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連載

シカ系モンスターとの戦闘

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 小休憩を終えて、全回復した自分達は再び森の探索に戻ろうとした。しかし、自分の《危険察知》に再びモンスターの反応が引っ掛かったので、即座にPTメンバーに声をかけて戦闘態勢に入ってもらった。

「休憩が終わった後で良かった。体力も気力も十分に戻った今ならば問題はない」

 シェルフィルさんが弓を構えながら、そうつぶやいていた。確かに回復を中断して戦う事になると、ちょっときつい事になるからな。アイテムの消費がかさむだけではなく、休息中だった体が戦闘状態に入るまでにはわずかではあるが時間がかかるので、そこを狙われると厳しい。そうならないように自分が《危険察知》で警戒をしているのだが、それでも百パーセント先手を取れるという保証はない。

「アースさん、やって来るモンスターの数と正体は分かりますか?」

 魔大太刀を構えながらカザミネが情報を求めて自分に向かって質問を飛ばしてくる。それに対する自分の答えは──

「数は五! ただしモンスターの正体は分からない! それなりに足が速いぞ!」

 数は間違いないが、モンスターの正体は不明表示のままだ。初遭遇となる相手なのだろう。そして自分はイノシシと蟻には遭遇しているので……

「アース君が出会ってないモンスターだろうから、消去法でおそらくシカだね! あいつらは大抵最初の一撃に風魔法の一部である雷魔法を放ってくる可能性が高いよ! 特に雷の特性である頭上からの攻撃がやっかいだから、一対の角の間に帯電しているシカが居たら回避か妨害による発動阻止が最優先ね! ゴロゴロって雷の音がしたら、妨害して止めれないなら全力でその場を離れる事を忘れちゃだめ! もたもたしてると落ちてきた雷に焼かれちゃうよ!」

 ロナがそう教えてくれる。落ちて来る雷の攻撃はフェアリークィーンも使っていたが、あれは厄介なんだよな。初見で避けるのはかなり難しい。だが、ロナの情報のお蔭で何とかなりそうだ。

「言うまでも無いけど、リフールさんやシェルフィルさんは特に注意して! 二人とも金属の鎧を身に付けてるからさらに危険!」

 ロナの声がケンタウロスのお二人に注意を促す。ケンタウロスのお二人も「心得ている!」「大丈夫だ、理解しているぞ!」と返答を返していた。そんなやり取りが終わった数秒後、モンスターが姿を現した。その正体は、ロナの消去法からくる予測通り、シカタイプのモンスターだった。む、五匹中三匹が角の間にもう電撃を帯電させている様子だ。発動の阻止は難しい。

「三匹ほど角の間に電撃を帯電させているぞ! 注意を! 発動の阻止はできそうにないから回避行動をとれ!」

 そんな自分の声が先か、ゴロゴロという音が先だったか。とにかくロナから教わっていた情報を生かすために、その場をバックステップで飛び退く。ケンタウロスのお二人は前に、カザミネ達は横に回避したようだ。そして落ちてくる三本の雷。バチィン! という音と共に少々妙な匂いが周囲に漂う。幸いこのシカの先制攻撃を被弾した人はいなかった。

「シェルフィルとアース殿はシカに積極的に矢を射かけてくれ! 突進などは俺が防ぎきる! 魔法を用いる奴には弓矢による攻撃が一番いい!」

 リフールさんがそう宣言し、一番前に出る。自分とシェルフィルさんは早速シカに反撃すべく弓に矢を番え、攻撃を開始する。数本の矢を射かけ、とりあえずシカ側の勢いをある程度潰す。シカの方も矢に当たってたまるかと、回避を主体にしていた。だがそれでもすべてを回避することはできず、数本の矢がシカの体に突き立つ。だが、まだ致命傷には程遠いようで、矢が刺さったシカたちの動きに陰りは見られない。

(よし、とりあえず相手の先制攻撃を回避し、こちらの反撃はそこそこ成功した。強化した《ソニックハウンドアロー》を発動するならここだろう)

 弓に矢を番え、狙いを定める。狙ったのは、角に再び電撃を蓄え始めた奴。やはり注意がなかなか払えない頭上からの攻撃というのは厄介極まりないので、蓄えた電撃を撃たせたくない。よし、仕掛ける。

「《ソニックハウンドアローLv5》!」

 そして自分の弓から放たれた《ソニックハンドアローLv5》は、今までとは違う音を立てながらシカ目がけてふっ飛んでいく。今までの音がキュィィィン! という感じの音だったのだが、今放った《ソニックハウンドアロー》はギャオォォン! という怪獣が行う咆哮の様な音を立てたのだ。

 そして自分が狙ったシカの頭に矢が突き立つ事になったのだが、それだけに留まらず、狙った奴の近くに居たシカを一匹巻き込んで、二メートルぐらいの距離を矢が纏っていた衝撃による攻撃で吹き飛ばしてしまったのである。

「な、なんだっ!? 今のは何の音だ!?」

 盾を構えていたリフールさんがその光景に驚くが、ふっ飛んだシカの頭に矢が突き刺さっている事から後衛の攻撃と理解したのだろう。盾を構えなおしている様子が伺えた。

「アースさん、今のは!?」

 普段ののびのび言葉じゃないミリーがこっちを向いて驚いている。が、とりあえずそれは後回した。今はシカ達を倒す方が先だしな。

「説明は後で! 今は戦闘中ですから!」

 予想以上に威力が上がっていた&派手になっていたので自分自身も驚いている。だがそれ以上に、脳天に矢が刺さっているのに死亡せず起き上がってくるシカの姿に驚いている。あれで倒せないのか……が、そんな起き上がってくるシカ達に対し、カザミネやロナが何もしないわけがなく……

「なんとなく『行けそうです』!」

 でた、カザミネの『なんとなく行ける』宣言が。脳天に矢が刺さってもなお立ち上がったシカであったが、そこにカザミネの振るう氷の魔大太刀の刃が襲い掛かり……その結果、狙われたシカの首が宙に舞う。さすがに首を刎ねられれば生存は不可能となって、シカは光の粒子となって砕け散る。もう一匹の巻き込まれて立ち上がったシカがそんなカザミネを狙おうとするが。

「お前たちの相手は俺だ! こっちを向け!」

 リフールさんの挑発によって狙いを強制的に変更させられる。どうやらこのシカ達は、イノシシ達と違って挑発系アーツの効果がきちんと発揮されるようだな。そしてそんなシカ達の背後からロナが攻撃を仕掛ける。

「イノシシで溜まったイライラをはっさーん! 八つ当たりみたいになってごめんね!」

 と、そんな事を言いながら蹴りのアーツである《芯響蹴》をシカの一匹にぶち当てる。リフールさんの挑発によってロナの存在を忘れさせられていたシカは、その一撃をもろに受けてふらついた後にうずくまる。《芯響蹴》は相手のバランス感覚を狂わせて攻撃制度を落とすというアーツだが、自分よりも戦闘的なステータスが上であると思われるロナの蹴りをもろに食らったせいか、より強くバランス感覚がくるって、立っていられなくなったのかも知れない。

「ロナさん、お見事です! 仕上げは私が!」

 カザミネの声に反応したロナがバックステップでシカと距離を取り、そこにカザミネが再び魔大太刀の刃を閃かせる。そうして二匹目のシカの首が空を舞った。残り三匹はリフールさんの挑発に完全に乗っていて、仲間がもう二匹消えている事に気がついている様子がない。挑発に乗ったシカ達はリフールさんに向かって火や水系の魔法で次々と攻撃しているが、それをリフールさんは盾でいなして直撃を避けている。ダメージを多少負っても、そこはミリーが回復魔法で癒しているので問題はない。

「私も負けていられぬな!」「私も攻めに回りますね~!」

 そのロナとカザミネのコンビネーション攻撃に発奮したのか、シェルフィルさんとミリーのやる気が跳ね上がる。シェルフィルさんの矢が次々と三匹のシカを捕え、動きを鈍らせた。そこにミリーが《フレイムガトリングランス》でシカ達を次々と放たれる炎の槍で焼き、確実にダメージを蓄積させていく。

(よし、この状況なら『惑』も使えるだろう)

 鞘から惑を抜き放ち、ミリーの魔法でぼこぼこにされたシカ達目がけて斬るように振り下ろす。距離があるので普通の剣やスネーク・ソードなら絶対に届かない距離だ。しかし、この惑なら……

(やっと出番が回ってきたわ! いっくわよー!)

 指輪から自分の頭にそんな声が聞こえて来る。その声に呼応するかのように惑の闇一色に染まっている刀身がシカ達めがけて伸びてゆく。伸びに伸びて遂にシカの一匹を捕えた惑はシカの頭を貫いただけにとどまらず、そのまま首、胴体、前足の一本にまで絡みつく。

 そして……一気に刃を伸ばして哀れな犠牲者となったシカの体に突き立てる。その姿は魚の骨の様な姿だ。中央の太い骨を中心に、上下に伸びているのだから。さらに惑は最後の仕上げとばかりに、その刃を上下に伸ばした状態で刀身を元の長さに戻してゆく。

 そうなれば当然上下に伸ばされた刃によってシカは絡みつかれていた部分をズタズタに切り裂かれる。そのダメージはシェルフィルさんの屋やミリーの魔法によって痛手を受けていたシカの体では到底耐えきれるものではなく、こうして三匹目も退場となる。しかし、やっておいてなんだが……これまたえぐい攻撃方法だな。ロナがちょっと引いているぞ。

「おっしゃあ! 隙ありぃ!」

 そんな声と共にリフールさんの剛腕がシカを捉える。殴られたシカは二、三歩下がった後に力なく座り込んだ。その鹿に止めを刺そうとリフールさんが動くが、もう一匹のシカがそうはさせるかとばかりにリフールさんに向かって角の間に貯めていた電撃を放とうとした。

「それは」「やらせないぞ」

 そのシカの行動は、自分とシェルフィルさんが放った矢によって阻害される。ダメージを負った事で行動を取る事が出来なかったシカは、先の一匹に止めを刺したリフールさんによって止めを刺されることになる。こうして大きな被害を出すことなく、シカ系のモンスター五匹を倒すことに成功したのであった。
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ブルーカラーのメンバーもケンタウロスも強いせいで、モンスター相手に苦戦しない……。

スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv42  百里眼Lv38  技量の指Lv54 ↑1UP  小盾Lv39  隠蔽・改Lv7  武術身体能力強化Lv90 ダーク・チェインLv49 義賊頭Lv44 妖精招来Lv17 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.92

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv34  釣り LOST!  料理の経験者Lv23 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 6

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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