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宵の明星
一夜
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◇
”神は右手には剣を、左手には盾を持ちたもう。王の御証、其は即ち神威の具現なり”
ベレカ帝国創建の章より。
◇
「ここはどこ」
其処はあまりに現実離れした場所だった。さっきまで自宅にいたはずなのに私はいつの間にかアラベスクが七色に輝く宮殿の中、その中央に描かれた魔方陣の上にいた。辺りに漂うのは深い香の薫り。
そして私の右隣には亜麻色の髪をした女性も倒れている。そしてそんな私たちを囲むのは中世イスラームのような服を着た人々だ。シャムシールを腰に差した人たちに現実とはとても思えない。その中でも胸まで見事な白髭の人物が前に来て、声をあげる。
「神子様が二人とは」
「みこ?」
音が意味につながらない。オウム返しに言葉を返した私に髭をたくわえた老人は難しい顔をする。
するとそんな緊張感をわるように微かに呻き声がして私の横にいた亜麻色の髪の女性が顔をあげる。さらりとこぼれ落ちる豊かな長い髪。女の私がハッとするぐらいには彼女は整った容姿をしていた。
やがて彼女の顔を見た周りの人達は惚けたように声をあげた。
「おお みこさま」
「みこさまにちがいない」
うわ言のようで異様な雰囲気の人達に囲まれる中で、
「私が神子?」
言葉に反応した女の子の顔が輝くのが分かった。そしてすぐに人垣の中から地位が高いと分かる精緻な衣装を着た青年が二人現れ、彼女の前で膝を折る。
「神子様。私はこの国の王太子・ファトマ・ベレカ・パシャと申します。ここに控えるは弟皇子のセンド・ベレカ・パシャ。ふして神子様にお願い致します。どうぞ我が国のために力をお貸し頂きたい」
優美ともいえる動作で手を差し出した王太子の手を、私からしたら無遠慮とも思える動作で女の子が握り返す。
「わたしに出来る事ならなんでもします」
この皇子たちは具体的に何に手を貸してほしいのか言っていないのに、この子は正気だろうか。愕然と亜麻色の髪の女の子を見る私に突然言葉が降りかかる。
「神子さまに比べ、なんだこの貧相な人間は。顔も髪もみすぼらしい」
「左様」
王子たちのお付きであろう後ろに控えたお歴々だった。はじめなんでそんなことを言われなければいけないのか分からなすぎて驚く。そりゃ倒れふす美少女に比べたら貧相かもしれないけれど、初対面の人間に対する扱いが悪すぎる。口々にそう言われれば辛くもなる。きゅっと眉に力をよせて声をあげた。
「それが、この国の礼ですか?」
つい口をついて出た言葉に、あからさまに不愉快そうな顔をされるのも堪えた。なんでそんな顔をされなければならないんだろう。私がいけないの?だがそんな私に王太子は冷厳な響きの声でこう言った。
「礼節を知らぬとは嘆かれる…おい、そこのお前、この者を部屋に案内せよ」
「はっ」
ターバンを巻いた衛士の一人が深く礼をして「どうぞ」と私を促す。その後ろで「神子様はこの後は我々と晩餐でもいかがですかな」と声をかけられてるのが聞こえて、扱いの差にクラクラしそうだった。
(私がいけなかったのかな?)
一歩、外を出るとアラベスク模様の柱の間から、夜の深い藍色の中に沈みこむイスラームの街並みが広がっていた。宝珠のような丸みを帯びた屋根は異国情緒が溢れて現実だと思えない。だけど、ほぅと息を吐けば空気は白くにごった。
此の建物はどうやら高い建物のようで見晴らしは素晴らしい。風も砂の香りをのせて流れている。
「綺麗ね」
「有難うございます」
思わず出た呟きに応えたのは先導する衛士の人だ。
「神子様の住む世界と比べても我が国は見劣りしないでしょう」
幾ばくか誇りを滲ませて言った衛士の彼に私は苦笑を返す。
「そんなの比べられないでしょ。故郷なんだから・・・私は家へ帰りたい」
「神子様にも家があるのですか?」
驚いたような声音に呆れてしまう。わたしは藍色の中に沈むイスラームの街並みに視線を向けながら言った。
「あの一つ一つの灯りが家族でしょ?私だって人間なんだから家族がいて当たり前じゃない。すぐ家に帰りたいし、家族に会いたい」
「・・・そうですか。そうですよね」
それっきり衛士の彼は黙ってしまった。でも嫌な沈黙では無かった。だからかもしれない。
「ねぇ貴方…私の髪ってそんなみすぼらしいのかな」
こんな質問ができたのは。
黒髪で華やかさの足りない私を国の人たちは嘲った。指先でくるくると髪に触れながら尋ねると、衛士の人から返ってきたのは「そんなことは無いです」という幾分強い言葉で思わず顔を上げる。すると彼は立ち止まってこちらを振り返っていた。ターバンで髪色は見えないが、その瞳はまるで満月のような金色の虹彩だ。
「貴方の髪は夜のようです。」
満月のような瞳に夜色の私の髪はどんなふうに映っているのだろう。コツリッと足音を響かせて衛士の彼を見上げる様に下から覗く。我ながらおふざけが入ってる。
「それ、褒めてる?」
そんな私に、彼は自分の言葉があまり褒め言葉に適切でないと思ったのかもしれない。幾分悩んだ末に声を絞り出した。
「一応は」
思わず笑った。
不思議だ。全く知らない場所でさっきまで気分は最悪だったのに笑うことができた。
衛士の彼は仕方ないと言いたげに肩を竦めると「では付いて来て下さい」とまた歩き出した。
◇
此処はイスラーム文化らしく扉はなく紗幕だけが部屋を仕切っているようだった。ふわりと舞う紗幕をくぐり部屋に案内されて少し戸惑う。けれど部屋自体はたくさんの絨毯やクッションが置かれていて居心地は良さそうだ。きょろきょろと挙動不審な私を気遣うように衛士の彼が声をかけてくれる。
「お食事はお持ちしますか」
少し遠慮がちなのは王太子やあの女の子が晩餐会をしていることを私も彼も知っているからだろう。
「いいえ。今日は疲れたから、もう眠りたいわ」
早く寝て、この夢から覚めてしまいたかった。
「そうですか。何かありましたら、あの呼び鈴で侍女をお呼び下さい。では俺はこれで」
彼が指し示す先の机に銀製の小さな呼び鈴が置かれている。窓から差し込む月明かりに鈴は輝いていた。
「わかった。有難う…お休みなさい」
少しだけ、ほんの少しだけだけど。不器用な彼のおかげで、この国の“夜”を眠る不安が薄まった。
”神は右手には剣を、左手には盾を持ちたもう。王の御証、其は即ち神威の具現なり”
ベレカ帝国創建の章より。
◇
「ここはどこ」
其処はあまりに現実離れした場所だった。さっきまで自宅にいたはずなのに私はいつの間にかアラベスクが七色に輝く宮殿の中、その中央に描かれた魔方陣の上にいた。辺りに漂うのは深い香の薫り。
そして私の右隣には亜麻色の髪をした女性も倒れている。そしてそんな私たちを囲むのは中世イスラームのような服を着た人々だ。シャムシールを腰に差した人たちに現実とはとても思えない。その中でも胸まで見事な白髭の人物が前に来て、声をあげる。
「神子様が二人とは」
「みこ?」
音が意味につながらない。オウム返しに言葉を返した私に髭をたくわえた老人は難しい顔をする。
するとそんな緊張感をわるように微かに呻き声がして私の横にいた亜麻色の髪の女性が顔をあげる。さらりとこぼれ落ちる豊かな長い髪。女の私がハッとするぐらいには彼女は整った容姿をしていた。
やがて彼女の顔を見た周りの人達は惚けたように声をあげた。
「おお みこさま」
「みこさまにちがいない」
うわ言のようで異様な雰囲気の人達に囲まれる中で、
「私が神子?」
言葉に反応した女の子の顔が輝くのが分かった。そしてすぐに人垣の中から地位が高いと分かる精緻な衣装を着た青年が二人現れ、彼女の前で膝を折る。
「神子様。私はこの国の王太子・ファトマ・ベレカ・パシャと申します。ここに控えるは弟皇子のセンド・ベレカ・パシャ。ふして神子様にお願い致します。どうぞ我が国のために力をお貸し頂きたい」
優美ともいえる動作で手を差し出した王太子の手を、私からしたら無遠慮とも思える動作で女の子が握り返す。
「わたしに出来る事ならなんでもします」
この皇子たちは具体的に何に手を貸してほしいのか言っていないのに、この子は正気だろうか。愕然と亜麻色の髪の女の子を見る私に突然言葉が降りかかる。
「神子さまに比べ、なんだこの貧相な人間は。顔も髪もみすぼらしい」
「左様」
王子たちのお付きであろう後ろに控えたお歴々だった。はじめなんでそんなことを言われなければいけないのか分からなすぎて驚く。そりゃ倒れふす美少女に比べたら貧相かもしれないけれど、初対面の人間に対する扱いが悪すぎる。口々にそう言われれば辛くもなる。きゅっと眉に力をよせて声をあげた。
「それが、この国の礼ですか?」
つい口をついて出た言葉に、あからさまに不愉快そうな顔をされるのも堪えた。なんでそんな顔をされなければならないんだろう。私がいけないの?だがそんな私に王太子は冷厳な響きの声でこう言った。
「礼節を知らぬとは嘆かれる…おい、そこのお前、この者を部屋に案内せよ」
「はっ」
ターバンを巻いた衛士の一人が深く礼をして「どうぞ」と私を促す。その後ろで「神子様はこの後は我々と晩餐でもいかがですかな」と声をかけられてるのが聞こえて、扱いの差にクラクラしそうだった。
(私がいけなかったのかな?)
一歩、外を出るとアラベスク模様の柱の間から、夜の深い藍色の中に沈みこむイスラームの街並みが広がっていた。宝珠のような丸みを帯びた屋根は異国情緒が溢れて現実だと思えない。だけど、ほぅと息を吐けば空気は白くにごった。
此の建物はどうやら高い建物のようで見晴らしは素晴らしい。風も砂の香りをのせて流れている。
「綺麗ね」
「有難うございます」
思わず出た呟きに応えたのは先導する衛士の人だ。
「神子様の住む世界と比べても我が国は見劣りしないでしょう」
幾ばくか誇りを滲ませて言った衛士の彼に私は苦笑を返す。
「そんなの比べられないでしょ。故郷なんだから・・・私は家へ帰りたい」
「神子様にも家があるのですか?」
驚いたような声音に呆れてしまう。わたしは藍色の中に沈むイスラームの街並みに視線を向けながら言った。
「あの一つ一つの灯りが家族でしょ?私だって人間なんだから家族がいて当たり前じゃない。すぐ家に帰りたいし、家族に会いたい」
「・・・そうですか。そうですよね」
それっきり衛士の彼は黙ってしまった。でも嫌な沈黙では無かった。だからかもしれない。
「ねぇ貴方…私の髪ってそんなみすぼらしいのかな」
こんな質問ができたのは。
黒髪で華やかさの足りない私を国の人たちは嘲った。指先でくるくると髪に触れながら尋ねると、衛士の人から返ってきたのは「そんなことは無いです」という幾分強い言葉で思わず顔を上げる。すると彼は立ち止まってこちらを振り返っていた。ターバンで髪色は見えないが、その瞳はまるで満月のような金色の虹彩だ。
「貴方の髪は夜のようです。」
満月のような瞳に夜色の私の髪はどんなふうに映っているのだろう。コツリッと足音を響かせて衛士の彼を見上げる様に下から覗く。我ながらおふざけが入ってる。
「それ、褒めてる?」
そんな私に、彼は自分の言葉があまり褒め言葉に適切でないと思ったのかもしれない。幾分悩んだ末に声を絞り出した。
「一応は」
思わず笑った。
不思議だ。全く知らない場所でさっきまで気分は最悪だったのに笑うことができた。
衛士の彼は仕方ないと言いたげに肩を竦めると「では付いて来て下さい」とまた歩き出した。
◇
此処はイスラーム文化らしく扉はなく紗幕だけが部屋を仕切っているようだった。ふわりと舞う紗幕をくぐり部屋に案内されて少し戸惑う。けれど部屋自体はたくさんの絨毯やクッションが置かれていて居心地は良さそうだ。きょろきょろと挙動不審な私を気遣うように衛士の彼が声をかけてくれる。
「お食事はお持ちしますか」
少し遠慮がちなのは王太子やあの女の子が晩餐会をしていることを私も彼も知っているからだろう。
「いいえ。今日は疲れたから、もう眠りたいわ」
早く寝て、この夢から覚めてしまいたかった。
「そうですか。何かありましたら、あの呼び鈴で侍女をお呼び下さい。では俺はこれで」
彼が指し示す先の机に銀製の小さな呼び鈴が置かれている。窓から差し込む月明かりに鈴は輝いていた。
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