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連載

コツコツと積み重ねる、そんな日々

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 という訳で、ルイ師匠を交えての近況報告会。自分の情勢と、ここを訪れた理由を先に伝えておく。まあ理由と言ったって、修行の二文字で終わっちゃうんですけどね。三姉妹の方はあの館の主人に仕える一方で、メイド喫茶の方に出向いてサポートすることもあるんだそうだ。

 忙しい時の手伝いはもちろん、メイドとしての立ち振る舞いやもてなし方。そして厄介な客にくっつかれた時のあしらい方など、やることは多岐にわたっているそうで。

「そうか、あの館のご当主も健康そうでなりより。体が一番大事だからなぁ」

 お互い話せる範囲での情報交換を終える。自分が立ち去った後、ダークエルフの街で起こった事はメイドの大躍進があったこと以外に大きな問題はないか。いや、あったら困るんだけどね。ましてや自分はダークエルフの崇めている神? に会ったりしてるので、その辺から何かおかしい事が起きちゃったら困るからな。そんなことは無いようでホッとした。

「アース様の修行の合間にわが主人の館に遊びに来て頂ければ、主人も喜ぶと思います。あれから我らの主人は積極的に他種族の者と交流し、いろいろな語らいの場を持つことを楽しみとしておりますのでお気軽にいらっしゃってください」

 シーニャからの言葉に、ふむ、と少し頷きながら自分は顎を撫でる。元々あの館に居たご当主は社交的だとは思ったが、よりその間口を広げたのか。万が一暗殺者や泥棒が混じっていても、あそこのメイド部隊の目は早々ごまかせないだろうし、な。そして何より、あのご当主の目が曇っているとも思えん。自分がいちいち心配することでもないな。

「分かった。ある程度修行の方が仕上がった時にでもお邪魔させてもらう事にします、と伝えてもらえるかな? 今はこちらのルイ師匠の指導で修行を行っている真っ最中なので、専念したいから」

 自分の言葉に「「「承りました、いらっしゃって下さる時を楽しみに致しております」」」とハモってから、メイド三人姉妹は立ち去って行った。

「彼女達もなかなかの使い手の様ね、やはり街に居るメイドの恰好をしただけの人とは違うって事かしら」

 そんな感想をルイ師匠は持ったようだ。実際彼女達とPTを組んで戦った時、頼りにしてたからなぁ。戦闘力が高いだけではなく、料理などの生産、支援能力も持っているため……一回PTを組めば、一PTに一メイドなんてことを言っても笑う人はまずいないだろう。奇麗なだけのお飾りではない。

「彼女達と組んで戦った事もありますが、頼りになりましたからね。その時はまだ見習いレベルだと言っていましたが……今はもっと実力を上げているでしょうから、自分の物差しではちょっと図り切れないところもあります」

 ルイ師匠は彼女達と話している間にある程度の力を見切ったようだが、自分はあまり感じ取る事が出来なかった。彼女たちの実力を知りたいなら、戦う所を見るしかないか。だが、今は修行中だから新しいPTを組む訳には行かない。まあ、どうしても知りたいという訳でもないし、もう一度あのお屋敷を訪れるという事以外は忘れてしまっても大きな問題ではないな。

「さて、メイドさんと話をして休憩もできたでしょうから、日が落ちるまでは私と組み手をやってもらいますよ~。確かこっちにダークエルフの修練場があったはずだからそこを借りましょう」

 え!? 今日はあれだけモンスターと戦ったんだから終わりじゃなかったんですか!? もうへとへとなんですけど……自分の本音はそうだったのだが、ルイ師匠にがっしりと腕を掴まれてしまって逃げ出す事が出来ない。そしてルイ師匠はボソリと一言つぶやく。

「四百七十万グローのメイド服」

 それをここで言いますか! 逃げるわけにはいかなくなっちゃうじゃないですか! 覚悟を決めるしかないな。覚悟を決めようが決めまいが、待っている結末は同じ事になるんだろうけどな~。そしてそれから三十分ほど組み手を行って、ぼこぼこにされました。師匠のギアが一段上がるだけでついて行けなくなるんですよ……一回ツヴァイとかレイジを引っ張ってきて戦ってもらおうかな? 彼らだったらいい勝負をしてくれそうな気がする。


 それから一週間。谷に降りてモンスターを狩り、ある程度狩ったら引きあげて師匠にボコられると言う毎日を送った。エルフの村の時よりも師匠のギアが上がってるんで、ひどい時は気がついたら地面に転がっていたという事もしばしば。それでも長時間地面に倒れている訳には行かない。

「あと十数えるうちに立ち上がってこなかったら、メイド服確定ね~♪」

 なんて容赦ない言葉が飛んでくる。ほんとにもう、誰だよあんなふざけたメイド服作り上げた人物は! お蔭でメイド服が畏怖の対象になってしまいそうだわ。なんだか気分は、テンカウント以内に起き上がって戦闘の意思を見せるも、チャンプに倒される。もう、良いよねと思いたくてもセコンドがそれを許さない状況におちっているボクサーだよ。セコンドさん、再起不能になる前にタオルを投げてくださいとぼやいても、そんな優しいセコンドさんは影も形も無いと来たもんだ。へるぷみー。

「ほら立つの! 修行はこんなものじゃ終わらないのよ!」

 ぎゅっぎゅー。変な言葉が口から洩れていくような気がする。それにしてもこう毎日ぼこられていると、『本当に自分は強くなっているんだろうか?』って疑問に思うようになってしまうな。いや、確かにこの一週間で、初日と今ではモンスターを倒すスピードとか回避率とかは上がっているような気もする。スキルも上がっているしね。

 特に〈武術身体能力強化〉は九十九に到達。次の進化先を考えてる最中。でも、そんな風にスキルレベルが上がっても、師匠には全く太刀打ちできんのよ。格闘ゲームで言うならパーフェクト負け連発してる状況。

 それでもくらいついて行くお蔭で、幸いにして例のバカ高いメイド服を買わせられるような事態にはなっていない。それになんだかんだ言って、きつい修行ではあるけど暇だ暇だとぼやきながら何の目的も見いだせずにただログインしているだけよりはいいかなとも思う。大抵MMOを止めるときってそんな感じになるからね。楽しみが見いだせなくなって、知り合いも居なくなっちゃうとやる意味がなくなると言うか。そう言う点だと、ワンモアは一度深くはまると知り合いがこっちの世界にできるから厄介なのかも。

「ん、今日はここまで。そしていったん休息をとりましょう。エルフの村に居た時とこっちに来てからずっと修行漬けだったし。休息を終えたら、いよいよ更なるエルフ流の蹴り技の伝授に移るからね。足の方も前より一段、いや二段階ぐらい強靭になったようだし。頃合いでしょう」

 おっと、そうなのか。師匠がそう言うならそうなんだろう。まあいろいろな場所を歩き回ってきたから、蹴り技は使ってなくても肉体そのものは鍛えられていたんだ。そこにスパルタなペースで修行をつけた事で形になった……という事なのかもしれないな。まあ、それならそれでいいや。

 それにしても休息か、それならあのお屋敷のご当主の所に顔を出しに行こうかな? アクアを酷使すれば他の国にも行けるけど、差し迫った用事などはないからなぁ。大人しくこの街でできる事をしておこう。
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ちょいと短いです、申し訳ない。資料を探しに行ったはいいが見つからない。
注文した方が早いかもしれないなぁ。

スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・一人前)Lv39 ↑6UP  百里眼Lv38  技量の指Lv54  小盾Lv39  隠蔽・改Lv7  武術身体能力強化Lv99 ↑1UP ダーク・スラッシャーLv1 義賊頭Lv47 ↑1UP 妖精招来Lv17 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.94

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv34  釣り LOST!  料理の経験者Lv27 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 17

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
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