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母様の危機④
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すると父様は
「頼む……多朗を助けてくれ……」
父様の両頬に触れる13号の手に触れ、涙を流しながら訴えた。
「もし、多朗が死んだら……僕も死ぬ」
脅しでは無い、強い意志を感じる眼差しの父様に
「呪いを解きたいのなら、私を抱けるか?」
半笑いを浮かべた顔で言われ、父様は
「そんな事で多朗を救えるなら、幾らでも抱いてやる! だから頼む……、僕から多朗を奪わないでくれ……」
深々と頭を下げ、父様が膝から崩れ落ちた。
その姿を、冷めた目で13号が見て
「止めろ! 貴方のそんな姿など、見たくない!」
そう叫ぶと
「僕は……多朗が居なければ、こんな情けない男なんだ。笑いたければ、笑えば良い。頼む、多朗を……多朗を返してくれ!」
懇願する父様の姿に、13号がヨロヨロと数歩後退る。
「止めろ! 止めろ! 止めろ!」
頭を抱え叫ぶ13号に、父様は地面に頭を擦り付けるように土下座して
「僕の事は好きにすれば良い。だが、多朗は……多朗だけは、助けて欲しい。僕の命を引き換えに、多朗を助けてくれ」
そう叫び続けた。
人から見たら、みっともないと言われるだろう。
でも父様は、母様が救われるなら……その為なら、本当に何でもしてしまうのだろう。
すると13号は
「多朗の呪いは……5つだ。1つ目は……シルヴァ王が、己の力で多朗を見つけろ。それ以上は、死んでも言わん」
そう言って、顔を背けた。
すると父様は素早く立ち上がり、孤児院を探し回り始めた。
13号は首輪で魔力を封じられ、身体は魔力封じの呪詛で編まれた縄で拘束してアレンが見張っていた。
父様が孤児院を駆け回る中、僕とアレンは違和感を感じ始めた。
孤児院なのに、子供達の声がしないのだ。
「なんでこんなに静かなんだ?」
思わずポツリと呟くと
「この孤児院の子は、みんな声を奪われているんだよ」
13号がそう答えた。
「え! どうしてそんな酷いことを……」
思わず呟いた僕に、13号は暗い瞳で僕を見つめ
「話せると、殺される確率が増えるんだよ。読み書き出来なくて喋れないなら、殺されないからさ」
そう答えたのだ。
「助ける為に?」
そう呟いた僕の声を、13号は聞こえないフリして無視している。
……多分だけど、根っから悪い人じゃないのかもしれないと思っていると
「止めてくれる? その顔。大嫌いな人を思い出すので」
13号がポツリと呟いた。
「え?」
「貴方はただでさえ、私の大嫌いな多朗と似た顔をしていて不愉快なのに、私と出会った時のその人と同じ表情しないでくれるかな?」
13号は不愉快極まりないという顔をして呟いたけど、僕は不謹慎だけど嬉しくなってしまった。
きっと母様も、13号に対して同じ気持ちだったのだろう。
13号は、ルーファスによって狂った教育を受けてしまったが為に、人生をおかしくされた被害者なんだ。
……そうか。
だから母様は、記憶を全て奪って13号にまっさらな人生を与えたかったんだ。
僕は母様の気持ちを理解して、13号の横顔を見つめた。
「頼む……多朗を助けてくれ……」
父様の両頬に触れる13号の手に触れ、涙を流しながら訴えた。
「もし、多朗が死んだら……僕も死ぬ」
脅しでは無い、強い意志を感じる眼差しの父様に
「呪いを解きたいのなら、私を抱けるか?」
半笑いを浮かべた顔で言われ、父様は
「そんな事で多朗を救えるなら、幾らでも抱いてやる! だから頼む……、僕から多朗を奪わないでくれ……」
深々と頭を下げ、父様が膝から崩れ落ちた。
その姿を、冷めた目で13号が見て
「止めろ! 貴方のそんな姿など、見たくない!」
そう叫ぶと
「僕は……多朗が居なければ、こんな情けない男なんだ。笑いたければ、笑えば良い。頼む、多朗を……多朗を返してくれ!」
懇願する父様の姿に、13号がヨロヨロと数歩後退る。
「止めろ! 止めろ! 止めろ!」
頭を抱え叫ぶ13号に、父様は地面に頭を擦り付けるように土下座して
「僕の事は好きにすれば良い。だが、多朗は……多朗だけは、助けて欲しい。僕の命を引き換えに、多朗を助けてくれ」
そう叫び続けた。
人から見たら、みっともないと言われるだろう。
でも父様は、母様が救われるなら……その為なら、本当に何でもしてしまうのだろう。
すると13号は
「多朗の呪いは……5つだ。1つ目は……シルヴァ王が、己の力で多朗を見つけろ。それ以上は、死んでも言わん」
そう言って、顔を背けた。
すると父様は素早く立ち上がり、孤児院を探し回り始めた。
13号は首輪で魔力を封じられ、身体は魔力封じの呪詛で編まれた縄で拘束してアレンが見張っていた。
父様が孤児院を駆け回る中、僕とアレンは違和感を感じ始めた。
孤児院なのに、子供達の声がしないのだ。
「なんでこんなに静かなんだ?」
思わずポツリと呟くと
「この孤児院の子は、みんな声を奪われているんだよ」
13号がそう答えた。
「え! どうしてそんな酷いことを……」
思わず呟いた僕に、13号は暗い瞳で僕を見つめ
「話せると、殺される確率が増えるんだよ。読み書き出来なくて喋れないなら、殺されないからさ」
そう答えたのだ。
「助ける為に?」
そう呟いた僕の声を、13号は聞こえないフリして無視している。
……多分だけど、根っから悪い人じゃないのかもしれないと思っていると
「止めてくれる? その顔。大嫌いな人を思い出すので」
13号がポツリと呟いた。
「え?」
「貴方はただでさえ、私の大嫌いな多朗と似た顔をしていて不愉快なのに、私と出会った時のその人と同じ表情しないでくれるかな?」
13号は不愉快極まりないという顔をして呟いたけど、僕は不謹慎だけど嬉しくなってしまった。
きっと母様も、13号に対して同じ気持ちだったのだろう。
13号は、ルーファスによって狂った教育を受けてしまったが為に、人生をおかしくされた被害者なんだ。
……そうか。
だから母様は、記憶を全て奪って13号にまっさらな人生を与えたかったんだ。
僕は母様の気持ちを理解して、13号の横顔を見つめた。
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