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PTメンバーへの説明と反応

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「さてアースさ~ん、楽しいじ……ではなくて説明タイムですよ~」

 シカとの戦いが終わり、休憩に入った自分達だったが……その直後、ミリーがにこにこ顔で先程の戦いにおける自分の行為の説明を求めてきた。にこにこ顔ではあるが、その表情には威圧感が漂っていた。そんなミリーに対し、自分はじと目で対抗する。

「説明はしますがね……先程、尋問って言いそうになっていませんでしたか?」

 ここに、にこにこ威圧笑顔VSじと目の勝負が幕を開けた。にこにこ笑顔を崩さないミリーに対し、じと目攻勢を崩さない自分。そんな対決? をやっていると不意に横から声がかかった。

「いやな、そんな状態を続けても不毛でしかないと思うからその辺りでやめた方が良いのではないか?」

 声の主はシェルフィルさんだった。このシェルフィルさんの意見には同意できるので、即座に自分とミリーの対決? は終了した。ただ、さすがに知り合いに対して訊問と言いかけるのはさすがにどうなんだ? という面があったからやっただけで……まあいい。あんまり根に持つ物じゃない。

「こほん、では仕切り直して……先程自分が放った《ソニックハウンドアローLv5》の説明を行います」

 そう前置きをしてから、自分は自分の弓スキルが成長限界を迎えた事。そのことによって今まで余らせてきたExPを消費してアーツの強化が行えるようになったことなどを話した。どうせいつかは誰もが到達する世界なのだから隠す必要も無いと思い、包み隠さず自分が知りえた情報をすべて話す。

「それじゃ、だれでもいつかはできるようになるって事だね。ExPがやたらとだぶつくのはなんでだろーってボクも思ってたけど、そう言う更なるステージがあったんだね。やっと納得したよ」

 話を聞いたロナは納得がいったという表情でうんうんと頷いていた。やっぱり妙にだぶつくExPには疑問を持つよね、ふつうこういった物は足りないからあれこれ悩むのが一般的なのに。

「それにしても、もう成長限界ですが。アースさんはどれだけこの世界で戦ってるんですか……」

 カザミネのそんな発言に対し、自分は「それは違うんだ」と手を振る。カザミネが?マークを頭に浮かべたようなので、補足説明を行う事にした。

「忘れたかな? 成長限界は取ったスキルの内容によって上限が低くなるって仕組みを。武器攻撃と魔法を取れば両方が使えるようになる代わり、成長限界が低くなる。そして自分はこの弓とか蹴り、それに加えて風魔法と生産能力も持っているから……」

 ここまで話せばカザミネも思い出したようだ。ポンと手を打って「そう言えばそうでした!」との発言も飛び出す。

「なるほど~そういう事だったんですね。でもアースさん、今の段階で成長の限界を迎えてしまったという事は~……」

 ミリーはやっぱり先が見えているな。自分は頷いてミリーが言おうとしたことの先を口にする。

「ミリーの想像通り、さらなる上位のアーツやスキルの条件を満たさないと装備できない上位武器が出てきた場合など……使えない、装備できない事が今後の冒険における大きなハンデとなりうるね」

 さらに言うならEXPの総獲得量も下がる。何せレベルアップしていけばいくほど最終的なEXPの獲得量は増えていくのだ。その恩恵も早々に受けられなくなる以上、これも欠点になりうる。

 もちろんそれをある程度軽減するために、ExPを得る事を目的として他のスキルに手を出して、それを鍛え上げればそれなりに回収はできる。できるが、そんな事をやっていたら時間がいくらあっても足りないと言うのは以前にも考えたとおりだ。

「特化するメリットと、いくつもの事ができる様にすることのメリット。そしてそれに対応するデメリットという事でバランスとをっているんでしょうね……」

 カザミネの言葉に頷く自分は頷く。いうなればその人に許されたキャパシティって事になるんだろうな。

「それは仕方がない事ではないか? 何か一つに集中するのと、いくつもの技術を収める物の間には決定的な差が出るのは当たり前だ。俺のように拳で戦い盾を持つ……つまりは前で戦う者と、街中などで武具や料理を作る者との強さが同じであろうはずがない。その両方をやるとなれば当然訓練時間が減るし、訓練時間が減れば当然習得できる技術の質は落ちる。両方を行って両方とも高い極みに到達できる者など早々居るものではない」

 と、リフールさん。まあその通りではある。だからこそ大半が深く狭くか、広く浅くの二択になるんだし。そして、その深さや広さを決めるのは本人次第。自分は広さを重視した側の人間と言えるだろう。

「しかし、ある程度でもいいから技術を用いた行動がとれるという事はときには代えがたい魅力を生み出す事もあるからな。ここに来る前のアース殿が行っていた武器修理、などは最たる例だろう。街に帰らずとも、痛んだ武器を修繕できるというのは大きいぞ。

 それにアース殿は料理も行えるようだからな。もしこの場で食料が尽きてしまっても、アース殿なら手に入れたイノシシやシカの肉をメインに使って空腹をいやす事が出来る料理を生み出せるだろう。一定以上の技術を要するこれらは、純粋に戦闘に生きる私の様な者には難しい行為ばかりだ」

 この言葉はシェルフィルさん。武器の修理は当然だが、食料の方も肝心だ。生で食ったら危険な物、特定の手段を取らないととても食えない物などは結構ある。現実だって口にしたらお腹を壊すだけでは足りず、下手をすれば死ぬ危険性を秘めた物は数多くある。ふぐの毒なんかは分かりやすい例だろう。ふぐはきちんと専門の人がやらないと危険だと言うのは、そう言った危険性が高いからなのだ。

「私も戦闘に特化している一人ではありますが、時折何かしら別の事を覚えたくなる時がありますね。ですが、それをやってしまうと今度は肝心な戦闘方面が弱くなってしまいますし……悩ましいですね」

 カザミネの意見は分かる。ゲームだけではなく現実世界においても、自分にできない事をやってのける人の姿を見てうやらむ事もそれなりに多い。だが、その技術を身につけようとすると多くの勉強や訓練が必要となり、多額の資金と時間が要求されてくる。

 逆に言えば、特定の技術を持っている人はそう言ったお金や時間を使う事で身に付けているために、他の人と違うのは当たり前なのだ。そんな人を努力もせず、お金や時間も使わずにただただ羨むのは筋違いという話になる。

「自分から言わせて貰えば、カザミネはそのままの形で進めた方が良いと思う。今から路線を変更しても、上手く行かなくなるだけだと思う」

 アドバイスという訳ではないが、カザミネはこのまま大太刀使いの侍の言うスタイルで言った方が良いと自分は感じている。変に魔法や生産を覚えてしまうと、かえって色々とここまで作り上げたスタイルが狂ってしまって……最終的にはどっちつかずになってしまい、結果として弱くなってしまいそうだと思う。

 それに、複数の方向性が違うスキルを組み合わせている人の大半は、初めからそのスタイルでキャラを作っている事が多い。そう言った明確な方針が決まっていないと、大半は上手く行かずに大コケしてしまう可能性が高い。

「──そうですね、せっかくこんな魔剣である素晴らしい大太刀と巡り合ったのですし、変な色気は出さない方がよさそうです。うらやましいと言う感情は消えないと思いますが、そちらへの道は考えに入れるべきではないですね」

 自分の言葉を聞いたカザミネがそんな言葉と共に目を閉じる。色々と周囲を見渡せば誘惑されることもあるだろうが……それを堪えて頑張ってほしい所だ。

「アースさんはソロで活動することを重視している人ですからね~、一人で色々と出来ないとやっていけなかったんでしょうね~」

 ミリーの言葉に自分は頷く。こうやってPTでの行動を取ることが少ない自分は、とにかく色々な事が一通りできないとやってこれなかった。もし自分が戦闘しかできなかったとしたら、ダンジョンでは罠にかかってあっさりお陀仏とか、自分で使う薬が満足に用意できずに常に苦しいとか、弓が作れないから店売りなどの弱い弓で我慢し続けて長期間先に進めないとかの問題が発生していた。それでは満足に冒険なんかできやしない。

「そうだったね、アース君はソロメインの人だった! こうやってPT組んでもそつなく対応してくれるから、ぽろっと抜け落ちてたよ~」

 とロナ。まあブルーカラーの皆さんには良くしてもらってるし、同行することも多いからなぁ。だから大体どう動けばいいのかってのがある程度頭に入っている。それに、突然その場で協力し合うなんてことも多かったという経験もあるので、その辺も生きているのだろう。

「さて、とりあえず休憩はそろそろ終わりで良いんじゃないかな? もう少し戦いを続けよう」

 ちらりと時計を見ると、休憩を終りとする予定時刻をやや過ぎていた。もちろんきっかりその時間に終わりにする必要はないんだが、せっかくダンジョン……になっている森に来ているのだから、狩りを中心にしたい。そんなわけで、この後しばらくの間モンスターと戦ってから撤収した。

 それにしても、この辺で街に戻ろうかね……ハーピーの家はすごしやすくていいのだが、さすがにそろそろ街に帰る頃合いかな? 結構長居していることになるしな、ワンモア世界の感覚だと。
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スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv42  百里眼Lv38  技量の指Lv54  小盾Lv39  隠蔽・改Lv7  武術身体能力強化Lv90 ダーク・チェインLv50↑1UP 義賊頭Lv44 妖精招来Lv17 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.94 ↑UP

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv34  釣り LOST!  料理の経験者Lv23 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 9

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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