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我慢
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後宮から急ぎ戻り、織部の待つ部屋に入った。
「お帰りなさいませ」
いつも通りに微笑みを浮かべて劉壮を出迎えた織部に胸を撫で下ろし、慣れた様子で織部を抱きあげると、劉壮は続き間に向かった。
「体調はどうだ、大事ないか?」
「はい」
続き間には、水面のような色を纏う美しい箏が置いてある。
その前に織部を下ろすと、劉壮は箏を挟んで向かいに腰を下ろした。
「今日は何を弾いてくれる?」
「では、『白鳳』を。」
静々と女官が近づき、劉壮の傍に酒盃を準備していく。
女官が退室するのを見届けてから、織部は箏を弾き始めた。
劉壮はいつものように目を細めながら、ひどく満足気に酒を舐める。
劉壮にとって、至福の時間だ。
「良い曲だ。」
曲が終われば織部を抱きよせて、片膝に乗せて今日の出来事を報告させる。
織部の手酌に気を良くしながら、午前中に行われたという即位の儀の衣装合わせについて話を聞いた。
父帝の喪が明けるのに合わせて、即位の儀を行う予定だ。
劉壮の即位式は、織部が太后として初めて参列する式典でもあった。
あまり派手にしたくない織部と、太后らしく飾り付けたい侍女らとの攻防の話に、劉壮は時折声をあげて笑った。
「・・・それで、午後は後宮入りした妃嬪らの挨拶を受けました。」
劉壮はチラッと織部の表情を確認した。
劉壮が後宮に足を運ばなかったのは、後宮の媛に少しも興味のない劉壮が自主的にそうしているだけなのに、「太后が嫉妬するせい」だとか「太后が泣いて引き留めている」だとか、憶測が真実のように噂され、それを信じ切ってしまう者も中にはいたのだ。
そういった勘違いを招かないように、織部の側仕えには、後宮に行く際には特に翠色を身に纏わせ、分をわきまえずに太后に楯突く愚か者がいるならすぐに報告するよう申し付けていた。魏家から来た小娘には効果が無かったようだが。
「箏を習っている媛もいらして・・・千玉浄然をご覧になりたいようでした。そのような機会を設けてもいいですか」
無理をしている様子はなく、織部もそうしたいと思っているのだろう。
ふむ、と考えるふりをしながら、織部の垂れた髪を指で弄る。
織部への贈り物を、後宮のためにこの部屋から出すようなことはさせたくないが・・・だが、太后への寵愛の象徴として巷で話題になっているあの箏を、織部自ら披露したいと言うとは思わなかった。
いつも奥ゆかしい織部が、劉壮からの求愛を自分のものとして受け入れた証のようで気分が良い。
「…織部のもの故、好きにするといいが他の媛には触らせてはならん。よくよく申し伝えて運ばせよう。」
織部が息を吐いて笑顔になる。
「よかった‥ありがとうございます。思っていたより話が大きくなってしまって、他の媛君も・・・今ざっと30名ほどがご覧になりたいと仰っているんです。・・・流石にご覧頂くだけでは申し訳なく、数曲はお披露目せねばと思っていて」
「待て、織部が弾くのか?」
箏を見せるだけでなく織部が演奏すると知って、劉壮は一気に渋面となったが、酒を注ぐ織部は気付かない。
「はい。皆様のお耳汚しにならないように、更に練習に励まないと・・・。先ほど弾いた『白凰』は、千玉浄然の音の特徴を出しやすいかなと思ったのですが・・・どうでしたか?」
本当は劉壮だけのために弾いてほしいし、後宮に織部の演奏を分けてやるなど腹立たしい限りだが、楽しそうに話す織部を見ているとその気も削がれる。
仏頂面を見られないように、劉壮は織部を胸に抱き込んだ。
「劉壮様?」
こちらの顔を見ようともぞもぞと動く織部を腕の中に閉じ込めたまま、劉壮は己の狭量さを憎らしく思った。
織部に、他の者の前で箏を弾くなと言ったことはない。
そんな幼子のような独占欲を露わにすれば、結局織部に、劉壮が歳下であることを印象付けるだけだと思い我慢していたのだ。
織部の箏を聴くに至るまで、劉壮はこんなにも苦労して月日をかけたと言うのに、何故、後宮ごときが易々と。
「劉壮様も、聴きにこられますか?」
そう、問いかけられて劉壮が腕の力を緩めると、織部が背を反らして劉壮の顔を見上げた。
「劉壮様も来てくだされば、きっと皆様、喜ばれます。」
「行く・・・」
「それでは日程は側仕えに相談しますね。」
織部は嬉しそうにそう言うと、劉壮の胸にくったりと身を預けた。
織部の肌から立ち昇る、湯浴み後の香油の香りが劉壮の鼻腔をくすぐる。
織部がこんな風に体を寄せて甘えてくるようになったのはここ最近のことだ。
その度に、愛おしくて堪らない気持ちと、服を剥いて肌を露わにしてしまいたい劣情が高まり鎮めるのに苦労する。
そんなことを考えていたので、織部に「劉壮様、」と名を呼ばれたのに返事が少し遅れてしまった。
「・・・なんだ?」
「今日、後宮でご指摘を受けました。とてもしっかりした媛君で・・・若い殿方は欲を発散しないと具合を悪くするのだから、私がお相手できない時は陛下に後宮を勧めるべき、と。」
「・・・」
「それを聞いて、やはりと思いました。劉壮様は私の懐妊を聞いてからいつも私を労わって下さって・・・その、一緒に床に入っても全くそういうことはされなくなりましたでしょう?前はあんなに・・・いえ、その急にパタリとお止めになったので、気になっていたのです」
「いや、それは・・・」
妊娠中に性交してならないわけではないようだが、「初めての御子ですので慎重に」と侍医から言われている。
だから、まるで好物を目の前にぶら下げられた犬の如く、織部の懐妊がわかったその日から、自主的に"お預け"をしているのだが。
「私のせいで、我慢しているのではないですか。」
織部の顔は少し辛そうに見えた。
我慢しているのは事実ではあるが、それは織部のせいではなくて、ひとえに織部を思ってこそだ。
だが、それを認めたところで、織部が劉壮のために太后宮行きを決意するのは止められないだろう。
ならば、我慢するような欲など初めから持っていない事にしてしまえばいい。
「そんなことはない。織部の身に我が子がいると思えば、そのような気は微塵も起きなくなっただけだ」
そう言えば、織部の気持ちも晴れるはず、という劉壮の読みは外れ、織部は俯いてしまった。
「織部?」
「申し訳ありません・・・自分が情けなくて」
「・・・どうしたんだ?」
顔を上げさせようとするが、益々劉壮の胸に擦り寄ってしまう。
「織部?」
なかなか言おうとしない織部を何度か促すと、顔を隠しながらとうとう織部が話し出した。
「私は、触れて頂けないことが寂しいと思ってしまって仕方ないのです・・・もう劉壮様を昂らせることができないことが悲しくて・・・欲が捨てきれないのは私の方です。年甲斐もなく、しかも御子を宿す身で申し訳ありません。」
たっぷり10秒は空いて、劉壮は「は?」と間の抜けた声をあげた。
「ですから、いっそのこと、私が太后宮に移るべきだと。私がこちらにいては、陛下も後宮に通いにくいでしょうし・・・」
「ならん」と言う代わりに、織部の顔を上向け、口付けで塞いだ。
織部の小さな舌に己のを絡めて啜る。
貪るような濃厚な口付けを終えると、織部の息はすっかり上がっていた。
「・・・触れて、いいのか?」
そう聞いた己の声が上擦っていて、いかにも余裕が無いようでカッと顔が熱くなった。
それでも、織部の潤んだ瞳から目を背けることはしない。
「自重してただけで、俺だって本当は織部の肌が恋しい。織部しか抱きたくない。だから後宮には行かない。」
急な告白に、織部は驚いたようだが、恥じらうように少し目線を下げた。
「それなら‥私だって‥劉壮様を他の方にお渡ししたくはありません。」
「だが、今は大事な時期ゆえ…」
そう言いながら、劉壮はコクリと喉を鳴らした。
『劉壮様を昂らせることができないことが悲しくて…』
先ほど織部はそう言っていた。
いいのか?欲のままに、織部に言ってしまっても。
これを織部に言うのは初めてだ。
織部を初めて意識することになったあの夢。
背徳感から、織部に伝えることはしてこなかった。
最悪、織部に軽蔑されるのでは、とも恐れていた。
「今は大事な時期ゆえ…その…出来るようになる時期になるまで、俺のを」
自分はきっと耳たぶの裏まで真っ赤になっているだろう。
声を潜めて織部の耳に囁く。
「織部の手で慰めてくれ…ぬか」
心の臓の音が体中から聞こえてしまうのではないかと思うほどで、緊張して劉壮は身を固くする。
「劉壮様」
対する織部も緊張しているようで、声が硬い。
「私、上手くできるかわかりませんが、誠心誠意務めさせていただきます…!」
災い転じて福となる。
その後、皇帝と母后の怒りを買った後宮の愚かな媛の話と、皇帝は『帝都の黄蝶』に見向きもせずに相変わらず寵姫 織部太后を囲っている話の両方が、帝都に再び広がっていくのである。
「お帰りなさいませ」
いつも通りに微笑みを浮かべて劉壮を出迎えた織部に胸を撫で下ろし、慣れた様子で織部を抱きあげると、劉壮は続き間に向かった。
「体調はどうだ、大事ないか?」
「はい」
続き間には、水面のような色を纏う美しい箏が置いてある。
その前に織部を下ろすと、劉壮は箏を挟んで向かいに腰を下ろした。
「今日は何を弾いてくれる?」
「では、『白鳳』を。」
静々と女官が近づき、劉壮の傍に酒盃を準備していく。
女官が退室するのを見届けてから、織部は箏を弾き始めた。
劉壮はいつものように目を細めながら、ひどく満足気に酒を舐める。
劉壮にとって、至福の時間だ。
「良い曲だ。」
曲が終われば織部を抱きよせて、片膝に乗せて今日の出来事を報告させる。
織部の手酌に気を良くしながら、午前中に行われたという即位の儀の衣装合わせについて話を聞いた。
父帝の喪が明けるのに合わせて、即位の儀を行う予定だ。
劉壮の即位式は、織部が太后として初めて参列する式典でもあった。
あまり派手にしたくない織部と、太后らしく飾り付けたい侍女らとの攻防の話に、劉壮は時折声をあげて笑った。
「・・・それで、午後は後宮入りした妃嬪らの挨拶を受けました。」
劉壮はチラッと織部の表情を確認した。
劉壮が後宮に足を運ばなかったのは、後宮の媛に少しも興味のない劉壮が自主的にそうしているだけなのに、「太后が嫉妬するせい」だとか「太后が泣いて引き留めている」だとか、憶測が真実のように噂され、それを信じ切ってしまう者も中にはいたのだ。
そういった勘違いを招かないように、織部の側仕えには、後宮に行く際には特に翠色を身に纏わせ、分をわきまえずに太后に楯突く愚か者がいるならすぐに報告するよう申し付けていた。魏家から来た小娘には効果が無かったようだが。
「箏を習っている媛もいらして・・・千玉浄然をご覧になりたいようでした。そのような機会を設けてもいいですか」
無理をしている様子はなく、織部もそうしたいと思っているのだろう。
ふむ、と考えるふりをしながら、織部の垂れた髪を指で弄る。
織部への贈り物を、後宮のためにこの部屋から出すようなことはさせたくないが・・・だが、太后への寵愛の象徴として巷で話題になっているあの箏を、織部自ら披露したいと言うとは思わなかった。
いつも奥ゆかしい織部が、劉壮からの求愛を自分のものとして受け入れた証のようで気分が良い。
「…織部のもの故、好きにするといいが他の媛には触らせてはならん。よくよく申し伝えて運ばせよう。」
織部が息を吐いて笑顔になる。
「よかった‥ありがとうございます。思っていたより話が大きくなってしまって、他の媛君も・・・今ざっと30名ほどがご覧になりたいと仰っているんです。・・・流石にご覧頂くだけでは申し訳なく、数曲はお披露目せねばと思っていて」
「待て、織部が弾くのか?」
箏を見せるだけでなく織部が演奏すると知って、劉壮は一気に渋面となったが、酒を注ぐ織部は気付かない。
「はい。皆様のお耳汚しにならないように、更に練習に励まないと・・・。先ほど弾いた『白凰』は、千玉浄然の音の特徴を出しやすいかなと思ったのですが・・・どうでしたか?」
本当は劉壮だけのために弾いてほしいし、後宮に織部の演奏を分けてやるなど腹立たしい限りだが、楽しそうに話す織部を見ているとその気も削がれる。
仏頂面を見られないように、劉壮は織部を胸に抱き込んだ。
「劉壮様?」
こちらの顔を見ようともぞもぞと動く織部を腕の中に閉じ込めたまま、劉壮は己の狭量さを憎らしく思った。
織部に、他の者の前で箏を弾くなと言ったことはない。
そんな幼子のような独占欲を露わにすれば、結局織部に、劉壮が歳下であることを印象付けるだけだと思い我慢していたのだ。
織部の箏を聴くに至るまで、劉壮はこんなにも苦労して月日をかけたと言うのに、何故、後宮ごときが易々と。
「劉壮様も、聴きにこられますか?」
そう、問いかけられて劉壮が腕の力を緩めると、織部が背を反らして劉壮の顔を見上げた。
「劉壮様も来てくだされば、きっと皆様、喜ばれます。」
「行く・・・」
「それでは日程は側仕えに相談しますね。」
織部は嬉しそうにそう言うと、劉壮の胸にくったりと身を預けた。
織部の肌から立ち昇る、湯浴み後の香油の香りが劉壮の鼻腔をくすぐる。
織部がこんな風に体を寄せて甘えてくるようになったのはここ最近のことだ。
その度に、愛おしくて堪らない気持ちと、服を剥いて肌を露わにしてしまいたい劣情が高まり鎮めるのに苦労する。
そんなことを考えていたので、織部に「劉壮様、」と名を呼ばれたのに返事が少し遅れてしまった。
「・・・なんだ?」
「今日、後宮でご指摘を受けました。とてもしっかりした媛君で・・・若い殿方は欲を発散しないと具合を悪くするのだから、私がお相手できない時は陛下に後宮を勧めるべき、と。」
「・・・」
「それを聞いて、やはりと思いました。劉壮様は私の懐妊を聞いてからいつも私を労わって下さって・・・その、一緒に床に入っても全くそういうことはされなくなりましたでしょう?前はあんなに・・・いえ、その急にパタリとお止めになったので、気になっていたのです」
「いや、それは・・・」
妊娠中に性交してならないわけではないようだが、「初めての御子ですので慎重に」と侍医から言われている。
だから、まるで好物を目の前にぶら下げられた犬の如く、織部の懐妊がわかったその日から、自主的に"お預け"をしているのだが。
「私のせいで、我慢しているのではないですか。」
織部の顔は少し辛そうに見えた。
我慢しているのは事実ではあるが、それは織部のせいではなくて、ひとえに織部を思ってこそだ。
だが、それを認めたところで、織部が劉壮のために太后宮行きを決意するのは止められないだろう。
ならば、我慢するような欲など初めから持っていない事にしてしまえばいい。
「そんなことはない。織部の身に我が子がいると思えば、そのような気は微塵も起きなくなっただけだ」
そう言えば、織部の気持ちも晴れるはず、という劉壮の読みは外れ、織部は俯いてしまった。
「織部?」
「申し訳ありません・・・自分が情けなくて」
「・・・どうしたんだ?」
顔を上げさせようとするが、益々劉壮の胸に擦り寄ってしまう。
「織部?」
なかなか言おうとしない織部を何度か促すと、顔を隠しながらとうとう織部が話し出した。
「私は、触れて頂けないことが寂しいと思ってしまって仕方ないのです・・・もう劉壮様を昂らせることができないことが悲しくて・・・欲が捨てきれないのは私の方です。年甲斐もなく、しかも御子を宿す身で申し訳ありません。」
たっぷり10秒は空いて、劉壮は「は?」と間の抜けた声をあげた。
「ですから、いっそのこと、私が太后宮に移るべきだと。私がこちらにいては、陛下も後宮に通いにくいでしょうし・・・」
「ならん」と言う代わりに、織部の顔を上向け、口付けで塞いだ。
織部の小さな舌に己のを絡めて啜る。
貪るような濃厚な口付けを終えると、織部の息はすっかり上がっていた。
「・・・触れて、いいのか?」
そう聞いた己の声が上擦っていて、いかにも余裕が無いようでカッと顔が熱くなった。
それでも、織部の潤んだ瞳から目を背けることはしない。
「自重してただけで、俺だって本当は織部の肌が恋しい。織部しか抱きたくない。だから後宮には行かない。」
急な告白に、織部は驚いたようだが、恥じらうように少し目線を下げた。
「それなら‥私だって‥劉壮様を他の方にお渡ししたくはありません。」
「だが、今は大事な時期ゆえ…」
そう言いながら、劉壮はコクリと喉を鳴らした。
『劉壮様を昂らせることができないことが悲しくて…』
先ほど織部はそう言っていた。
いいのか?欲のままに、織部に言ってしまっても。
これを織部に言うのは初めてだ。
織部を初めて意識することになったあの夢。
背徳感から、織部に伝えることはしてこなかった。
最悪、織部に軽蔑されるのでは、とも恐れていた。
「今は大事な時期ゆえ…その…出来るようになる時期になるまで、俺のを」
自分はきっと耳たぶの裏まで真っ赤になっているだろう。
声を潜めて織部の耳に囁く。
「織部の手で慰めてくれ…ぬか」
心の臓の音が体中から聞こえてしまうのではないかと思うほどで、緊張して劉壮は身を固くする。
「劉壮様」
対する織部も緊張しているようで、声が硬い。
「私、上手くできるかわかりませんが、誠心誠意務めさせていただきます…!」
災い転じて福となる。
その後、皇帝と母后の怒りを買った後宮の愚かな媛の話と、皇帝は『帝都の黄蝶』に見向きもせずに相変わらず寵姫 織部太后を囲っている話の両方が、帝都に再び広がっていくのである。
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