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かわいいお兄さんは好きですか?①
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小テストの解答用紙を睨むように見ている横顔をじっと見つめる。頬がふっくらしていて唇が柔らかそうだ。夏には襟の開いたシャツやサマーニットを着ていたから丸見えだった鎖骨が、寒くなって見られなくなったのが非常に残念。
「うーん……やっぱりいつも似たような問題でつまずくなぁ」
呟く声が鈴が鳴るようなかわいらしさで、どきどきが止まらない。かわいいかわいいかわいい……襲いたい。
――いけない、また理性を崩されるところだった。
「史崇、聞いてる?」
「えっ」
「もう、また聞いてなかった?」
「ごめん、鼓さん……」
鼓さんは二つ年上の幼馴染で、俺の家庭教師をしてくれている。家が隣同士で昔からお世話になっていたけれど、高校三年になってまでとは情けない。
「もう入試まで時間がないんだから、気合い入れないと!」
「う、うん。頑張る」
ぐっと握りこぶしを作る鼓さんが……ものすごくかわいい。地味で目立たない外見の人だけど、数年前、俺が中学生で鼓さんが高校に入ったとき、自慢げに制服姿を見せてくれた姿に、あれ、この人かわいくない? と気づいてから俺の欲望の対象になった。俺だけが知っている魅力というのも特別感があっていい。――と言っても男同士だし、お世話になっているだけでなにも返せない俺はまだ告白なんてできないから、ただひたすら鼓さんを愛でるだけ。
今年高三に上がったとき、俺の母親が鼓さんに家庭教師を頼めないか聞いてみようか、と成績表を見ながら言ったときには、成績が悪くてよかった、と本気で自分の頭の悪さを感謝した。
俺の志望校はもちろん鼓さんが通う大学。学部は違うけど、一緒に通えたら最高すぎる。一人暮らしをしていない鼓さんは今でも隣の家から大学に通っている。つまり、俺も志望校に受かれば毎日鼓さんと一緒にいられる。
「俺も史崇がうちに入ったら嬉しいから、頑張ろうね」
「もちろん。絶対合格する」
それで、大学に合格したら鼓さんに告白するんだ。ずっと好きでした、付き合ってください――想像しただけで頑張れる。付き合えるなんて思ってないし、振られるの覚悟での告白だけど、それでもいい。だって鼓さんのことがめちゃくちゃ好きなんだ。
今日の至福の二時間が終わってしまった。鼓さんは帰宅し、俺は鼓さんの優しい香りが残った部屋でベッドに横になり、ひたすら深呼吸。鼓、なんて力強いイメージの名前だけど、確かに鼓舞されてる……下半身が。鼓さんを抱きたい、抱きたい……抱きたい。
「変態か……」
いや、確実にあぶない奴だ。わかっている、でも好きなんだから仕方ない。高校生男子なんて性欲の塊だ。好きな人をそういう目で見てもまったくおかしくない。
「でもなぁ」
男同士なんだよな。俺はよくても鼓さんが受け入れてくれるかどうか――って、告白もしてないんだからそんな心配をするより、勉強のほうを心配したほうがいい。鼓さんが教えてくれた場所を復習しよう、と起き上がると、床にシャーペンが転がっていた。帰り際、鼓さんがペンケースを落としていたから、そのときに転がってそのまま拾い忘れたんだろう。
「……」
今日、鼓さんはこのシャーペンを使っていた。考え込むとき、鼓さんはいつもキャップの部分を唇に押し当てて、うーんと唸る。そう、キャップの部分を唇に押し当てて……。
「……いや、だめだろ」
それじゃかなりあぶない奴だ。
「……」
でも、こんな機会はまたあるかわからない。そっとそのキャップ部分に唇を当てると、心臓がありえないくらいばくばく言い始めた。
「か……」
間接キス!!
「っ……」
頬が熱くなり、耳まで熱が広がっていく。なんだかとても悪いことをした気がして、シャーペンを机に置き、布団の中に隠れる。
「鼓さん……好きだ……」
くぐもった自分の告白に、また脈が速くなった。
「うーん……やっぱりいつも似たような問題でつまずくなぁ」
呟く声が鈴が鳴るようなかわいらしさで、どきどきが止まらない。かわいいかわいいかわいい……襲いたい。
――いけない、また理性を崩されるところだった。
「史崇、聞いてる?」
「えっ」
「もう、また聞いてなかった?」
「ごめん、鼓さん……」
鼓さんは二つ年上の幼馴染で、俺の家庭教師をしてくれている。家が隣同士で昔からお世話になっていたけれど、高校三年になってまでとは情けない。
「もう入試まで時間がないんだから、気合い入れないと!」
「う、うん。頑張る」
ぐっと握りこぶしを作る鼓さんが……ものすごくかわいい。地味で目立たない外見の人だけど、数年前、俺が中学生で鼓さんが高校に入ったとき、自慢げに制服姿を見せてくれた姿に、あれ、この人かわいくない? と気づいてから俺の欲望の対象になった。俺だけが知っている魅力というのも特別感があっていい。――と言っても男同士だし、お世話になっているだけでなにも返せない俺はまだ告白なんてできないから、ただひたすら鼓さんを愛でるだけ。
今年高三に上がったとき、俺の母親が鼓さんに家庭教師を頼めないか聞いてみようか、と成績表を見ながら言ったときには、成績が悪くてよかった、と本気で自分の頭の悪さを感謝した。
俺の志望校はもちろん鼓さんが通う大学。学部は違うけど、一緒に通えたら最高すぎる。一人暮らしをしていない鼓さんは今でも隣の家から大学に通っている。つまり、俺も志望校に受かれば毎日鼓さんと一緒にいられる。
「俺も史崇がうちに入ったら嬉しいから、頑張ろうね」
「もちろん。絶対合格する」
それで、大学に合格したら鼓さんに告白するんだ。ずっと好きでした、付き合ってください――想像しただけで頑張れる。付き合えるなんて思ってないし、振られるの覚悟での告白だけど、それでもいい。だって鼓さんのことがめちゃくちゃ好きなんだ。
今日の至福の二時間が終わってしまった。鼓さんは帰宅し、俺は鼓さんの優しい香りが残った部屋でベッドに横になり、ひたすら深呼吸。鼓、なんて力強いイメージの名前だけど、確かに鼓舞されてる……下半身が。鼓さんを抱きたい、抱きたい……抱きたい。
「変態か……」
いや、確実にあぶない奴だ。わかっている、でも好きなんだから仕方ない。高校生男子なんて性欲の塊だ。好きな人をそういう目で見てもまったくおかしくない。
「でもなぁ」
男同士なんだよな。俺はよくても鼓さんが受け入れてくれるかどうか――って、告白もしてないんだからそんな心配をするより、勉強のほうを心配したほうがいい。鼓さんが教えてくれた場所を復習しよう、と起き上がると、床にシャーペンが転がっていた。帰り際、鼓さんがペンケースを落としていたから、そのときに転がってそのまま拾い忘れたんだろう。
「……」
今日、鼓さんはこのシャーペンを使っていた。考え込むとき、鼓さんはいつもキャップの部分を唇に押し当てて、うーんと唸る。そう、キャップの部分を唇に押し当てて……。
「……いや、だめだろ」
それじゃかなりあぶない奴だ。
「……」
でも、こんな機会はまたあるかわからない。そっとそのキャップ部分に唇を当てると、心臓がありえないくらいばくばく言い始めた。
「か……」
間接キス!!
「っ……」
頬が熱くなり、耳まで熱が広がっていく。なんだかとても悪いことをした気がして、シャーペンを机に置き、布団の中に隠れる。
「鼓さん……好きだ……」
くぐもった自分の告白に、また脈が速くなった。
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