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番外編
【番外編】初デート1
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「緊張してる?」
「いや、そんなことは……」
ガッチガチになっているアルフレートを見て苦笑する。
現在、イアンとアルフレートは二人でデートをする為、平民に扮して馬車移動をしている。向かい合わせに座るとアルフレートが拗ねたので、隣り合ってギュウギュウにくっ付いているのはご愛嬌だ。
平民とは言ってもアルフレートの高貴なオーラを消すことは出来なかったので、辛うじてどこぞの貴族子息のお忍び、という様相だが。せめても、と使用人が田舎の低位貴族に見えるよう尽力してくれたが、果たしてどうだろうか。ちなみにイアンは服装を変えて帽子を被ってしまえば、一気に地味になって平民に紛れても問題なさそうになったのでちょっとばかし切ない気持ちだ。
「大丈夫だって。変に緊張している方がバレるぞ」
「緊張はしていないが……」
先ほどから何度も同じ会話をしているのだが、アルフレートのガチガチ具合は一向に解消されなかった。何をするにしても毅然としていそうなものだが、実のところアルフレートは真面目も真面目でイアンのこと以外はかなりお堅い。どちらかと言えばハロルドの方が突飛な行動をするらしく、そちらは何度もお付きの者達を巻き込んで街へ繰り出し大騒動を起こしていたそうだ。
兄の所業により厳しく行動を制限されたアルフレートは、我儘を言うでもなく、公務や学園、社交以外で勝手に城を抜け出す事はなかった。イアンがマトモに婚約者として過ごしていれば違ったのだろうが、それも無かったのでお忍びで出かける理由もなかったらしい。本人曰くイアン意外に特に興味がなかった、とのことだ。
嬉しさと共に罪悪感が刺激される。とはいえイアンももちろん、この世界では気軽に街をウロウロしたことはない。王妃教育が死ぬほど忙しかったしボッチだった上に、高位族の買い物は物々しくなるので大抵屋敷にお抱えの商人を呼んで買い付けるのだ。イアンの本音は「そんなことに割く時間があるならば寝ていたい」だったので、特に外出したいと駄々を捏ねることもなかった。
「二人して健全であり不健全だな」
「不健全……?」
「今日は楽しもうってこと」
ニッと笑えばアルフレートの片頬が僅かに持ち上がる。どこからどう見ても引き攣ったその笑みに苦笑して背を摩っておく。甘えるように頬を寄せてムニムニと頬ずりをするアルフレートを受け入れながら、高揚感は止まらない。
本日はふと思い立った初デートの日だ。実際は昨日デートをする予定だったものの、イアンが張り切った結果激しく求め合ってしまった為、予定がズレ込んだ。アルフレートもデート自体はとても楽しみしているらしく、今日の朝は濃厚な接触をせずに互いに準備に集中した。
いつの間にやら王宮からアルフレートの専属である使用人達がやってきて、二人を街に馴染むように仕上げてくれたのだが、一体いつそちらと連絡を取ったのかイアンには全く分からない。ただ、そんなことはデート前の二人とって些細なことだった。
「アル、ちょっと見てみろ! 朝市で出店が沢山でてる!」
「……こんなに」
馬車には窓が付いている。カーテンを閉めて中が見えない様になっているのだが、少しだけ隙間を開けてみれば、朝市が随分と賑わっていた。お祭りのような雰囲気に、イアンの心は素直に踊った。
この朝市の正式な呼び名は”マリヴェールマーケ”だ。マリヴェールとはこの世界のほとんどの人間が信仰している、創世の神の名前である。創世神が大地の生命の種を搔き集めてつくった分身、豊かさを司る神が人間と愛し合い、二人の間に生まれた人物がこの国の始祖王だ、というのがこの国の神話となっている。
もちろん他の国の始祖王も大抵、似たような感じで誕生している。それぞれの神や始祖王が誕生した順番にも色々と事細かく言い伝えがあるが、まぁ、あくまで神話だ。
イアンは頭の中に王妃教育で学んだ神話が通り過ぎるのを、強制的に断ち切って朝市に目を輝かせる。祭りのようだがそうではなく、週に五日間毎日このように行われている、民にとっての大切な市場だ。この朝市は、開始時間は早く終了時間は遅い。昔は本当に朝だけしか開かれていなかったので、朝市という呼び名は名残だ。正式名称は長い為、そちらでこの市を語る人は少ない。
食べ物だけを売りにしている訳ではなく、出店の数も品数の多さも目玉である。王都の中心にある大きな一本道に所狭しと店が犇めき合い、その一本道から町中に複数広がる通路にも出店が続いている。知識としてしか知らなかった朝市は、思った以上の規模だった。
「すごいな……」
「俺がイアンを守らなければ」
「……何から守るって?」
「何者からもだ。イアンは美しくて可愛いから狙われかねない」
険しい顔でカーテンの隙間を除くアルフレートの言葉に、イアンは「まさか」と目を見開いた。
「まさかとは思うけど、俺が攫われたり怪我したりしないか、そればっかり考えてガチガチになってる?」
「当然だ」
当たり前のような顔で頷くアルフレートを見て、イアンは天を仰ぐ。とてつもなく可愛くて愛おしいが、己の身分を考えろと。イアン達を守るのは護衛の仕事であるし、最悪身を挺して危険から守らなければならないのはイアンの方だ。
「アル、冷静になれよ。俺達を守るのは護衛の仕事だ。お忍びったってちゃんと見張りが付いてるじゃん」
「当然だ。イアンに傷一つでも付ければ死、あるのみ」
「重いなぁ……めちゃくちゃ重い。まぁでもそんだけ心配してくれるのはありがと。ただ、一番身を守らないといけないのはアルだからな?分かってる?」
「もちろんある程度は考えている」
(ある程度じゃダメなのよ……王子だぞ王子)
大真面目なアルフレートの頭をよしよしと撫でながら、「何よりもイアンを守ろうとするアルフレートを、いざという時には押しのけなければ」と心の中で決意を堅くした後、アルフレートの肩をパシッと軽くたたく。
「もう、折角のデートだ。変なとこで気を張るなよ。もちろん気の抜き過ぎはダメだけど、護衛もいるし俺も絶対にアルの傍から離れないように気を付けるし、周りも良く見て警戒するから」
「あぁ、そうだな。誰にでも笑顔は振り撒かない、子供が泣いても駆け寄らない、困ってる人間が居ても手は出さない、飴を貰っても気を取られないこと。何をするにも必ず俺に一言声をかけてくれ」
「……俺は五歳児じゃないって」
⋄⋄⋄
「アル! あそこ入ろうぜ!」
「……アン、走らない様に」
大丈夫だろうが念の為、とイアンの名前はアンにした。アルフレートの事は元々アルと呼んでいるのでそのままだ。
馬車から降りると、一気に遠かった騒めきが大きくなって期待が膨らむ。人は多いし、呼び込みの声が四方八方から聞こえてきて、本当に日本の記憶にある祭りのようだ。
未だガチガチのアルフレートと腕を絡ませ合って視線を泳がす。一番最初に目に入ったのは、大きな鳥かごの中の青鳥が客寄せをしている店だ。オウムだろうか。何となく雰囲気が厳ついのでそう断言はできないが、「ヤスイヨー、チョイチャンカワイイヨー、イパイアルヨー」という言葉に惹かれた。チョイチャンはきっとオウムの名前である。客引きの合間にちょいちょい己の事を褒める言葉を挟めてくるのがツボだ。
「なんの店だろう」
「見たところ、生地屋っぽいな」
アルと会話をしつつ人ごみを掻き分けて近づくと、綺麗な生地がズラリと並んだお店だった。
「すいません、気になるものは少し手に取ってもいいですか?」
「あ、いらっしゃい。いいですよ、どうぞ手に取って見てください」
基本的にお店自体はそこまで広くはない。前世の出店のたこやき屋さん程度の広さで店構えもそのような形だ。中には一人、カラフルな格好をした三十代くらいの男性がおり、とてもお洒落で南国風な出で立ちだった。
「うわ、すご! 色が鮮やかで中々見ないね」
「うちは南の方のミギューラ地方から生地を仕入れてるんですよ。なのでこちらでは少し珍しいかもしれません」
「へぇ、あんなに遠くから! ミギューラの生地、有名ですよね。遠いからなかなか手に入らないし。ここは品揃えもすごいですね」
「お客さん、詳しいね! 仕入れには苦労するから、平民街じゃぁ売ってるのはこの店くらいさ! 貴族街に行きゃぁ手に入るだろうが、品揃えは国一番と自負してる」
ニコニコ顔の店主は、少しだけウンチクを聞かせてくれたのだが興味深かった。例えば、黄色は富の象徴で、紅色は闘争を意味し、緑色は平和、などと色に深い意味があるそうだ。贈り物などはそれが重要視されており、モノは何でもよいが、その色にこそ意味を込めるのが主流だそう。例えば試験前は赤色の、大きな仕事の前には黄色の、喧嘩をした時には緑色のもの、などらしい。
贈るモノにこそ気を遣うこの国とは少し趣が違う。そこがまた面白い。暫く悩んで、結局黒色のものを選んで買った。黒色は邪気払いを意味しているそうだ。一口に黒とは言っても、その生地の黒が見たこともないくらいの濃い色で、アルフレートが気に入ってしまった。イアンの目の色に物凄く近いらしい。イアンもアルフレートの碧目に近い生地を探したが今回は無く、購入は断念。店主が今度仕入れとくよ、と笑って言ったので本気でお願いして、手に入った暁には屋敷に連絡するようにと伝えておいた。
屋敷の名を聞いた店主は笑顔のまま固まって、その場に尻をつけて顔を真っ赤にしていたが、人差し指で唇を押さえて笑っておく。既にアルフレートが生地を購入し支払いも終えた後だったので、手をヒラリ振ってその場を離れた。背後から声の裏返ったありがとうございましたという店主の声と、チョイチャンの「アリガトゴザイマス、マタコイ」という強気の言葉が聞こえてについ笑ってしまった。
「いや、そんなことは……」
ガッチガチになっているアルフレートを見て苦笑する。
現在、イアンとアルフレートは二人でデートをする為、平民に扮して馬車移動をしている。向かい合わせに座るとアルフレートが拗ねたので、隣り合ってギュウギュウにくっ付いているのはご愛嬌だ。
平民とは言ってもアルフレートの高貴なオーラを消すことは出来なかったので、辛うじてどこぞの貴族子息のお忍び、という様相だが。せめても、と使用人が田舎の低位貴族に見えるよう尽力してくれたが、果たしてどうだろうか。ちなみにイアンは服装を変えて帽子を被ってしまえば、一気に地味になって平民に紛れても問題なさそうになったのでちょっとばかし切ない気持ちだ。
「大丈夫だって。変に緊張している方がバレるぞ」
「緊張はしていないが……」
先ほどから何度も同じ会話をしているのだが、アルフレートのガチガチ具合は一向に解消されなかった。何をするにしても毅然としていそうなものだが、実のところアルフレートは真面目も真面目でイアンのこと以外はかなりお堅い。どちらかと言えばハロルドの方が突飛な行動をするらしく、そちらは何度もお付きの者達を巻き込んで街へ繰り出し大騒動を起こしていたそうだ。
兄の所業により厳しく行動を制限されたアルフレートは、我儘を言うでもなく、公務や学園、社交以外で勝手に城を抜け出す事はなかった。イアンがマトモに婚約者として過ごしていれば違ったのだろうが、それも無かったのでお忍びで出かける理由もなかったらしい。本人曰くイアン意外に特に興味がなかった、とのことだ。
嬉しさと共に罪悪感が刺激される。とはいえイアンももちろん、この世界では気軽に街をウロウロしたことはない。王妃教育が死ぬほど忙しかったしボッチだった上に、高位族の買い物は物々しくなるので大抵屋敷にお抱えの商人を呼んで買い付けるのだ。イアンの本音は「そんなことに割く時間があるならば寝ていたい」だったので、特に外出したいと駄々を捏ねることもなかった。
「二人して健全であり不健全だな」
「不健全……?」
「今日は楽しもうってこと」
ニッと笑えばアルフレートの片頬が僅かに持ち上がる。どこからどう見ても引き攣ったその笑みに苦笑して背を摩っておく。甘えるように頬を寄せてムニムニと頬ずりをするアルフレートを受け入れながら、高揚感は止まらない。
本日はふと思い立った初デートの日だ。実際は昨日デートをする予定だったものの、イアンが張り切った結果激しく求め合ってしまった為、予定がズレ込んだ。アルフレートもデート自体はとても楽しみしているらしく、今日の朝は濃厚な接触をせずに互いに準備に集中した。
いつの間にやら王宮からアルフレートの専属である使用人達がやってきて、二人を街に馴染むように仕上げてくれたのだが、一体いつそちらと連絡を取ったのかイアンには全く分からない。ただ、そんなことはデート前の二人とって些細なことだった。
「アル、ちょっと見てみろ! 朝市で出店が沢山でてる!」
「……こんなに」
馬車には窓が付いている。カーテンを閉めて中が見えない様になっているのだが、少しだけ隙間を開けてみれば、朝市が随分と賑わっていた。お祭りのような雰囲気に、イアンの心は素直に踊った。
この朝市の正式な呼び名は”マリヴェールマーケ”だ。マリヴェールとはこの世界のほとんどの人間が信仰している、創世の神の名前である。創世神が大地の生命の種を搔き集めてつくった分身、豊かさを司る神が人間と愛し合い、二人の間に生まれた人物がこの国の始祖王だ、というのがこの国の神話となっている。
もちろん他の国の始祖王も大抵、似たような感じで誕生している。それぞれの神や始祖王が誕生した順番にも色々と事細かく言い伝えがあるが、まぁ、あくまで神話だ。
イアンは頭の中に王妃教育で学んだ神話が通り過ぎるのを、強制的に断ち切って朝市に目を輝かせる。祭りのようだがそうではなく、週に五日間毎日このように行われている、民にとっての大切な市場だ。この朝市は、開始時間は早く終了時間は遅い。昔は本当に朝だけしか開かれていなかったので、朝市という呼び名は名残だ。正式名称は長い為、そちらでこの市を語る人は少ない。
食べ物だけを売りにしている訳ではなく、出店の数も品数の多さも目玉である。王都の中心にある大きな一本道に所狭しと店が犇めき合い、その一本道から町中に複数広がる通路にも出店が続いている。知識としてしか知らなかった朝市は、思った以上の規模だった。
「すごいな……」
「俺がイアンを守らなければ」
「……何から守るって?」
「何者からもだ。イアンは美しくて可愛いから狙われかねない」
険しい顔でカーテンの隙間を除くアルフレートの言葉に、イアンは「まさか」と目を見開いた。
「まさかとは思うけど、俺が攫われたり怪我したりしないか、そればっかり考えてガチガチになってる?」
「当然だ」
当たり前のような顔で頷くアルフレートを見て、イアンは天を仰ぐ。とてつもなく可愛くて愛おしいが、己の身分を考えろと。イアン達を守るのは護衛の仕事であるし、最悪身を挺して危険から守らなければならないのはイアンの方だ。
「アル、冷静になれよ。俺達を守るのは護衛の仕事だ。お忍びったってちゃんと見張りが付いてるじゃん」
「当然だ。イアンに傷一つでも付ければ死、あるのみ」
「重いなぁ……めちゃくちゃ重い。まぁでもそんだけ心配してくれるのはありがと。ただ、一番身を守らないといけないのはアルだからな?分かってる?」
「もちろんある程度は考えている」
(ある程度じゃダメなのよ……王子だぞ王子)
大真面目なアルフレートの頭をよしよしと撫でながら、「何よりもイアンを守ろうとするアルフレートを、いざという時には押しのけなければ」と心の中で決意を堅くした後、アルフレートの肩をパシッと軽くたたく。
「もう、折角のデートだ。変なとこで気を張るなよ。もちろん気の抜き過ぎはダメだけど、護衛もいるし俺も絶対にアルの傍から離れないように気を付けるし、周りも良く見て警戒するから」
「あぁ、そうだな。誰にでも笑顔は振り撒かない、子供が泣いても駆け寄らない、困ってる人間が居ても手は出さない、飴を貰っても気を取られないこと。何をするにも必ず俺に一言声をかけてくれ」
「……俺は五歳児じゃないって」
⋄⋄⋄
「アル! あそこ入ろうぜ!」
「……アン、走らない様に」
大丈夫だろうが念の為、とイアンの名前はアンにした。アルフレートの事は元々アルと呼んでいるのでそのままだ。
馬車から降りると、一気に遠かった騒めきが大きくなって期待が膨らむ。人は多いし、呼び込みの声が四方八方から聞こえてきて、本当に日本の記憶にある祭りのようだ。
未だガチガチのアルフレートと腕を絡ませ合って視線を泳がす。一番最初に目に入ったのは、大きな鳥かごの中の青鳥が客寄せをしている店だ。オウムだろうか。何となく雰囲気が厳ついのでそう断言はできないが、「ヤスイヨー、チョイチャンカワイイヨー、イパイアルヨー」という言葉に惹かれた。チョイチャンはきっとオウムの名前である。客引きの合間にちょいちょい己の事を褒める言葉を挟めてくるのがツボだ。
「なんの店だろう」
「見たところ、生地屋っぽいな」
アルと会話をしつつ人ごみを掻き分けて近づくと、綺麗な生地がズラリと並んだお店だった。
「すいません、気になるものは少し手に取ってもいいですか?」
「あ、いらっしゃい。いいですよ、どうぞ手に取って見てください」
基本的にお店自体はそこまで広くはない。前世の出店のたこやき屋さん程度の広さで店構えもそのような形だ。中には一人、カラフルな格好をした三十代くらいの男性がおり、とてもお洒落で南国風な出で立ちだった。
「うわ、すご! 色が鮮やかで中々見ないね」
「うちは南の方のミギューラ地方から生地を仕入れてるんですよ。なのでこちらでは少し珍しいかもしれません」
「へぇ、あんなに遠くから! ミギューラの生地、有名ですよね。遠いからなかなか手に入らないし。ここは品揃えもすごいですね」
「お客さん、詳しいね! 仕入れには苦労するから、平民街じゃぁ売ってるのはこの店くらいさ! 貴族街に行きゃぁ手に入るだろうが、品揃えは国一番と自負してる」
ニコニコ顔の店主は、少しだけウンチクを聞かせてくれたのだが興味深かった。例えば、黄色は富の象徴で、紅色は闘争を意味し、緑色は平和、などと色に深い意味があるそうだ。贈り物などはそれが重要視されており、モノは何でもよいが、その色にこそ意味を込めるのが主流だそう。例えば試験前は赤色の、大きな仕事の前には黄色の、喧嘩をした時には緑色のもの、などらしい。
贈るモノにこそ気を遣うこの国とは少し趣が違う。そこがまた面白い。暫く悩んで、結局黒色のものを選んで買った。黒色は邪気払いを意味しているそうだ。一口に黒とは言っても、その生地の黒が見たこともないくらいの濃い色で、アルフレートが気に入ってしまった。イアンの目の色に物凄く近いらしい。イアンもアルフレートの碧目に近い生地を探したが今回は無く、購入は断念。店主が今度仕入れとくよ、と笑って言ったので本気でお願いして、手に入った暁には屋敷に連絡するようにと伝えておいた。
屋敷の名を聞いた店主は笑顔のまま固まって、その場に尻をつけて顔を真っ赤にしていたが、人差し指で唇を押さえて笑っておく。既にアルフレートが生地を購入し支払いも終えた後だったので、手をヒラリ振ってその場を離れた。背後から声の裏返ったありがとうございましたという店主の声と、チョイチャンの「アリガトゴザイマス、マタコイ」という強気の言葉が聞こえてについ笑ってしまった。
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