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闘技大会、予選の結果

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 さて、自分がカレーつくりと部下からの悪人排除の報告を受けている日々を送っている一方で、本命である闘技大会がいよいよスタートした。一日に二つの大きな武舞台で予選となるバトルロワイヤルが行われ、その生き残りが本選出場となるのは以前にも言った通り。

 そして参加者の中には知り合いもおり、ブルーカラーのメンバーやシルバーおじいちゃんのPTメンバー、グラッドのPTメンバーが参加していた。なぜこんなことを知っているのかと言うのは、ツヴァイとグラッドから『お前は参加しないのか?』という趣旨のメールが、先程の情報を含めた内容で送られてきたからである。

 参加しない事をメールで返すと、妙にがっかりされたが……まあそれはどうでもいいだろう。そして闘技大会は大きな問題はこれと言って発生せず、順調に予選が行われた。だが、この予選でけっこうかわいそうな組み合わせが多発したらしい。

 完全にランダムで振り分けが行われたはずなのだが、ツヴァイのギルドメンバーやグラッドのメンバーなどが次々と潰し合う形になってしまったらしい。予選が終わってから改めてもらったツヴァイとグラッドのメールによる情報だけなので不確かな面も多いのだが……

 まずツヴァイ達。ツヴァイ、カザミネ、レイジが同じ組に。ロナ、ノーラ、ミリー、カナが同じ組に。エリザは何とか潰し合いの難自体は逃れたらしいが、決勝に出る事は叶わず。そしてブルーカラーの中で生き残ったのは、防御を生かして耐え忍び、反撃のカウンター主体による戦いで粘り切ったレイジのみだったそうだ。

 そして他のメンバーは全員予選落ちしたとの事。そしてグラッド側だが、これまた三人ずつ一緒に潰し合う形になってしまったらしく、生き残ったのはグラッドとガルと言う魔法使いの二人だけ。ちなみにガルのと同じ予選闘技場にエリザが振り分けられていたらしい。

 シルバーのお爺ちゃんの方は、本人のみの勝ち抜き。他のPTメンバーは全滅した様子だとグラッドからもらったメールにはあった。そうして残った決勝進出者は、半分強が獣人さん(まあ、地元という事で参加者の数も一番多かったから当然ではある)。

 プレイヤーでは、先に上げたレイジ、グラッド、ガル、シルバーの四人が決勝に生き残った。後は龍人が一人、ダークエルフが二人と言う結果になったらしい。何せこっちは表の顔でカレーを作り、裏の顔で部下達の報告と指示を飛ばしていたので、予選の戦闘を見に行く時間はなかったから全部聞いた話になるが。

 そして今、ツヴァイを始めとしたブルーカラーのメンバーが、自分の屋台の前でカレーを食っている状態だ。

「今更ながら、くじ運が悪すぎたよなー。なんでこうも仲間が一つの舞台に固まっちまったんだよー……」

 ツヴァイのぼやきに、うんうんと同意するブルーカラーメンバー。まあ、確かに固まりすぎたよな。二人ぐらいならまだしも、ロナ、ノーラ、ミリー、カナさんと四人も一つのバトルロワイヤルの一舞台に固まるとかは不運と言って良いだろう。

「ぼやいても仕方がないのですが、そう言いたくなる気持ちは分かりますね。正直私としても、ここまで偏ってしまうとは思いもしませんでしたから」

 そんなツヴァイの言葉に、カザミネも完全に同意する言葉を口にする。まあ確かに予選で潰し合う形になってしまうのは悲しいよな。決勝トーナメントに入ってからなら潰し合いになっても割り切れるだろうが、予選で潰し合いになっちゃったんだからなぁ。

「唯一潰し合いを回避できた私ですが、あのグラッドの一団といきなりかち合う事になった事になったのも、それはそれで不幸だと思いますわ……」

 ガルの放った広範囲魔法に巻き込まれていきなり大ダメージを食らうと言う悲惨なスタートになった挙句、ダメージを受けて倒れこんだところに獣人のぶっとい拳で顔面をぶん殴られて即座にリタイアさせられたらしいエリザがそんな事を言ってくる。

 実際獣人からの追い討ち顔面パンチより、ガルの魔法を食らった事によるダメージの方が数倍痛かったらしい。ずっと前に同行した時があったが、ガルの魔法は範囲も威力も一級品だからな……それに巻き込まれたと言うのなら、エリザが開始早々に大ダメージを貰ってしまったのも仕方がないだろう。

「確率と言う物をぶん殴りたくなるな。確かにこうなる可能性がゼロではないのは分かる、分かるが……こっちの三人が固まったのも相当だが、ノーラを始めとした四人が一か所に固まると言うのはさすがにひどすぎた。俺は予選の通知を受け取った時、この組み合わせは何の冗談だと思ったぞ」

 と、唯一ブルーカラーメンバーで予選を突破したレイジ。さすがにそう言いたくもなるか。

「普通のタイマン勝負はいつでもできるけどさー、やっぱりこういうイベントというか大舞台の前で戦うのは普段と違ってくるもんね。あー、ボクも決勝でたかったー! 大勢の人の前で戦える機会なんてめったにないのにー! うー!!」

 妙にダダをこねるロナ。こんなブルーカラーメンバーの言葉を聞いて、自分ができる事はひたすら苦笑して受け流すだけ。そういう時もあるさと言う言葉ぐらいしか掛けようがない。

「そういえば~、アースさんはでなかったんですよね~。アースさんは結構いい線行くと思ったんですが~。ほら、アースさんは妙な道具もいろいろと持ってますし~」

 そんな時、ミリーの言葉を切っ掛けにして自分に視線が集まる。

「そうだよな、経費がどれだけかかるか分からねーけど……あの炎がどっかーんと舞い上がるアレばら撒くだけでも集団戦は強いだろ」

「伸縮自在な魔剣も持ってますし……それをかいくぐったとしても間合いを詰めたら飛んでくるのは蹴りですからね。一般的な弓使いとはまた別な存在ですからねえ」

「毒も使おうとすれば使えるはずだよな。ずーっと前にだがフェアリークィーンと戦った時に使っていたからな」

「そう言えばアース君はソロ活動がメインだもんね。寄られてもどうにかする手段も、距離を取られてもどうにかできる手段の両方を持ってるし」

 そんな言葉と共に『何故でなかった?』の視線が飛んでくる。

「まあまあ、皆様。出る出ないは個人の自由ですから。それにアース様はあまり目立つことは好まない性格であると聞いております。ですから、今回のように大きな舞台で戦う事になる話にはあまり乗り気ではなかったのではないでしょうか?」

 ここで、カナさんから援護射撃が入る。今はもう目立ってもいいかなとは思うけど、率先して目立ちたいか? と聞かれればNOである。目立っても面倒くさいだけだしね。

「まあ、カナさんの言う通り……率先して目立つつもりはないね。それに最強を目指している訳でもないから、こういった闘技大会への出場意欲が薄いってのは確かにある。それに加えて、カレーを作ってほしいってこの北街である程度親しくなった獣人の方に頼まれてしまったっていう理由も追加されるかな」

 そして口にはしないが、最大の理由はめんどくさいからである。モンスターとですらひやひやするのに、さらに厳しい駆け引きを強いられる対人戦なんて面倒だ。それに、対人戦は痛風の洞窟内にあった闘技場でさんざんやってきたし、しばらくの間は遠慮したい。

「まあ、その分ここでカレーを食いながら雑談が出来るって訳か。獣人連合の北街は、本当にカレーの露店が多いから楽しいぜ。なんでこんなに広まったんだかは謎だけどよ」

 ツヴァイ、すまん。原因はお前の目の前に居る。だが、それは内緒にさせてもらう。自分だって獣人連合で各種香辛料が手に入ったから作ってみようって軽い気持ちでやっただけであって、ここまで広まって受け入れられるようになってしまうとか予想してなかった。それにお客さんも結構来るので、こうやって休憩時間の様に人がこない時間は一息つけるのでありがたい。

「まあ、中には変なのもあるけどね。もしくはリアルでやったら絶対肥満になるからできない組み合わせとかも。すごい所じゃ、カツ&から揚げ&ステーキ特盛カレーとかあったよ~。大柄な獣人さん達が先を争うように買って、ものすごい勢いで食べてたっけ」

 ロナちゃんがそんな事を言っている。うーむ、カツだけでも結構お腹にたまるのに、そこにから揚げとステーキまで組み合わせたんですか。もちろんカレーに会うように調整はしてあると思うけど、確かにリアルで完食したら、カロリー摂取量がとんでもない事になりそうな一品だけど……怖いもの見たさ、と言う感じで一度見てみたいような。

「とにかく、ブルーカラーの代表者としてレイジさんにはぜひ頑張ってほしい所ですね。レイジさん、大体どれぐらい行けそうと考えてます?」

 カザミネの言葉に、レイジがカレーを食べる手を止めて目を閉じる。しばし考える様子を見せたレイジは、目を開いてから考えをこの場に居る皆に伝えてきた。

「まず、当日の抽選次第だが……もしグラッドやガルの二人にぶち当たったら勝つのはかなり難しい事になるだろうな。シルバーの爺様とカチ当った場合でも勝率は六:四って所だろうな。もちろん俺が四側だぞ? 後は獣人の中でも特に目立つ手練れが三人居たからな……ううむ、やはりベストエイトに残れるかどうかも厳しいだろう。あの乱戦を生き残った猛者が相手なんだから、当然と言えば当然だけどな」

 レイジの言葉にこれといった反論は出なかったので、直接戦ったor直接見たブルーカラーのメンバーの意見もそう大差ないのだろう。まあ、こっちは見に行く余裕は全くないので、この場で頑張ってくれと伝えるのが精一杯なのだが。お祭りの裏でちょろちょろと悪事を働こうとする連中がいないのであれば、そんな事も無いんだがねえ……。
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こういったイベントに、普通の関わり方が出来ないアース君です。

スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv42  百里眼Lv38  技量の指Lv54  小盾Lv39  隠蔽・改Lv7  武術身体能力強化Lv90 ダーク・スラッシャーLv1 義賊頭Lv45 ↑1UP 妖精招来Lv17 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.94

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv34  釣り LOST!  料理の経験者Lv25 ↑2UP 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 4

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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