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明日からもずっと一緒に
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凛也さんの家に着くと、すぐに凛也さんが紅茶を入れてくれる。
私と凛也さんはリビングのテーブルにそっと二人で腰掛けた。
凛也さんが焼き菓子を一口頬張る。
「本当に美味しいですね」
「とってもお気に入りのお店なんです!凛也さんの口にもあって良かったです」
凛也さんが焼き菓子をお皿に置いて、私の方に視線を向ける。
「じゃあ、今度そのお店に連れて行ってくれませんか?」
「っ!はい……!」
これから先、もう会う機会がないかもしれないと思っていたのに、すぐに次の約束は出来てしまう。
それでも、次の約束に甘えて、自分の気持ちを言うことを後回しにするのは嫌だった。
だから……
「凛也さんっ!あの……!二週間、本当にありがとうございました。それで、えっと……」
「ゆっくりで大丈夫ですよ」
いつもの凛也さんの優しい声に安心して、私はぽろっと本音がこぼれ落ちた。
「これからもいっぱい凛也さんと会いたいです……」
私の声はもう震えていて。
凛也さんはほんの少しだけ黙っていた。
でも、急に……
「想乃さん、押し倒していい?」
「っ!」
凛也さんの言葉の意味が理解出来ないうちに、凛也さんが私の肩をポンと押して……文字通り、私を押し倒した。
「り、凛也さん……!」
「想乃さんのその可愛さは無自覚ですか?」
凛也さんの顔がいつもより近くで私は顔に熱が集まっていくのを感じた。
「それにいつも素直で……今だって、僕より先に勇気を出してしまう。僕より先に『もっと会いたい』と言ってくれる」
凛也さんは私と目を逸さなかった。
「想乃さん、大好きですよ。愛しています」
凛也さんの言葉に私は気づいたら、頬に涙が伝っていた。
「想乃さん、返事を下さい」
凛也さんがそう言っているのに、涙が溢れてすぐに言葉が出てこない。
それでも、凛也さんに早く気持ちを伝えたくて私は何とか言葉を絞り出した。
「大好きです……凛也さんがただただ大好きなんです……」
涙を流しながら、私は自分の気持ちを伝えた。
私の言葉を聞いて、凛也さんが嬉しそうにクスッと笑った。
「想乃さん、可愛い」
凛也さんが私の頬にキスを落とす。
そして……
「想乃さん、キスしていい?」
そのキスが頬にという意味ではないことは、当たり前に分かって。
私はそっと頷いた。
凛也さんが優しく私にキスをして、私を愛おしそうな目で見つめる。
「素直で、真っ直ぐで、頑張り屋で、可愛くて……そんな言葉じゃ足りないくらい良いところで溢れている想乃さんが大好きですよ。いや、想乃さんなら全て愛おしく見えてしまうのかもしれない。それでも……」
凛也さんが優しく私の頬を撫でた。
「もう想乃さんがいない明日を考えたくない」
そして、私をいつも動揺させる凛也さんは、今日もやっぱり私の心臓を速くさせる。
前にも思ったけれど、こう言う時だけ敬語が外れる凛也さんは本当にズルい。
だから、悔しくてつい私も言い返してやった。
いつもの敬語を外して。
「凛也さん、大好き。ずっと一緒にいて」
その後の凛也さんの真っ赤な顔は私だけの秘密にしよう。
そして、これからももっと色んな凛也さんの表情が見れたらいいな。
きっと見れるよね。
だって、明日からもずっと一緒にいるんだから。
fin.
私と凛也さんはリビングのテーブルにそっと二人で腰掛けた。
凛也さんが焼き菓子を一口頬張る。
「本当に美味しいですね」
「とってもお気に入りのお店なんです!凛也さんの口にもあって良かったです」
凛也さんが焼き菓子をお皿に置いて、私の方に視線を向ける。
「じゃあ、今度そのお店に連れて行ってくれませんか?」
「っ!はい……!」
これから先、もう会う機会がないかもしれないと思っていたのに、すぐに次の約束は出来てしまう。
それでも、次の約束に甘えて、自分の気持ちを言うことを後回しにするのは嫌だった。
だから……
「凛也さんっ!あの……!二週間、本当にありがとうございました。それで、えっと……」
「ゆっくりで大丈夫ですよ」
いつもの凛也さんの優しい声に安心して、私はぽろっと本音がこぼれ落ちた。
「これからもいっぱい凛也さんと会いたいです……」
私の声はもう震えていて。
凛也さんはほんの少しだけ黙っていた。
でも、急に……
「想乃さん、押し倒していい?」
「っ!」
凛也さんの言葉の意味が理解出来ないうちに、凛也さんが私の肩をポンと押して……文字通り、私を押し倒した。
「り、凛也さん……!」
「想乃さんのその可愛さは無自覚ですか?」
凛也さんの顔がいつもより近くで私は顔に熱が集まっていくのを感じた。
「それにいつも素直で……今だって、僕より先に勇気を出してしまう。僕より先に『もっと会いたい』と言ってくれる」
凛也さんは私と目を逸さなかった。
「想乃さん、大好きですよ。愛しています」
凛也さんの言葉に私は気づいたら、頬に涙が伝っていた。
「想乃さん、返事を下さい」
凛也さんがそう言っているのに、涙が溢れてすぐに言葉が出てこない。
それでも、凛也さんに早く気持ちを伝えたくて私は何とか言葉を絞り出した。
「大好きです……凛也さんがただただ大好きなんです……」
涙を流しながら、私は自分の気持ちを伝えた。
私の言葉を聞いて、凛也さんが嬉しそうにクスッと笑った。
「想乃さん、可愛い」
凛也さんが私の頬にキスを落とす。
そして……
「想乃さん、キスしていい?」
そのキスが頬にという意味ではないことは、当たり前に分かって。
私はそっと頷いた。
凛也さんが優しく私にキスをして、私を愛おしそうな目で見つめる。
「素直で、真っ直ぐで、頑張り屋で、可愛くて……そんな言葉じゃ足りないくらい良いところで溢れている想乃さんが大好きですよ。いや、想乃さんなら全て愛おしく見えてしまうのかもしれない。それでも……」
凛也さんが優しく私の頬を撫でた。
「もう想乃さんがいない明日を考えたくない」
そして、私をいつも動揺させる凛也さんは、今日もやっぱり私の心臓を速くさせる。
前にも思ったけれど、こう言う時だけ敬語が外れる凛也さんは本当にズルい。
だから、悔しくてつい私も言い返してやった。
いつもの敬語を外して。
「凛也さん、大好き。ずっと一緒にいて」
その後の凛也さんの真っ赤な顔は私だけの秘密にしよう。
そして、これからももっと色んな凛也さんの表情が見れたらいいな。
きっと見れるよね。
だって、明日からもずっと一緒にいるんだから。
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