まさか転生? 

花菱

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 グランデシープの扱いは、ミューやコッコ、ハニ―ビー達と同じで、基本別荘だけど、希望を受けて農場で生活することになった。
 もちろん毛を刈って身軽になっても、人を襲わない約束で(元々の性格上その心配は全くないんだけど一応)


 あと毛だけじゃなく、仔を育てるのに必要な分以外の乳をもらえる事に話がまとまったんだよ! グランデシープのミルクはミューとは違いそのまま飲むんじゃなくて、チーズに適してるんだって♪

 前世で良く慣れているのは牛の乳だけど、それと変わらないくらいグランデシープのミルクは使い勝手が良くて味が濃いんだって(鑑定先生が教えてくれた) 




 連れて帰るにもこのままじゃダメだし。どうやって街に連れて入ろう?


 毛刈りは生まれて初めての事、子供達が不安だろうと思うので大人から開始……ちょっと待って、毛刈りバサミなんて持ってないし、もしあってもこんなに大きいのに無理だよね!?

 魔法って言っても……毛刈り魔法なんてないし、料理の時みたいに風属性魔法でってわけにもいかないし(身を切っちゃう)
 羊さん達の身体を傷つけずに、毛だけ刈り取って……でも今まで一度も毛刈りしてないんなら急激な温度変化で体調崩すかも!?

 うぅぅ~ん。何かいい方法は無いの? 神様どうしよう? (ピンポーン♪)この音は!?


ステータス
『名前』
   エア・ルミナード  (相沢あいざわ    はるか)
『年齢』3   『性別』女
『種族』人族   『レベル』85
『HP』18000
『MP』∞
『魔法』
   火・水・風・地・無・光・闇
『スキル』
   各種異常耐性
   各種攻撃耐性
   創造魔法
   空間魔法  
   悪意察知  
   生活魔法
   気配察知
   魔力感知    
   転移魔法
   治癒魔法  
   投影魔法   
   魔力視   
   インベントリ
   マップ
   言語理解
   世界辞書  
   剣術
   鑑定
   解体
   複製   
   錬金術
『従魔』
   フェンリル〔ビャク〕
   シルバーカリスキングレオ〔ギン〕
   シルバーカリスレオ〔アサギ〕
   シルバーカリスレオ〔ソラ〕
   シルバーカリスレオ〔ツキ〕
『称号』
   愛し子
   神々に見守られし者
   異世界からの転生者
   蒼の剣に守られし者
『神より』
   希望する素材を回収する魔法を作り出してはどうかしら?
   例えば"○○を回収"みたいに指定して魔法を発動するのよ♪
   もし毛を刈りすぎても大丈夫だよ! "毛が生える"イメージでヒールをすればいいからね!
   街に一緒に入るのは大変だろう。一度別荘に連れて行っておくといい。



『きゃ~!! 神様ありがとう。最適なアドバイスのお陰で間違いなく上手くいくわ~♪
 希望する物を口に出すなりイメージすることで、指定の物だけを傷めることなく採取、回収できる~~』 

 ただイメージをすればいいだけなのに、まるで悪い魔女のようにドロドロドロ~♪ (ピコン♪)

〔なんだ、神が助けてくださったのか?〕

[かみ? ……神!?]



 "神"の一言でグランデシープたちがザワザワし始めたけど、アサギちゃんにお任せしてビャク達に神様からのアドバイスの報告しちゃおう♪

『そうなの! 毛刈りの方法と、街に連れ帰るののアイデアをもらっちゃった♪』

〔どうするの~?〕

『まずは毛刈りから! 創造魔法で指定できる素材回収の魔法を創るの。もし刈り過ぎても《ヒール》で直せるんだって♪
 あとは街に連れて入る方法だけど、別荘に入ってもらったらいいんだって~。今までの生活で気疲れしてると思うから、しばらく別荘で暮らすのが良いかもね?』

〔なるほど! 別荘なら敵がいないし過ごしやすいからな〕



「おまたしぇ~。をかっちゃいましゅね~、じっちょちててじっとしてて?」 

 一番手は、代表でずっとわたし達と話をしていたこの群れのリーダーさん。

[よろしく頼む]

「は~い! まかしぇてまかせて! 『グランデシープが寒くない程度に毛を回収』」 

 リーダーさんを光が一瞬包むがすぐに消え、あとに残されたのは……適度な長さの毛におおわれた羊さん。

 汚れが落ちて茶色だったのが、うっすらクリーム色に変わっているし、1回りどころか2回り以上小っちゃくなっている。
 適度に毛もあるので寒くない様だし完璧だ!

 魔法で毛刈りをするのは説明していたので理解していたはずだが、随分小さくなってしまったリーダーに周りにいたグランデシープたちは困惑。


 なのに当のリーダーと来たら……久々の身軽さに興奮して大はしゃぎ。


[か、軽いぞ~! こんなに軽いのは幼いころ以来だ! わはははは~!]

 毛のせいであまり機敏な動きをしていなかったけど、あの重みを支えていただけあって脚も内臓も鍛えられていたらしく、久しぶりに体を動かすとは思えない程の爆走!


 そのハシャギ様に順番待ちのグランデシープたちはソワソワ!


[[[すごーい! はしれるよ!]]]

 子供達は無邪気に戯れ、

[随分小さくなって!]

[そういうあなたも♪]

 大人の女性? は互いの姿を褒め合って……

[わ~はははは~!]

 リーダーは……ほっとこう。



しょりょしょりょそろそろいいでしゅか?」

 いつまで待っても落ち着く様子がないので、しびれを切らして声を掛ければ……恥ずかしそうに(特にリーダー)戻ってきてくれた。

 別荘についての説明もしていたので、サッサと案内して先輩のハニ―ビー、コッコ、ミューにご挨拶。

 命の危険が常にあり心休まる時が無かった事で、お互いに何か感じる事があったのだろう、それぞれの生活スタイルの違いはあるが仲良くしてくれそうで良かった。


 グランデシープたちをミューたちと同じ場所に案内してみると、すでに乳しぼり専用の新たな小屋が! その説明はミューさん達がしてくれるという事で甘えておきました♪




 別荘を出て、再び冒険開始! 何か良い物、良い出会いはないかな~?




 ビャクの飛翔スキルで空を翔けながら鑑定で周囲を見渡していると、マップに反応が!? 危険な反応じゃないけど、遠くて何か良く分からない。

 ビャクに頼んで進んでもらうと、そこにあったのは……コウジの木?

『こ、これは!? 味噌、しょう油、お酢、みりん! 麹だ!? やった~!
 この木、周辺にたくさん生えてるから数本貰ってもいいかな!?』
 
 これがあれば好きに料理が出来る! え? 今までも好きにしてた? まさか!? かなり自重してたよ!

 旅に出れない今は別荘の海で我慢するしかないけど、昆布もワカメも魚だって手に入るし♪


〔ものすごい興奮だな、それほどなのか?〕

『今までも作れてたけど、これがあれば人目を気にせず料理が出来るんだよ!
 あ~、早く旅に出たいな~。海に行って、もっと堂々とおいしい物作って食べるんだ~♪』

〔〔おいしい!? たべたい!〕〕

『ザックさん達となら食べれるけど、全員では今はまだ無理なんだよね~。でも何でだか、みんなおいしい物や新しい料理に敏感だから隠すのは無理だし』

 なんて事を話しながらも、地属性魔法で根を傷めないように掘り起こしインベントリに回収していく。見つけたコウジの木は群生地だったようで、数十本の木が生え沢山の実がなっていたので持ち帰って即料理に使える。

 農場用と別荘用にそれぞれ木を3本と、その他の木から色とりどりの実も数個ずつ残して収穫。



 このコウジの木、モモに似ているけど実の色は緑・黄・赤・茶色とカラフル。

 緑はお酢・黄はみりん・赤は味噌・茶はしょう油の実らしい。搾って汁だけでも使えるし実を潰してもまた風味が違う物になるんだって。

 さらに樹液は麹として使えるなんて……発酵調味料の木だ! 宝のなる木だ♪
 


 残念なのはこんな最高に素晴らしい宝が全く知られないどころか、不要なものと思われている事……何でこの世界の人は何でもかんでももしもの可能性を考えないのか。



 大量のお宝にホクホクで街に帰ると、真っ直ぐ冒険者ギルドに直行!


〘エア、ギルドで何をするんだ? 今回は依頼ではなかっただろう?〙

『グランデシープの事を報告した方が良いかと思って』

〘何と言って説明する? 今ここにいないのに。別荘の事を話すのか?〙

 あ……そうだった! 直で別荘に案内したから説明できないじゃん!



「かえりまちょ~ね!」

〔〔……そうだな、帰ろう〕〕

〔〔かえろ~!〕〕

〔ふふふ、そうしましょう〕




「たじゃいま~! まりゅせりゅしゃん、しもんしゃん、こりぇ、ちってりゅ!?」

 合同キッチンで夕食の相談をしていたマルセルさんとシモンさんを捕まえて、今日見つけたお宝を見せてみる。

「これは……コウジの実ですね。どうするんですか?」

「うふふふふ~、おりょうりに、ちゅかいましゅ!」

「え!? これをですか? ですがこれは食べられるものではないですよ?」

「ちっちっち! こりぇはおちゃかりゃお宝でしゅよ!?」

 短い人差し指をフリフリ。やれやれ……知らないという事は罪ですね。  



 緑のお酢は搾り汁を使って定番のマヨネーズと酢オーク、タルタルソースとロック鳥南蛮を作り、オークの薄切り甘辛炒めに黄のみりん(実も使用)で甘みと照りをつけ、茶のしょう油も使った。
 赤の味噌は実も一緒にすり潰してみそ汁と、野菜の味噌炒め。

 搾り汁とすり潰した物の味を確認してみたが、汁だけだとキツイ感じで、実が加わるとまろやか風味とまったく違う物だった。使い道が広そうだ♪


 他にも数品作った所で、それまでただ言われるがまま調理をし味見をしていた二人が

「こんなにも沢山の使い方があったとは……」

「いやいや、まだ他にも使い道がありそうだ!」

 よっしゃ~!! 味噌やしょう油の良さを少しずつ広まって、どこに行っても食べられるようにな~れ♪


 夕食の支度もほぼ終わり、あとはマルセルさん達のお任せ。


 実はこれも言われたんだよね~。

 そのつもりはなくても奴隷として購入している以上、お店や農場での収穫、生き物の世話だけではなく、日々の掃除は必要ないからせめて料理は任せた方が良いって。

 もちろん食べたかったり作りたかったら別にいいんだけど


 それをみんなから直接頼まれちゃったら断れないし、わたしも少し時間が欲しい事もあるから了承した。でも前世の食文化を知っているから我慢できない時が多いのは確実な訳で、そんな時は邪魔しないように作る事にしたのだ!

 そうすれば、料理に興味があるから聞きに、もしくは見に来るに違いないから覚えてもらえれば今後楽ちんになるって事だよ♪



 今回の発酵調味料(この世界では違うけど)については、農場と別荘に植えるのでいつでも使える事も教えておけば、両方の土地で植物の成長が早いのはすでに知っているから、いろいろ挑戦してみるんじゃないかな?

 さすがの感性なのだろうね~、ちょっと味を知ってその工夫の仕方も知ったら、次々新しい料理を作ってくれる頼もしい料理人さん達なのだ!

 太らないように気を付けないと……。
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