おせっかい転生幼女の異世界すろーらいふ!

はなッぱち

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第五章

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「一日外でお仕事をされていたフィー様にお手伝いなんてさせられません」

 夕食の準備を手伝おうとモモについて行くと、珍しくダメと言われてしまう。お仕事と呼べるほどのカロリーを消費していないので、昼寝という気分でもない。無理やりモモに付き纏っていると、あったかい飲み物と椅子を与えられ「そこで私が失敗しないか見守っていて下さい」と監督役に就任してしまい、夕食の準備を特等席で眺めることができた。

 城内にある小さめの家庭菜園で採れた野菜を使って、今日は具沢山のスープ、ポトフのような料理がメインらしい。

 根菜はきれいに一つ一つ洗い、芽の部分を丁寧に取り除き、私が上手に食べられる小さめにカットされ、葉物は芯の部分を薄く葉の部分をやや大きめに、それぞれ細かく準備されていく。野菜それぞれの名前を尋ねたことはないけれど、どれもポピュラーな野菜が揃っていて、これはなんだ! と思うような食材はあまりない。調味料もオリーブオイルに近い油から、塩に黒胡椒あと甘さを出すためにハチミツなど、醤油や味噌こそ見当たらないけれど、慣れれば私も自炊できそうな物が厨房には用意されていた。

 でも、どれだけ探しても、やっぱり見当たらない物もある。そうお肉。ポトフの具材としても旨味としても重要な、鶏肉やソーセージは出てきそうになかった。

 座っているのに飽きて、厨房中を妖精さんにお願いして探検したんだけれど、生肉どころか加工肉の一つも見つけられなかった。現代と違って保存方法が限られていそうなこちらの世界でも、逆にこちらの世界ならではの塩漬け肉とかありそうなのにどこにもなかった。

「フィー様、何かお探しですか?」

 モモが微笑みながら、戸棚から梅干しでも入っていそうな小さな壺を取り出す。その中にお肉が? と思って近づいてモモの手元を覗き込むと、甘い匂いのする干した果物が梅干しのように入っていた。

「これはコリンという木の実を干して塩漬けにした物です。潰して汁物に入れると深いコクが出て美味しくなるんですよ」

 いわゆる固形のコンソメとかブイヨンみたいなイメージでいいのかな? 味見したいと手を伸ばしてみるけれど、やんわり断られてしまった。

「甘い匂いがしますが、これだけ食べるとすごくしょっぱいんです。それでも食べてみますか?」

 物は試しと全力で頷くと、モモはスプーンで一粒取り出しナイフの先に少しだけ実を削って、そっと私の手のひらに乗せてくれる。

 匂いは砂糖で漬けたように甘い。パクリと口に入れてしまいそうになる誘惑に打ち勝ち、舌先で少しだけ舐めてみた。
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