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毒料理?

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筆が全然進まなかった。ちなみに頭痛は完全に収まりました。
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【ただいまだぜ。アース、バッファローの肉は必要か?】

 それからしばらく後。ツヴァイ達ブルーカラーのメンバーが街に帰ってきたのだろう……ウィスパーを許可して聞こえてきた言葉から察するに、だが。

【譲ってくれるならお願いしていいかな? その代わりこちらは先程作ったカレーを提供するから】

 バッファローのお肉は、また何かしらの料理になるからストックしておくのが良いだろう。まあその、リアルと違って時間経過で腐らないからこそできる事なんだが。ファンタジー物なんかの中にたまにある話で、アイテムボックスなどの特殊空間に入っていれば時間が経過しないから腐敗しないとかの設定があるという事にしておこう。あまり深く考えてもドツボにはまるし。

【オッケーだな、交渉成立って事で。しかし遂にカレーか、うまそーだな! 居る場所を教えてくれ!】

 ツヴァイに、ここら辺に居ると伝えてからウィスパーを切る。さて、早速続きを……。

「ね、ねえ。アース君……それ、本当に完成させるの?」

 おっと、ここでロナちゃんからそんな言葉が飛んできた。目の前の鍋の中にはぐつぐつと弱火でゆっくりと熱されているミートソースが入っている。だが、見た目や香りはミートソースなのだが、実際は各種毒草(窒息草だけは残念ながら手持ちがなかったが……)をたっぷりと含んだ猛毒ソースの試作品である。この鍋を見るアクアやロナちゃんの妖精も、嫌な物を見たとばかりに体を震わせている。

 このソースでそれなりにいいものが出来たら、次は窒息草も入れてよりおいしそうな香り、いい味、だがそれに騙されて飲み込むとうわぁな事になるソースを作りたいものだ。薬草と毒草の収集に走らないと。

「もちろん完成させるよ。まあ、これはまだ試作品止まりになるだろうけどね」

 当然のことながら、このソースはあくまでモンスターに使う。プレイヤーや町の人には絶対に食わせない。下手したら即死しかねないほどの毒素がこのソースの中には渦巻いている。毒、麻痺毒、睡眠毒と言ったメジャーな物に加えて、鎮痛薬等も入っている。つまりこのソースを食べると……痛みを感じなくなってすやすやと眠りにつき、そのままサヨウナラというイメージで製作している。完成品では食べたモンスターがとびっきりのリアクションを取ってからご臨終するような物にしたいのだが。

「アース君、絶対にそのソースだけは厳重に管理してよ!! 匂いとかじゃ毒だってわかんないから、ポンと出されたらほぼ間違いなく誰もが口に入れちゃうよ!」

 ロナちゃんからそんな悲鳴交じりの声が飛んでくる。もちろんそのつもりではある、意図的かそうじゃないかとかは別にして、危険物の管理をいい加減にしてしまうような真似をするつもりはない。間違って食べさせた結果、殺してしまいましたなんて事態になってはいけない。

 この……猛毒ソースはアイテムボックスの特定の場所に必ず入れて、間違いが起きないように設定することにした。絶対という言葉は存在しないという意見も聞いた事があるが、それでもうっかりミスが発生するようなことにならないよう対策をしておく方が良い。

「いたいた。おーいアース、カレーを食わせてくれー!」

 猛毒ソースの隔離場所をアイテムボックス内に作った所で、ツヴァイを先頭に戦いに出て居たブルーカラーの皆がやってきた。レイジがロナちゃんに「何か変わったことは無かったか?」と確認している。ロナちゃんの方も「今日は平和だったよ。これといった問題は全くなしだったよ~」と返している。

「で、その鍋の中身がカレーなのですか? カレーの香りというよりはミートソースの香りなのですけど」

 これはカザミネ。煮込んでいる猛毒ソースが入った鍋を興味深そうに見ている。

「違う違う、そっちは完全に別口の試作品。カレーは今出すから」

 もし「じゃあ味見させてくれ」なんて言って口に運ばれたら大変だ。このソースはもっと煮込まなくてはいけないのだが、一時中断して鍋を専用の場所に収納……もとい退避させる。それとは入れ替わりでカレーが入った鍋を引っ張り出す。

「ああ、いい香り。カレーの放つこの香りはたまんないわね。食欲が湧いてくるわ!」

 ノーラがそんな事を言うが、気持ちは分かる。カレーのこの香りに負けて、ついついお昼をカレー専門店で食べる事にしてしまった経験は一度や二度ではない。一種の誘惑に近い物がある。

「大盛りが良いのかな? それとも並盛り?」

 皿を取り出す前に確認を取ると、「「「「大盛りでお願いします」」」」とのお返事が。その反面、エリザが一歩引いた場所に居る。

「あれ? エリザはいらないのかい? もちろんいらないのであれば無理強いするつもりはないけど」

 エリザの姿が気になったので、声をかけてみた。

「いえ、あの。日本のカレーはちょっと好みではなくて……」

 そしてえりざからのお返事はこれ。言いたい事はあるが、その事を直接口にしたくはない……そんな感じを漂わせる。

「そう? まあそれならそれで構わないよ。口に合わない物を無理に食べさせるなんて最低な行為だからね」

 好みでないのなら、押し付けるような真似はすまい。ドラマなんかで「俺の勧める物が食えねえのか? ああ?」とかいう上司がたまに出て来ることがあるが、あれを見るとドラマであってもイライラする。アレルギーであったり、口にどうしても会わないから食べないなどの理由があるかもしれないのに食べる事を強要するあの姿は醜い。特にアレルギーを「そんなの食わず嫌いなだけだろ」と断じる人は個人的に大きく距離を置きたい所である。

 さて、それはさておき。ツヴァイ達にカレーライスを提供していくのだが、最初ツヴァイ達の表情はやや暗かった。その理由だが──

「ちょ、ちょっとアース。これやたらと赤くね? いくらおいしくても、激辛はさすがにきついぜ!?」

 と、ツヴァイが代表してブルーカラーメンバーの心境を伝えてきた。なので、色合い的に赤っぽく変えただけであり、辛さは中辛程度しかないと返答する。それだけではツヴァイ達も不安だろうと考え、自分も小さな器にカレーをよそって先に口に入れた。そして咀嚼してゆっくりと飲み込む。

「ほら、大丈夫だろ? あと、ロナちゃんやロナちゃんの妖精にも味見してもらっているからおかしい物にはなっていないよ」

 自分の言葉にロナちゃんも頷く。そういう事なら……と言った感じでツヴァイ達は次々とカレーを口に運ぶ。

「あ、本当だ。見た目と違って辛さはそこそこだ」「美味しいですね~、このぐらいの辛さなら無理なく食べれますね~」「ん、美味い」「これはなかなか。カレーはやはりおいしいですね」

 好評で何よりだ。せっかく作った物がおいしくないと言われてしまったら嫌だからなぁ。そんなカレーを食べているツヴァイ達をエリザは見ていたが、やがてトコトコと自分の所にやってきた。

「あの、申し訳ないのですけど……皆様が今召し上がっているのはカレーなのですか? 以前見た日本のカレーとは色が違うのですが……」

 色? ふむ、確かに日本のカレーは黄色系の色が一般的だ。赤は大抵激辛系統になっているのでそう言うのが好みでない人はあまり目にすることは無いだろう。逆にスープカレーが好きな人なら、赤いカレーをよく見るかもしれないけど。

「間違いなくカレーだよ。色は、自分が意図的に変えてるんだ」

 その黄色い外見から、受け入れにくい人もいると思ったのでこっちで作るカレーは各種スパイスを調整して色を変えた。

「──あの。最初にお断りしておきながら図々しいと思いますが……私にも少し、分けて頂けないでしょうか?」

 自分からの言葉にしばし思案していたエリザは、そう言ってきた。口に合わないと困るので、小さなお皿にカレーを盛って出してあげた。もっと食べたいのならお皿を変えてその上に盛ればいいだけだし。恐る恐ると言った感じでエリザはカレーを口に運び、ゆっくりと咀嚼。そしてごくんと飲み込んだ。

「美味しい……です。あの、もう少々頂けませんか?」

 断る理由はないので、普通の大きさの更にカレーを盛ってエリザに渡してあげた。最初の一歩を踏み出したエリザはその後、お皿に三皿分のカレーを要求して完食した。他のブルーカラーメンバーも大量に食っていった。ちなみに一番食べたのはなんとミリーで五皿分のカレーをきれいに平らげた。なのに食べ終わった後も平然としており……ミリーの恐ろしさを垣間見たような気がした。
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とうとう手を出すと不味い世界へ

スキル

風迅狩弓Lv40 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv38 百里眼Lv32  技量の指Lv48 小盾Lv31 隠蔽・改Lv3  武術身体能力強化Lv82 ダーク・チェインLv44
 義賊頭Lv29 妖精招来Lv16 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.87

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv27↑1UP  釣り LOST!  料理の経験者Lv19 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 26

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
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