離婚と追放された悪役令嬢ですが、前世の農業知識で辺境の村を大改革！気づいた元夫が後悔の涙を流しても、隣国の王子様と幸せになります

番外編2「ユリアの商売繁盛記」

「グレンドール商会」の会長として、大陸中にその名を轟かせるユリア・ミュラー。リセラの侍女だった頃の面影はもはやなく、今や彼女は、各国の王侯貴族や大商人たちと、一歩も引かずに渡り合う凄腕の女性実業家だった。
　彼女の商売のモットーは「誠実と革新」。グレンドール産の高品質な商品を、正当な価格で、誠実に届ける。その一方で、常に新しい商品を開発し、人々の生活を豊かにすることを目指していた。

　そんなある日、ユリアは新航路開拓のため、まだ交流の少ない南方の島国へと向かう船の上にいた。その国には、まだ大陸では知られていない、珍しい香辛料や果物があるという。
　しかし、航海の途中、船は激しい嵐に見舞われ、座礁してしまう。ユリアと船員たちは、地図にも載っていない無人島に漂着してしまった。

　絶体絶命のピンチ。しかし、ユリアは少しも取り乱さなかった。リセラと共に荒れ地を開墾した経験が、彼女を強くしていたのだ。彼女は持ち前のリーダーシップで船員たちをまとめ、飲み水の確保、食料の調達、そして救助を待つための拠点の設営を、テキパキと指示した。

　数日後、彼らの焚いた狼煙を、偶然通りかかった一隻の船が発見した。その船に乗っていたのは、南方の島国を目指していた若き冒険家、レオと名乗る男だった。
　レオは、ユリアの絶望的な状況下での冷静な判断力と、人を惹きつけるカリスマ性に、一目で心を奪われた。ユリアもまた、自由奔放で、世界の果てを夢見るレオの大きな瞳に、これまで感じたことのないときめきを覚えた。

　二人は、共に旅をするうちに、お互いがなくてはならない存在だと気づく。ユリアはレオから冒険家としてのサバイバル術を学び、レオはユリアから世界を股にかける商売のダイナミズムを学んだ。
　やがて二人は恋に落ち、結婚。ユリアは「グレンドール商会」の拠点を世界中に広げ、レオはその航路を開拓する冒険家として彼女を支えた。仕事と恋、両方で最高のパートナーを見つけたユリアの商売繁盛記は、まだまだ続いていく。