上 下
206 / 541
連載

さっそくPvP

しおりを挟む
体の調子はやや戻ってきていますので、時々更新を再開していこうと思います。
********************************************

 話がまとまったところで、ログアウトするにはまだ早い時間なので早速PvPを行うことにした。カザミネとは何回か共闘してきたが、こうやって直接対峙したことは今までは無かったかな? なお、今回は特殊ルールとしてカザミネは使うアーツを《紅散華》(未完成)に限定。自分は一切アーツを使わず基本的な攻撃に限定する。あくまでバトルスタイルを確立するために行うPvPなので、変にアーツを使って戦うと無意識のうちに今までのバトルスタイルに戻ってしまう可能性があるからだ。

「それでは、よろしくお願いします」

 カザミネが一礼してから、背中に背負っていた大太刀を構える。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 自分もカザミネに一礼してから左手に弓を構え、右手は何も持たない。今後はこの構えが基本になる。早く慣れていかなくてはな。PvPの試合開始カウントダウンが終わり、早速カザミネが間合いを詰めて大太刀を大上段から振り下ろしてくる。

「おっと」

 それでもアーツを使った攻撃ではないので、こちらの右に動く事で避ける回避行動が間に合う。もっともカザミネも当たるとは思っていなかったようで、余裕をもって大太刀の勢いを殺す。自分はその動きが止まった大太刀を蹴って少しカザミネの体勢を崩そうと試みたが、この行動はカザミネの予想範囲内だったようで大太刀がスッと自分の蹴りから逃げていく。

「武器に攻撃を当てられるのは、慣れていますよ」

 うーん、やっぱりそういうことは経験済みか。戦闘密度なら間違いなくカザミネの方が濃いだろうし、この手の反撃行為はもう何度か受けてきているんだろうな。大太刀をこちらの蹴りから逃がす動きにも淀みがなかったからな。

「さて、では早速こちらの技を見ていただきましょう」

 カザミネが大太刀を構えなおし、《紅散華》(未完成)を放ってくる。5枚の花弁が現れ、花弁が刃となってこちらに襲ってくるが……やはり(未完成)ゆえに刃の動きが読みやすいうえに動きも遅い。オリジナルを知っている自分にとっては何の脅威も感じられない。

「スピードも攻撃の鋭さも話にならないぞ! それに花弁が飛んでくる順番も違う!」

 5枚の花弁が変化した刃をすべて回避して、突きを繰り出す直前のカザミネに向かって矢を射る。突きのモーションに入っていたカザミネは回避行動を取ることができず、自分が放った矢を顔面に受ける。矢は前に自分が作った鬼面にあたって跳ね返されるが、ある程度のダメージは通ったな。

「これは予想以上に難しい技です……神経を集中しないと簡単に失敗しますね……」

 後ろに飛び跳ね、仕切りなおしを図るカザミネ。こちらも勝つことが目的ではないので、この時間を利用して先程のぶつかり合いを思い出す。とりあえず弓の双咆が動きを制限するようなことはないな。だがまだ戸惑っている部分があるから、反撃がやや遅れているな。これは回数をこなして徐々に改善していくべき部分だろう。さて、それはさておきカザミネに《紅散華》の情報を伝えなおさないとな。

「カザミネ、花弁を飛ばす順番は自分から見て左下からだ。左下、右下、左上、右上、上段の順番だぞ。そして花弁の大きさをもう一回り大きな桜の花弁のような形にしないとだめだ」

 いきなり全部を再現することはできないだろうが、それでも少しづつ形にしていかないといけないからな。そのままPvPでカザミネと戦い続け、この戦いはカザミネが自分の脇腹を切り裂いたことがとどめの一撃となり、こちらの負けで決着がついた。

「おつかれ、アーツがなくてもカザミネの剣技は厄介だな」

 むしろアーツの特徴である発光現象が無いため、見切りにくい面がある。リアルの体だったら間違いなくバッサリとやられるだろう。あくまでワンモアの世界における身体能力があるからこそ戦えるわけで……

「いえ、こちらとしてもいい修練になります。実は私としても最近の戦いにはアーツを多用して戦う形になりやすく、こういった基礎がやや粗くなってきている面が否定できませんでしたから。基礎を叩き直す機会が欲しいと思っていた所に今回のお話ですから、こちらとしても感謝しています。それに《紅散華》と言う大技も身に着けられる機会をいただきましたからね。再現度はまだ17%と言ったところですが」

 ああ、再現度と言う項目があるのね。そしてそれが100%になったらアーツ習得となるわけか。アーツをマニュアルモードにするにしても、一度は完全習得しておかないといけないだろう。

「ね、次は私と戦ってもらえない? ルールはアーツ禁止のままでいいから」

 そのまま、PvPで戦ったお互いの動きの問題点を揚げつつカザミネと話し合っていた所に、ノーラさんからそんな言葉が飛んできた。

「ノーラさんが? でも、ノーラさんは確か……不意打ちメインの戦い方でしたよね? アーツ禁止では短剣の一撃必殺が無くなってしまうのでは?」

 短剣の強みは何度も言ってきたように背後からの強烈な一撃にある。もしくは急所を突いたとき、他の武器よりもダメージ倍率が増加するという情報もあったか? なので、不意打ちからの強烈な一撃で一気に相手を追い込み、とどめを刺すという短期決戦タイプになる。

「カザミネ君じゃないけどね、私も基礎を練り直したいのよ。普段は前衛がモンスターを引き付けて、そうして生まれた隙をついてモンスターを倒すという流れでいいんだけど、妖精国の新しいダンジョンで戦ったときに、予想以上に動けない自分に危機感を持ったの。これから先、どういう状態に追い込まれるか分からないから、その時に対応することができないとやられるだけになっちゃう事になっちゃうからね」

 なるほど。水魔法も使える短剣使いのノーラさんだけど、不意打ち行為が多すぎて真っ向から行う戦いの勘が鈍ってきているという事か。そういう事ならPvPで一勝負しますか。こちらとしても色んな武器を相手にした方がいい経験になるから、メリットも大きいし。

「じゃ、あと5分だけ休憩させてほしい。その後でPvPを受けますよ」

 ノーラさんの申し出を受け、5分後の休憩の時間をおいてからPvP開始することにした。この際だから、時間に余裕があるブルーカラーメンバーとガンガンPvPを行った方がいいか。幸いブルーカラーのメンバーが使う武器はばらばらだから、飽きることもない。

「ありがとね。ツヴァイを良く叩くから大剣相手は得意なんだけど、アース君みたいに複数の武器を操る人との勝負ってなかなかできないから。アーツ禁止だけど、それ以外は本気で行かせてもらうからね。──あ、一応確認をしておくけれど、魔法も当然禁止よね? さっきの戦いでアース君は使えるはずの風魔術を一切使っていなかったから」

 もちろん禁止だ。風魔術を使えば《ウィンドブースター》や《フライ》があるからな。そういった魔法をむやみに使わないようにして立ち回りができてこそ、いざと言う時に役に立つのだから。自分の考えをノーラさんに伝えると、「やっぱりそうよね」とうなずいていた。

「さて、お待たせしました。ノーラさん、やりましょうか」

「ちょっとワクワクするわね。アース君、手加減なんてしないでよ? こういうのは本気でやってこそ意味があるんだから」

 こうしてこの日はカザミネを初めとして、ノーラ、レイジともアーツ禁止PvPを行い、お互いの問題点を出し合った。この日はとても有意義な時間を過ごせたと思う。この調子で、新しいバトルスタイルを確実にものにしていかないとな。
************************************************
今の体の調子ですが、腹痛に悩むことは無くなりました。ちょっと白髪が増えたりもしましたが、今は落ち着いています。

少々お金を使って遊んだりして気分転換を図り、精神的にも落ち着いてきました。もうしばらくを様子を見ながら、徐々にペースを上げていければと思っています。ちなみに書くネタは尽きてないです。体の休養を重視しているだけですので。

そして漫画版の感想の方もいただき、ありがとうございます。あちらの方も楽しんでいただければ幸いでございます。
しおりを挟む

処理中です...