最後の女

蒲公英

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 現在一緒に生活しているのは茜なのだから、前の結婚など何の意味もないのだと茜はしぶしぶ納得し、それでもなんとなく不安なのだ。茜にとって秀一は、一生にひとりの相手だと思えるものである。年齢差でそのことも受け止め方が違うなんて、考えられない。そう考えるには、茜は絶対的な経験値がたりないのである。
 寝ようかと並んだ布団の上で、茜は秀一の顔に唇を寄せた。
「秀さん、しよ?」
 半分眠りに落ちかけていた秀一は、寝呆け声で明日、と返事する。
「今、するの」
 上から被さった形の茜は、重ねた唇の中で秀一の舌を探し、手でシャツの裾を捲くった。

 平日ってのは、面倒なもんである。あまり乗り気でない秀一の身体の上を、茜が這っていく。止めろと言うのもちょっと違う気がして、秀一はなされるがままだ。半覚醒の秀一自身に茜の唇が触れ、暖かい感触に反応していく。
「おっきくなったよ? いいでしょ?」
 どういう理屈かわからないが、準備させたんだからどうにかしろって主張するのも、乱暴な話である。
「乗ってくれ」
 徹底的に茜任せにしてしまうのも、面白いかも知れない。

 パジャマの下だけを取った茜が秀一の上に腰を落とし、馴染ませながら呑み込んでいく。ん、ん、と呼吸を詰めて腰が一点で密着すると、茜は身体を倒して秀一の唇を求めた。パジャマ越しの指がもどかしいらしく、秀一の手をとって自分の胸へ誘導する。腰を小さく弾ませながら、声を抑えようと自分の手を口に持っていったりする。
「しゅう、さん……いい、の……」
 秀一の腹に手を置いて、茜は腰を捩る。
「秀さんでいっぱいで……んっ……い、い……んんっ」
 腰を固定して振動を送ってやると、茜は顎を上げた。

 繋がったまま秀一は背を起こし、茜のパジャマを捲り上げた。大きいとは言えなくとも、形の良い白いたわみに実る赤い果実が、目の前で揺れる。それを口に含んで舌で転がすと、頭ごと胸に抱え込まれた。
「やっ……それだけで、いっちゃう……」
 もぞもぞ腰を揺すりながら、茜の声が早い限界を告げる。秀一を取り込み絞り込む内側まで、びくびくと反応している。
「いけ、ほら」
「しゅうさんも、いっしょに……だめえっ!」
 瞬間硬直した茜の身体は、秀一の肩の上でぐたりと力を抜いた。秀一はまだ、そこまで到達できていないのに。

 茜がしたがったからって、茜が到達したから終わりってもんじゃないのだ。秀一はよっこいしょーっと身体の位置を逆転させ、茜の腰を持ち上げた。枕に顔を埋めさせ、後ろから貫く。枕の中から、くぐもった悲鳴が聞こえた。胸を掴んで揺すりたてると、茜は頭を左右に振り、苦痛を訴える。崩れそうになった腰を掴みなおし、精を放ったときには、秀一も息切れしていた。

「満足したか?」
 枕元でまだ始末している茜に、声をかける。布団の外の空気は、冷たい。多分茜の肩は、もう冷えている筈だ。足から入ってきた茜を抱き寄せる。
「秀さん、あったかい」
 脇の下に収まった茜は、満足したかの問いには答えない。
「今日ね、赤ちゃんできた気がする……」
 眠りに落ちる直前、秀一はそんな言葉を聞いた。
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