エアさん、大変です! 作物に関してはかなりの量があるので問題ないとは思いますが、その他の商品が今ある分で足りるか足りないか……足りたとしても、明日の分が足りないだろうとダニエルが!
 商業ギルドの方は、状況を見て1人走って戻られました。おそらくギルドへの報告だろうと思いますが」

「今から急いで作りませんか? お手伝いしますので!」

 別荘でモフモフまみれになって遊んでいる所に、念の為待機していたマルセルさんとシモンさんが慌てて駆け寄ってきた(良かった簡易扉設置してて)

 どうやら人が人を呼びお店は大変な人だかりになっているらしい。幸いキチンと対応は出来ているらしいのだが商品の在庫が心配になるほどとは……

 でも確かに今後の事も考えて作り方を覚えて欲しいと思っていた飴作りと、ポーションの瓶詰作業を手伝って貰えればとても助かる。

「おにぇがいちまちゅ! じゃっくしゃんたちみょ、てちゅだっちぇ♪」

 
 急いで別荘内のキッチンに移動して、まずはお薬キャンディーを一緒に作ればすぐに覚えてくれて、味の違いで発生する注意点を伝えておけば大丈夫!

 キャンディーは任せてポーション作成なんだけど、錬金釜で作れる量は最大20本なんだよね~。

 もしものために錬金釜を複製して……複製した物に魔法を付~与~! どうだ、できたか!?


 《錬金釜・改良版》
 一度に作成できる量が大幅に増えたよ! 以前は20本程度だったけど!?
 瓶に入った状態で出来るから、瓶詰作業の必要がなくなったわよ~♡
 光を発したら蓋を閉めてご覧なさい。どのタイプを作っても最適もしくはイメージした容器に詰められた状態に。
 (神より)
 エア所有の錬金釜全てを同じようにしておいた。ポーション以外にも使えるぞ。
 

 鑑定した瞬間、思わず天高くガッツポーズ!!

『ありがとう神様! メッセージを見れば協力してくれたのがすぐわかる♪ 瓶詰なし!? 最高だわ~♪』



 その後、嬉しさ全開でポーションを作成。今までと同量を入れてみるとまだ余裕だったので、様子を見ながら追加した結果3回分の材料が投入可能になっていた。
 出来たポーションは今まで使っていたポーション瓶と寸分違わぬ瓶に入っていて、なんと120本! 3回分の材料で6回分の量……2倍の生産が出来るとは!!

 素材を集めるのは薬草畑で育てているので苦労はないし、作れる量が多くなったからとっても楽ちん♪


 神様からのメッセージを信じて、前回は時間が掛かったクリームやシャンプーなども、ポイポイ素材を入れてクルクルクル~♪ 蓋を閉めて錬金釜がポワ~ッと光ったら完成!

 ホントステキ! クリームも何もかも、一気に大量生産が出来てる~! 思わず錬金釜に抱き着いてスリスリスリスリスリスリ♡



〔〔〔〔エア……〕〕〕〕 

〔エア~、嬉しかったのは分ったから戻ってこい。用意する物は終わったのか?〕

 はっ! 失礼、興奮しすぎてしまいました。落ち着いて、冷静に……ん? "ポーション以外にも"ってなってたよね?
 もしかして……?


 思い付いた通り、出来てしまいました! イェ~!!

 錬金釜でワックスペーパーも、もちろん蜜蝋もだけど、何よりも驚いたのは、お薬キャンディーと普通の飴ちゃんがキッチリワックスペーパーに包まれた状態で出来た事……包むのもなかなか手間のかかる作業なので助かるけど♪


「それどうなってるんだ!? 何で紙を入れてないのに、包まれて出てくるんだ!?」

「凄~い、これいいね、仕事がはかどるね~」

「さすがエアさんの持ち物ですね。1度に出来る量も凄いですが、完成品になるとは」

「……これで楽になる……良かった。エアは頑張りすぎ」


 ザックさん達が錬金釜の高性能さ加減に興奮したり感動したり、わたしの仕事量が増えている事を気にしてくれたりと忙しいけど、飴ちゃん作りからはキッチンで始めた事もあり、側でキョトンと見ていたマルセルさんとシモンさんは……

「え、あれ? 錬金釜ってこんな事出来たっけ!?」

「いや、前に見たことが一度あるが……絶対違った! でも


 またか~!! またよく聞く"エアだから"だ……でもいいんだもん! 本当に助かるからね♪



 そんなこんなしながら皆の協力があって、補充分が完成~!

 お店にはマルセルさん達に届けてもらって、別荘に残ったわたしは……今出来る事をする!



「⦅ザックさん、ちょっと森に行ってくるね! ビャク達行こう⦆」

〔〔いく~♪ なにするの?〕〕 

「⦅ふふふ、美味しい物を作るのに必要な道具作りだよ~⦆」


 そう美味しい物……ハムやベーコンの燻製室とかなんだけど、ただね? 嬉しい誤算があったの♪

 カカオなんだけど本当ならカカオポッドからカカオ豆の取り出しや発酵とか時間と手間がかかるんだけど、この世界のカカオはアボカドに似ていて果肉も種もチョコになるんだけど、果肉はホワイトチョコで種は茶色いチョコになるんだよ!

 でもその結果、発酵が要らないって事になったんだけど……果肉はそのまま加熱で良いけど、種は焙煎が必要なのは変わらない。


 おっと、話がそれてしまったが、わたしが急いで作りたいのは燻製室なの! ハム、ベーコンもだけど、ウインナーが食べたいんだ~!! あとサラミ~


 密閉性の高い物の方が、温度も保たれやすいし香りも付きやすい。棚を作って並べられる所がいるけど煙と熱が通るように網が良いし、吊るせる場所がいる。
 チップに食材からの脂が落ちるといけないのでチップ置き場には傘がいるし……



 身近にいるのがよく食べる人ばかりなので、完成したのは燻製屋さんでも開くのかと思えるほど大きな燻製ではなく、燻製……いやこれはだね。
 流石にやり過ぎたかと思ったけど、いっぱい作れて便利だし"大は小を兼ねる"って言うし別にいいか♪



 燻製の仕込みに取り掛かる。魔法を使って上手くいけば今日中に食べれる物が出来るかも? 

 燻煙法は種類があるけど、食材を考えてまずはベーコンにするのに温燻、その後生ハムで冷燻かな? 工程も簡単な物で、味付けもしくは塩漬け→乾燥→燻煙だし。

 あ~!! ソーセージ作ってなかった~! 燻製下準備の休ませ中に解体して……ダメだ……ギルドに出す分しか残ってない……


 インベントリ内のオークの数を思い出して思わず膝から崩れ落ちてしまった……。

〔どうした!? 何か問題か?〕

 ルンルンしていたのに突然崩れ落ちたのを心配して、ビャク達モフモフ軍団を始めザックさん達も寄ってきた

「⦅持ってたオークを全部ギルドに出す約束しちゃったからね、今思い付いたことが出来ない事に気付いちゃったんだよ……
 次外に出る時までのお預けなんだ……⦆」

〔それは新しい食べ方か?〕

「⦅ん~? あるかどうかわかんないんだよね~。ミンチにしたお肉の料理なんだけど⦆」

〔オークが良いのか? 他のでは無理なのか〕

「⦅ダブルホーンブル、ミノタウロスでもいけるかも!? それならある、やってみよう! じゃあ、その前に燻製から♪⦆」


 水と砂糖、塩コショウとハーブに1日~2日間漬け込み、塩抜き1時間ほどしたらボイルして乾燥のタイプと、塩コショウとハーブを直接揉み込んで寝かせるタイプの2種類に挑戦してみることに。
 お肉を寝かせるのはウエストポーチで出来るから簡単だしね♡ 


 初挑戦だから不安だけど、失敗しても何とか調理して食べれるはず! ジャーキーも作ってみようっと♪



 解体していたミノタウロスの腸を調べてみたら……綺麗になってるけどケーシングにはなってなかったので、イメージの力を利用して創造魔法を実行。

「⦅うふふふふふ……できた~! やったよ、やりました! これで出来る……と思う⦆」

 世界辞書と創造魔法様様だね~、一瞬で完成するなんて♪


 この際中身もミノタウロスにしようとミンサーにどんどん入れていき、塩コショウに少しの砂糖、タイムなどのハーブを加え手の熱で肉の脂が溶けないように、ボールの表面をほんの少し冷やしながら魔法で混ぜる作業を大量に作っていく。

 同じ味ばかりではなくハーブを変えて数種類を、お店への商品補充を終えて戻ってきたマルセルさん達も一緒になって作っていく……が、もうかなりのお肉が用意できたしそろそろいいかな~? と思うのに何故か全員から"まだまだ足りない!"と猛反対されて延々と作り続けている。 


 どんだけ作ればいいんでしょうか!? 流石にもういいでしょう!?



 ミンサーを2台複製して合計3台で手分けをして、ケーシングに肉を詰めていくが詰め過ぎると破れてしまうので様子を見ながら……でもさすが厨房に立っていただけあって、マルセルさんもシモンさんも簡単な説明ですぐコツを掴むから早く詰め終えたので、今度は食べやすい長さにねじりまとめたら吊るして乾かす。


 とんでもない量になりました……ウインナー屋さんに転職かな!?


 表面が乾く程度に風を当てたら80度のお湯で15~20分茹でればいいはず!

 確か高温で茹でたら破れやすいんだったかな? 魔法は良いよね~、何度も感じるけど今回のお湯にしても温度計要らないもん♪


「できちゃ~!!」

「これで完成ですか!?」

「なかなか大変ですが、この道具のお陰でかなり楽ですね」

 マルセルさんとシモンさんは、やっぱり気になる所が料理人だわ。そして……食いしん坊さん達は……

〔〔もうたべれる?〕〕 

〔〔気になるな! 早く食べてみたい〕〕

「「「もう食べていいの!? 味が気になる」」」

「これがオークでしたかった調理法ですか? ミノタウロスの出来が気になりますね、ミノタウロスは高級肉ですが、どう変わったのか?」

〔お肉という事だけでなく、エアさんが作った事でさらに気になります〕

 かなり興味津々だ~! でも確かに気になるよね……まずそのままと、軽く焼いて味見してみようかな?



「「「「おっっいし~い!!」」」」

 凄い力入ってたな……でも出来立て食べるの初めてだけど、ホント美味しいコレ!

〔〔〔〔〔おいしい!〕〕〕〕〕

「これはまた……肉の旨味がとんでもない」

「初めて食べました、とても美味しいですね!」



「こんじょは、かりゅく、やいちぇ焼いてみよ~!」

「焼くんですか? 分かりました」



 フライパンで表面に焼き色が軽く付く程度に……やばい……いい匂いが~

「食べる前から分かる、間違いなく美味しい!」

「……匂いが……早く」

「良かった~、いっぱい作って。これ絶対間違いなく皆たくさん食べるよ~、止まらないね、想像だけど~」

「いや間違ってないだろう。見ろ……凄いから……」


 ん? おぉぅ……凄い事になってるねビャク達全員、アサギちゃんまでも大量のヨダレが



「さっきのもお肉の感じが強くておいしかったですが、今度は噛んだときプリッて!!」

「プリッでジュワッ~。たまりません!」

 マルセルさん達興奮し過ぎ、落ち着いて~。



〔〔えあ~、もうない~?〕〕

「もうちょっと食べたいよ~。これ美味しい~」

「……あともう一本……おねがい」

「だめでしゅよ? こりぇは、あじみでしゅかりゃにぇ?」

 まったく何を言っているのか……みんなお仕事中で頑張っているんですよ!? ふ~、やれやれ。
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