カースト最下位落ちの男。

田原摩耶

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カースト最下位落ちの男と生徒会長。

01

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 一番ケ瀬と付き合うことになって変わったこと。
 一番ケ瀬は約束通りちゃんと生徒会の活動に顔を出すようになり、俺も少しだけ一目を置かれるようになった。というか、腫れ物扱いされてる気もするが。
 四軍の上で一軍と付き合ってるってなるとそりゃ面倒なやつと思われても仕方ない。
 他人の好奇の視線は四軍に落とされたときから散々浴びせられていたので今更ではあったが、それでもやはり落ち着かない、というのが本音だ。

 けれど、一番ケ瀬の考えは的中していた。
 わざわざ一軍であり生徒会役員でもある一番ケ瀬に喧嘩を売るような真似をするようなやつは早々いない。故に、好奇の目と引き換えに一時的な平穏を手に入れること成功した。

 しかし、必ずしもゼロというわけではなかった。

「と、と、十鳥君……っ! い、一番ケ瀬のやつと付き合ってるって本当……っ?!」

 ――放課後、教室前通路。
 今日は一番ケ瀬が生徒会に顔を出す日であり、俺は一人で先に一番ケ瀬の部屋に帰るようにと言われていた。なので、大人しく言うことを聞いておこうとしたのだが、現在進行形で俺は道を塞がれていた。
 一番ケ瀬が辺りにいないのを確認してやってきた二通に俺は思わず抱えていた鞄を盾にする。

「ふ、二通……」
「さっきクラスの奴らが話してたのを聞いたんだ、その、盗み聞きするつもりはなかったんだけど……っ!」

 普段ボソボソと話す二通だが、今回ばかりは珍しく腹から声が出ている。
 前回助けてもらったとはいえど、やはり散々な目に遭わされた身としては警戒せざる得ない。

「それは、……そうだよ」
「それって、脅されてとか?」
「違う、ちゃんと……ちゃんとしたやつだ」

 自分で言いながらも、我ながら嘘が下手すぎて絶望してしまう。けれど、二通は信じてくれたようだ。現に顔色が変わった。

「……悪いことは言わない、やめた方がいい。あいつに騙されてるんだよ、十鳥君は……っ」
「ふ、二通……」

 正直、二通が言ったところで説得力はまるでない。けれど逆上するとなにをしでかすか分からない相手だ、なるべく俺は穏便に済ませるために言葉を慎重に探っていく。

「分かった、分かったから……」
「十鳥君」
「悪いけど、今日は疲れてるから」

 このまま相手にするだけ厄介だ。なるべく隙きを見せないように気をつけながら、俺はそのまま二通から逃げるように通路を抜けた。
 意外なことに二通はしつこく付き纏って来るような真似はしてこなかった。

 それにしても、あいつも本当に一番ケ瀬のこと嫌いだよな。一番ケ瀬も二通のことを警戒しているようだったし、まあ、実際に一番ケ瀬に助けてもらったのだから過敏になっても無理もないが。

 それでもやはりなんとなく頭の片隅に二通の言葉が残っていた。

 ――一番ケ瀬に騙されてる、か。
 あいつも人に恨まれることがあるのか、なんてぼんやりと考えながら俺は学生寮へと戻った。


 ◆ ◆ ◆


 ――学生寮・一番ケ瀬の部屋。

「ただいま、十鳥」
「……おかえり」

 予め、一番ケ瀬からは遅くなるかもしれないということは聞いていたが、まさかここまで遅くなるとは思ってなかった。壁掛け時計の長針は九時を差そうしていた頃、ようやく一番ケ瀬は帰ってきた。
 遅くなると言っても七時くらいと思ってたので一緒に飯を食おうと待っていた俺だが、もう腹がぺこぺこに減っていた。

「悪い、遅くなったな」
「……なにかあったのか?」
「別に何もないよ。……まあ、怒られたけど」
「怒られた?」
「ああ、というか軽い注意くらいだけどな」

 誰に、とは言わなかったが、あの会長さんにだろう。笑いながら部屋へと上がる一番ケ瀬は、そのまま上着を脱いでソファーの背もたれにかける。

「だからそんな心配そうな顔するなよ」
「……リコールとかは」
「ないない。というか、そう簡単にリコールされることないって。お前も心配性だな」
「……そうか」

 なら良かった、と一先ず安堵した。
 そんな俺を見て、一番ケ瀬はふっと頬を緩める。

「そういえば、飯食ったか?」
「まだだ」
「え、俺を待ってたのか?」
「……こんなに遅くなるって思わなかったから」
「じゃあなんか持って帰ってきたら良かったな。……まだ食堂開いてるか」

「待ってろ、すぐ着替えるから」と一番ケ瀬。
 俺はああ、とだけ応えてそのままばたばたしてる一番ケ瀬を待つことにした。

 ……いつも通りの一番ケ瀬だ。
 俺はなんとなく放課後の二通の言葉を思い出しては慌てて思考を振り払う。

「悪い、じゃあ行くか。……どうした?」

 制服からラフな私服に着替えた一番ケ瀬はこちらを覗き込んでくる。「いや、なんでもない」とだけ俺は応えた。

 外野のことは気にするだけ無駄だ。
 俺にできることは、俺を助けてくれる一番ケ瀬を信じることだけだ。


 ◆ ◆ ◆


 ――学生寮、エントランスホール。
 
 食堂へと向かうその途中のこと。いつものように一番ケ瀬に手を引かれて歩いていると、エレベーター乗り場の前に見覚えのある姿を見つけた。
 七搦だ。その隣にはなんだか似たような柄の悪い生徒もいる。
 一番ケ瀬は七搦には気付いていないようだ。けれど、七搦の方とは確かに目があった。
 咄嗟に気付いていないフリをしようと目を逸らしたが、一瞬七搦が笑ったような気がした。

「……」

 けれど、わざわざ一番ケ瀬に言うようなことでもない。それに、一番ケ瀬と七搦が揉めたことを知ってる身としては、一番ケ瀬にはもうあいつと絡んでほしくなかった。
 その場ではなにも見なかったことにし、俺たちは食堂へと向かう。

 それから二人で食事を取ることになる。
 そういえば一番ケ瀬は生徒会ではどうしてるのだろうか。気にはなったが、一番ケ瀬に直接聞くのも憚れた。

「十鳥、さっきからなんだ。こっちを見て」

 なんて、野菜炒め定食を食いながら一人で考えていたときだった。
 少しだけ恥ずかしそうにした一番ケ瀬に突っ込まれ、ハッとする。

「俺、そんなに見てたか?」
「自覚なかったのか?」
「悪い。……つい」
「ついってなんだよ」
「目のやり場に丁度いいところにあったから」

 そう適当に誤魔化せば、一番ケ瀬は「なんだよ、それ」と笑った。
 その笑顔になんだかどきりとしてしまい、なんだか気まずくなった俺は咄嗟に話題を変えようと探す。そして、徐に一番ケ瀬から目を離した。

「そういえば、最近調子はどうだ?」

 食堂が閉まる時間が近いからか、幸い辺りに聞き耳を立ててくるような外野もいない。なんとなく世間話を振ってみれば、一番ケ瀬は「幸せだよ」と微笑むのだ。
 ……こいつ、分かっててやってる。

「お前な」
「なんだ、言わせたかったんじゃないのか」
「よく恥ずかしげもなく言えるな」
「恥じるようなことじゃないからな。まあ、十鳥は恥ずかしがり屋さんだから言ってくれないだろうけど」
「…………」
「本当に言ってくれないのか?」

 いくら周りに人がいないとはいえどだ、表向きに付き合ってると公言してるといえどだ。
 ねだるようにこちらの顔を覗き込んでくる一番ケ瀬に「ぅ」と言葉に詰まる。そして、

「……まあ、ぼちぼちな」

 そう一番ケ瀬から視線を外せば、やつはにっこりと笑った。
「おい、いいからさっさとそのチキン食えよ」とテーブルの下、一番ケ瀬の靴先を小突けば「はいはい」と一番ケ瀬は楽しげに喉を鳴らす。

 本当にわかってるのか、なんて思いながら俺は一番ケ瀬から視線を逸した。


 平和と言えば平和では間違いないのだろうが、それでも一番ケ瀬と付き合うという選択肢を選んでからは心身穏やかな時間を過ごすことができていた。

 ――あの日までは。


「ふぁ……」

 いつからか、一番ケ瀬と同じベッドに寝ることにも慣れてしまっていた。
 早朝の肌寒さに目を覚まし、隣で眠ってる一番ケ瀬よりも早くに起き上がる。
 一番ケ瀬は昨夜も生徒会でバタバタしていたようだし、疲れているようだ。日中、なるべく食事は一緒に取ろうとはしてるがやはりクラスも違うと上手く時間が合わないときはなかなか会えない。
 とは言えど、元々がそうだった。少し前が極端に一緒に居すぎただけで、今が平常だと思えばなんらおかしくはない。

 というわけで休みの日前の夜とかは少し夜更しして話したり、映画見たりして過ごしていたのだが、どうやらその弊害が一番ケ瀬に振りかかってるらしい。元々短時間睡眠で事足りる俺とではわけが違う。

 ぐっすりと眠っている一番ケ瀬を起こさないように、俺は渇いた喉を潤すためにリビングルームを出る。そして冷蔵庫を確認して、丁度俺が愛飲している緑茶が切れていることに気付いた。

「……」

 まだ朝早い。あまり一人でうろつくなと言われているが、自販機に飲み物を買いに行くくらいなら一番ケ瀬にも文句言われないだろう。
 そう軽く上にカーディガンを羽織り、俺は早朝の寒さに唸りながら一番ケ瀬の部屋を出た。

 そして、戸締まりを忘れないようしっかりと扉を閉めようとしたときだった。一番ケ瀬の部屋の扉、丁度目線の高さのあたりに何かが貼られていることに気付く。何気なく視線を上げた俺は、その張り紙を見て硬直した。

「……っ、……」

 薄暗く、画質は荒いが俺には『それ』がなんの画像か分かってしまった。
 複数人の生徒に囲まれたその中心部、ピントが合わされたそこに映っているのは全裸で気絶していた俺だ。
 いつぞや輪姦されたときの写真が大きく引き伸ばしされたその張り紙を見た瞬間、全身からさあっと血の気が引いた。
 急激に手足の末端が冷たくなっていく。
 何故。誰が。こんな真似を。
 そんなこと考えだせばキリがない。それよりもただこれが一番ケ瀬の部屋の扉に貼られているという事実がなによりも恐ろしかった。
 咄嗟に剥がしたそれを破こうとしたとき、一番ケ瀬の部屋の扉が開く。一番ケ瀬だ。

「おはよう、外でなんかガサガサやってると思ったら……」
「……っ、一番ケ瀬……」

 なんでこんなタイミングで、と思ったとき。
 俺の表情から何かを感じ取ったのか、一番ケ瀬はそのまま俺が破こうとしていたそれに気付く。

「……それ、なんだ?」

 咄嗟に一番ケ瀬から隠そうとくしゃくしゃに丸めるが、遅かった。伸びてきた手によって手首ごと掴みあげられ、そして手の中のその張り紙だったものを取り上げられる。

「っ、一番ケ瀬、見るな……ッ」

 見ないでくれ、という俺の言葉は間に合わなかった。目の前で一番ケ瀬はぐしゃぐしゃになっていたそれを広げる。そして、そこに映し出された写真を見た一番ケ瀬の目がゆっくりと見開かれた。
 俺とその張り紙の写真、交互に向けられる視線が怖くて、顔を上げることができなかった。

「……なんだよ、これ」
「……」

「十鳥」と一番ケ瀬に名前を呼ばれる。
 なにかを言わなければならない。心配させないように、安心させるようななにかを。
 そう思うのに、頭の中は真っ白のままでなにも言葉が出てこない。押し黙る俺に小さく舌打ちをした一番ケ瀬は、そのまま俺の腕を掴むのだ。

「十鳥、お前は部屋に戻れ」
「……っ、い、ちばんがせ……」
「……ちょっと、他も確認してくる。だから、戻っておけ」

 止める暇もなかった。
 そのまま一番ケ瀬に言われるがまま、俺は部屋の中へと押し戻される。他にも同じような張り紙をされている可能性、そんなことを考えていなかっただけにただ背筋が冷たくなっていく。

 一番ケ瀬の部屋の中、俺は玄関の前から動けなかった。
 一番ケ瀬だけに任せておくわけにはいかない。そもそも俺の問題でもあるのに、そう思っているのに、指先が微かに震えてることに気付いた。

 ただ写真を貼り出されただけだ。……今更だ。
 そう自分に言い聞かせ、必死に落ち着かせながらも俺は一番ケ瀬を手伝おうと部屋を出ようとしたときだった。丁度目の前の扉が開き、一番ケ瀬が帰ってくる。

「一番ケ瀬……」
「一応この階全体確認したけど、幸い他には悪戯はされてなかったみたいだな」
「わ、るい、一番ケ瀬」
「お前は悪くないだろ」

 そう応える一番ケ瀬の語気は強く、思わずたじろいだ。ごめん、と俯いたその矢先、一番ケ瀬に抱き締められた。

「……悪い、違うんだ。お前を責めてるわけじゃない」
「っ、一番ケ瀬……」
「お前が一番の被害者だってのにな。……クソ、誰の仕業かしらねえけど、大丈夫だ。心配するな」
「心配するなって、」
「犯人は俺が見つける。この辺ならカメラもあるし、すぐ見つかるだろ」

「だから、大丈夫だ」と一番ケ瀬は優しい声で俺に言い聞かせるのだ。
 いつもだったら心強い一番ケ瀬の言葉に安堵していただろう。けれど、今は違う。腹の中の不安は大きく広がるばかりだった。

 今回はただ一枚だけだったが、もしエスカレートしたらどうする。今度は学生寮内、次は学園内、もしかしたら一気にネットで拡散される可能性だってあるわけだ。
 犯人を見つけたところで、どうなる。それに、俺への嫌がらせというよりもこれはまるで一番ケ瀬への嫌がらせに等しい。俺を使って、一番ケ瀬に恥をかかせようとしているのが明確に分かってしまった分恐ろしかった。

 ――弱気になっては駄目だ。
 ――一番ケ瀬を心配させては駄目だ。

 何度も自分に言い聞かせる。そして、そのまま俺はやんわりと一番ケ瀬の胸を押し返した。
「十鳥」となにか言いたげな一番ケ瀬の目がこちらを向いた。

「……悪い、余計な手間かけて。それと、迷惑かけて」
「何言ってんだ、迷惑なんか……」
「俺は大丈夫だから、犯人探しも……気にしなくていい」

「ただでさえお前は生徒会で忙しいんだしな」と、ぽんと軽く一番ケ瀬の胸を叩く。
 いつもの一番ケ瀬だったらこれで「お前が心配してくれるなんてな」なんて笑って軽口を叩いてくれるのに、一番ケ瀬の表情は変わらない。
 ただじっと俺を見るのだ。いつの日か見たあの感情の読めない目で、じっと。

「……一番ケ瀬?」

 何も言わない一番ケ瀬に不安になり、そのまま恐る恐る顔をあげたときだった。一番ケ瀬は深く、肺に溜まった空気を吐き出すように大きな溜息を吐く。

「一番ケ瀬……」
「……そうか、分かった」

 分かったって、なにが。
 そう尋ねるよりも先に、一番ケ瀬の体が離れる。

「十鳥、お前は本当に強いな。……自分よりも俺のことを気遣うんだからな」
「っ、一番ケ瀬……」
「けど、俺はそれが偉いとは思えねえよ」

「……それとも、そんなに俺は頼りないか?」一番ケ瀬は笑みを浮かべた、のだろう。引きつった口元、その歪な笑顔を見た瞬間胸の奥が苦しくなる。
 呆れられたのか、それも仕方ないとわかっていたはずなのに、一番ケ瀬のその言葉を、笑顔を向けられた瞬間自分と一番ケ瀬の間に分厚い壁ができたような気がして仕方なかった。

「ぃ、一番ケ瀬……」

 違うんだ、お前を傷付けたいわけではなかった。
 寧ろ、負担をかけたくなくて。
 そう言いたいのに、言葉が上手く出ない。汗が全身から滲み、言葉に詰まる俺に「もういい」と一番ケ瀬は口にする。そして俺の肩を撫でるのだ。

「……とにかく、お前は今日は休んでろ」
「一番ケ瀬、俺は……」
「俺は、少し出かけてくる」

 急用ができたもんでな、と一番ケ瀬は小さく付け足した。それがなんなのか、言わずともわかった。
 どちらにせよ一番ケ瀬は俺のために動くつもりなのだ。そういうやつだと分かってたからこそ、俺は自分の言葉に後悔した。
 それでも撤回する時間は与えられることもなく、一番ケ瀬はそのまま俺を残して部屋を出た。

「……」

 一番ケ瀬が怒っていた。
 犯人に対して怒ることはあったが、先程の一番ケ瀬の怒りは確かに俺に向けられていた。

 怒らせたいわけではなかった。
 ただ、少しでも負担を取り除きたかった。その俺の考えがあいつの神経を逆撫でしたのか。

 嫌がらせの張り紙をされたときよりも精神が酷く摩耗している。止まらない汗を拭い、俺はそのまま力なくソファーまで体を引き摺って歩いていった。
 そのままソファーの上に横になる。今の一番ケ瀬の後を追いかける気力もなかった。

 もし、このまま一番ケ瀬が俺に愛想尽かしたときのことを考えた。
 無論俺はこの部屋に要られなくなり、ただの四軍に舞い戻る。鍵のぶっ壊された部屋ではプライベートもクソもない。そんな生活が戻るだけだ。

「……」

 別に、今まで通りだ。
 ただ隣に一番ケ瀬がいなくなるだけで。

 なにが正解なのか考えてもわからないまま、最低な気分のまま時間ばかりが過ぎていった。

 それからどれくらい経っただろうか。
 結局その日、一番ケ瀬が自分の部屋に戻ってくることはなかった。
 せっかく楽しみにしていた休みも俺はソファーの上から動けないまま時間ばかりが進んでいき、夜になる。流石に空腹に体を起こすが、食欲など沸くはずがなかった。

「……」

 一番ケ瀬、なにかあったのだろうか。
 頭の中はそんなことでいっぱいだった。それでも、一番ケ瀬に部屋から出るなと言われた手前、これ以上一番ケ瀬に失望されるような行動を取るのも恐ろしくなってしまう自分がいた。
 そして、自覚する。思っていた以上に俺は一番ケ瀬に助けられていたのだと。
 自分の犯されたときの写真張り出されたときよりも酷く具合が悪くなっていることがなによりも物語っていた。
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