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かわいいお兄さんは好きですか?⑦
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「そろそろ次の場所に行こうか」
「次の場所?」
「そう」
鼓さんに手を引かれてクリスマスマーケットを後にする。次はどこに連れて行ってくれるんだろう、と鼓サンタを見ると、少し頬が赤くなっている。寒かったのかな、と頬に触れてみる。
「ひゃっ」
「あ、ごめん。顔が赤いから寒かったのかと思って」
「う、ううん……こっちこそびっくりしてごめん」
俺と鼓さんって付き合ってるんだよな、と思うと、もう少し触れてみたいと思ってしまう。電車に揺られながら鼓さんの手の甲をつつく。
「? なに?」
「なんでもない」
もう一度つつく。
「なあに?」
小さい子どもに聞くように首を傾げられて、なんでもない、と答える。そんなやりとりがすごく嬉しくて楽しい。
「どこに行くの?」
鼓さんに言われるままに電車に乗っているけれど、これは家のほうに向かう路線だ。途中で降りるんだろうか。
「……いいところ」
また鼓さんの頬が赤くなる。これは寒いのではなく、恥ずかしがっているのか照れているのか、そんな感じだ。恥ずかしくなるようないいところってどこ? と考えて、頭の中にきらきらネオンのお城のような建物が浮かび、まさかな、と首を小さく横に振る。
「ここ?」
「そう」
「ここって……」
降りたのは家の最寄り駅。鼓さんは頬を赤くしたまま歩いて行くので後に続く。このまま帰るのかな、と思ったら、先を行く鼓さんが自分の家の玄関に向かい、俺の手を引く。
「えっと……」
「親はクリスマスディナーでいないんだ」
「えっとー……」
それはどういうことだろう。いや、まさかな、まさか……。
鼓さんの部屋に二人で入ると、ぎゅっと抱きつかれ心臓が暴走する。鼓さんは間違いなく俺の心臓を壊そうとしている。こんなの正気でいられない。
「ねえ鼓さん、もう限界なんだけど」
「うん、俺も」
「っ……」
なるべくがっつかないように、でも急く気持ちが抑えられず鼓さんの唇に唇を押しつける。ぴくんと跳ねた肩を包み込むようにして抱きしめると、鼓さんもぎゅっとしがみついてくる。唇を離し、至近距離で見つめ合う。
「あ、そうだ」
「え?」
「これ、鼓さんに」
いつ渡そうかとバッグの中にしまっておいたプレゼントを渡すと、鼓さんが目を丸くした。
「俺に?」
「うん。たいしたものじゃないんだけど」
「史崇がくれたら世界一価値あるよ。このまま飾っておきたい」
「そのままなんて、開けて使ってよ」
「う、ん……」
鼓さんは、本当に開けないとだめかな、と言う。まだ中身も見ていないのにこんな風に思ってくれるなんて、優しい人だ。
「開けて?」
「……史崇がくれたものだから、中身も気になるし、開ける」
でもまだ開ける決心がつかないようで、プレゼントをくるくる手の中で回して、それからスマホで写真を撮り始めた。
「その写真どうするの?」
「プリントして飾る」
「えっ」
「ずっと好きだった人からもらったプレゼントだもの。それくらい嬉しい」
ラッピングをそうっと解いて、中から出てきた手袋に鼓さんが口元を綻ばせる。
「いい色だね」
「鼓さんに似合いそうだと思って」
「ありがとう、史崇」
もう一度ぎゅっと抱きつかれ、頬にキスをもらってしまった。
「それじゃあお返しに、……鼓サンタをあげよう」
鼓さんは真っ赤になってちらりと上目遣いで俺を見る。そんなことを言われ、こんなかわいい表情をされて、暴走せずにいられるはずがない。
「史崇へのクリスマスプレゼント、色々考えたけど、俺が一番あげたいものをあげる」
手を引かれてベッドに導かれる。自分の心臓の音がどっくんどっくんと耳に響いて、緊張と興奮がぐるぐる混ざる。
「鼓さん……」
「嫌なら無理にとは言わないけど、俺はしたい、かな」
「嫌なわけない。俺もすごく欲しい」
唇を重ねながらベッドに縺れるように倒れ込む。頬や首元にもキスをして、鼓さんの服の裾を乱したところでふと疑問が湧き起こり、動きを止める。
「史崇……?」
「まさかこれもお友達からアドバイスもらった?」
「……」
鼓さんが目をしばたたかせて、それからふにゃっと笑う。かわいい。
「違うよ。俺がしたいから誘ってるの」
だめだ、完敗。めちゃくちゃかわいいし、すごくエロいこと言ってる。一気に熱が滾り、鼓さんの服を脱がせる。綺麗な肌はなめらかで、ほんのりピンク色に染まっている。
「……あんまり見ないで」
「うん。でも、すごく綺麗だから」
「馬鹿」
「次の場所?」
「そう」
鼓さんに手を引かれてクリスマスマーケットを後にする。次はどこに連れて行ってくれるんだろう、と鼓サンタを見ると、少し頬が赤くなっている。寒かったのかな、と頬に触れてみる。
「ひゃっ」
「あ、ごめん。顔が赤いから寒かったのかと思って」
「う、ううん……こっちこそびっくりしてごめん」
俺と鼓さんって付き合ってるんだよな、と思うと、もう少し触れてみたいと思ってしまう。電車に揺られながら鼓さんの手の甲をつつく。
「? なに?」
「なんでもない」
もう一度つつく。
「なあに?」
小さい子どもに聞くように首を傾げられて、なんでもない、と答える。そんなやりとりがすごく嬉しくて楽しい。
「どこに行くの?」
鼓さんに言われるままに電車に乗っているけれど、これは家のほうに向かう路線だ。途中で降りるんだろうか。
「……いいところ」
また鼓さんの頬が赤くなる。これは寒いのではなく、恥ずかしがっているのか照れているのか、そんな感じだ。恥ずかしくなるようないいところってどこ? と考えて、頭の中にきらきらネオンのお城のような建物が浮かび、まさかな、と首を小さく横に振る。
「ここ?」
「そう」
「ここって……」
降りたのは家の最寄り駅。鼓さんは頬を赤くしたまま歩いて行くので後に続く。このまま帰るのかな、と思ったら、先を行く鼓さんが自分の家の玄関に向かい、俺の手を引く。
「えっと……」
「親はクリスマスディナーでいないんだ」
「えっとー……」
それはどういうことだろう。いや、まさかな、まさか……。
鼓さんの部屋に二人で入ると、ぎゅっと抱きつかれ心臓が暴走する。鼓さんは間違いなく俺の心臓を壊そうとしている。こんなの正気でいられない。
「ねえ鼓さん、もう限界なんだけど」
「うん、俺も」
「っ……」
なるべくがっつかないように、でも急く気持ちが抑えられず鼓さんの唇に唇を押しつける。ぴくんと跳ねた肩を包み込むようにして抱きしめると、鼓さんもぎゅっとしがみついてくる。唇を離し、至近距離で見つめ合う。
「あ、そうだ」
「え?」
「これ、鼓さんに」
いつ渡そうかとバッグの中にしまっておいたプレゼントを渡すと、鼓さんが目を丸くした。
「俺に?」
「うん。たいしたものじゃないんだけど」
「史崇がくれたら世界一価値あるよ。このまま飾っておきたい」
「そのままなんて、開けて使ってよ」
「う、ん……」
鼓さんは、本当に開けないとだめかな、と言う。まだ中身も見ていないのにこんな風に思ってくれるなんて、優しい人だ。
「開けて?」
「……史崇がくれたものだから、中身も気になるし、開ける」
でもまだ開ける決心がつかないようで、プレゼントをくるくる手の中で回して、それからスマホで写真を撮り始めた。
「その写真どうするの?」
「プリントして飾る」
「えっ」
「ずっと好きだった人からもらったプレゼントだもの。それくらい嬉しい」
ラッピングをそうっと解いて、中から出てきた手袋に鼓さんが口元を綻ばせる。
「いい色だね」
「鼓さんに似合いそうだと思って」
「ありがとう、史崇」
もう一度ぎゅっと抱きつかれ、頬にキスをもらってしまった。
「それじゃあお返しに、……鼓サンタをあげよう」
鼓さんは真っ赤になってちらりと上目遣いで俺を見る。そんなことを言われ、こんなかわいい表情をされて、暴走せずにいられるはずがない。
「史崇へのクリスマスプレゼント、色々考えたけど、俺が一番あげたいものをあげる」
手を引かれてベッドに導かれる。自分の心臓の音がどっくんどっくんと耳に響いて、緊張と興奮がぐるぐる混ざる。
「鼓さん……」
「嫌なら無理にとは言わないけど、俺はしたい、かな」
「嫌なわけない。俺もすごく欲しい」
唇を重ねながらベッドに縺れるように倒れ込む。頬や首元にもキスをして、鼓さんの服の裾を乱したところでふと疑問が湧き起こり、動きを止める。
「史崇……?」
「まさかこれもお友達からアドバイスもらった?」
「……」
鼓さんが目をしばたたかせて、それからふにゃっと笑う。かわいい。
「違うよ。俺がしたいから誘ってるの」
だめだ、完敗。めちゃくちゃかわいいし、すごくエロいこと言ってる。一気に熱が滾り、鼓さんの服を脱がせる。綺麗な肌はなめらかで、ほんのりピンク色に染まっている。
「……あんまり見ないで」
「うん。でも、すごく綺麗だから」
「馬鹿」
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