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こんなんできました。

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 ──と、考えていたのだが。ここでニテララさんからストップがかかった。

「作業のやりすぎ。今日はもう休むべき。かなり時間も経過してるし、貴方の体にもかなりの疲れがたまっているはず」

 そう言われて時間を確認。確かにそろそろログアウトすべき時間帯になっていた。無意識のうちにのめりこみ過ぎたらしい。今日はここまでにして引きあげた方がよさそうだな。道具を片づけ、何時でも帰れるようにしておく。その間に、ニテララさんはアリーンさんを呼び出しているようだ。

「またここに来る時、そして出て行くときは必ずアリーンと同行して……そうしないと、余計な混乱を生むから」

 とニテララさん。そりゃそうだ、ここは基本的に部外者立ち入り禁止区域であり、今回自分が入れたのはアリーンさんのお蔭なのだから。そうしてアリーンさんがやって来るまでの間、鍛冶の事でニテララさんと雑談を交わす。その雑談ついでに、ニテララさんに一つ質問を投げかけてみた。

「今回の赤鯨との戦いで、折れてしまったり曲がってしまった槍がいくつもあると思いますが。その折れたり曲がってしまった槍でも、もしかしたらさっきの様な融合を行えばより強い槍となって赤鯨の一矢報いる事が出来るのでは?」

 この自分の言葉を聞いたニテララさんは、アリーンさんがここにやって来る前に早速一本の槍を作り上げる。そうして折れてしまった槍の上に、新しく蒼海鋼で作り出した槍を重ね合わせるが……融合は起こらない。何故だ?

「──何も起こらない。何故?」

 ニテララさんも首をかしげている。何だろう、長い時間使い込まれた武具なら融合が必ず発生するという訳ではないのか? それとも、蒼海鋼同士では融合の条件を満たす事が出来ないのか? つまり、接着剤のような物として、他の金属を使用しないと駄目という事なのか? 確かに自分の武具は蒼海鋼が使われていない物であったが。

「もっとはっきりとした条件が分かれば、赤鯨との戦いに使える武器が増えると思うんだけどな……まだ残ってたかな」

 アイテムボックスを再確認して、手元にある金属を確認する。何とか一本分の槍にできそうな分量が残っている物は……修理素材として使うために持ち歩いている鋼鉄しかないな。もうワンランク上の金属があればよかったんだが、無い袖は振れない。

「ニテララさん、これを槍に仕立ててくれませんか?」

 手持ちの鋼鉄をニテララさんに手渡す。鋼鉄を受け取ったニテララさんは早速槍を作り始めるが、ここでアリーンさんが到着した。

「ニテララ、来たよ。んじゃアース、アースの休息所として使っている場所まで送るから掴まれよ」

 と、ぐいぐい引っ張って行こうとするアリーンさん。だが、今は目の前で行われている実験の結果を確認したい。理由をアリーンさんに説明して、ニテララさんの鍛冶仕事を見守る。ニテララさんは鋼鉄の槍一本をあっという間に打ちあげて、出来を確認する。

「──出来は問題ない。後は融合が起きるかどうかを試すだけ……アリーン、来てたんだ。ちょうどいいから手伝って」

 言うが早いか、ニテララさんはアリーンさんに折れた槍を手渡す。

「これは、赤鯨に折られちまったアタシの槍じゃないか。修理は厳しいから新しく作るってニテララは言ってなかったっけ? 手伝いって言ったって、こんな折れた槍をあたしに持たせて何をするんだい」

 ? マークを頭に浮かべているアリーンさんだが、そんな事はどうでもいいと言う感じのニテララさん。先程打ち上げた鋼鉄の槍を持ち、アリーンさんが持っている折れた槍に近づけていく。すると、自分の時と同じような光が広がり、槍が融合した。──やはり純粋な蒼海鋼同士の武具では融合しないのか? それとももっと別な要素が? 状況が呑み込めず、「え? なに?」と戸惑っているアリーンさんを無視して、今度は先に打っていた蒼海鋼の槍をニテララさんが持ってくる。

「詳しい話はあと。上手く行けば、赤鯨の体を貫ける槍になるかもしれない」

 ニテララさんはアリーンさんにそう伝え、まだどこか呆然としているアリーンさんを半分無視して先程融合した新しい槍の上に蒼海鋼の槍を重ね合わせる。すると、さらに融合が発生して一つの槍となる。その槍をニテララさんは目の前に減少に対して完全に固まったアリーンさんから取り上げ、四方八方から確認した後に自分に差し出してきた。見てみろ、という事なのだろう。受け取って内容を確認してみると……


 アリーンの槍・双醒そうせい

 製作評価 9

人魚であるアリーン専用に作られた槍。非常に長い間主人に愛され、相棒として戦い抜いてきた。しかし途轍もない敵と戦った際に折れてしまい、そのことを強く悔いていた。それから再起の時が来る機会が与えられることを強く願っていたが、地上から持ち込まれた金属を媒体に融合を行う事で復活を果たし、さらに新しい蒼海鋼の力を注入されたことで更なる力の伸びを見せた。槍の願いは一つ、主人と共に戦い続ける事のみである。

Atk+194 

特殊能力 激水砕げきすいさい (水中で使うと、貫通力強化特大) 双槌そうつい (一回の攻撃で、二回分の威力を発揮する) 激怒 (主人が怒ったり、憎しみの感情を持つと攻撃力が上昇する) 再起(主人が追い込まれると発動。槍の寿命を削って主人に力を分け与える)


 色々と桁が違うんですけど。ちょっと色んな情報サイトを呼び出して、取引されている槍の攻撃力や特殊能力を調べてみたが最高の一品でAtkが百三十前後位だ。百四十はない。しかしこの槍は百九十を超えている上に、水中戦では更なるボーナスがつく。ここまで強くなったのは……この説明文から察するに、元となった槍は相当長くアリーンさんの相棒として使われてきた様だ。数年どころか数十年かも知れない。その分の思いが反映されたのかもな。とりあえず槍の情報は確認できたので、槍をニテララさんに返す。

「アリーン、そろそろ戻ってきて。貴女の相棒がこうして再起して来たのに何時まで呆けているつもり?」

 このニテララさんの言葉にようやく目の焦点が戻ってきたアリーンさん。手渡された槍をゆっくりと掴み、感触を確かめている様子だ。やがて槍を持って構えを取ったり、軽く突くような真似をしてみたりと徐々に動きを加えている。そしてそんな動きを三分ほどしていただろうか。そしてアリーンさんはこう大声で言い放つ。

「戻ってきた。アタシの相棒が戻ってきたー! 生まれ変わって戻ってきたあー!!」

 アリーンさん、槍に頬ずりまでしてるよ……それほどまでに嬉しかったのか。修理は厳しいと言われていたようだし、諦めていた物が戻ってきたと言うだけでもうれしい筈だ。それに、共に戦ってきた相棒ともなれば思い入れも相応にあるだろう。そんな喜ぶアリーンさんを横目に、ニテララさんが自分の肩を叩く。

「おそらく、融合が起きる条件は……一つ、『長く使いこんだ武具の使い手が近くに居る事』が条件なんだと思う。使い手が近くに居る事で武具の意思が目を覚ましていると言う感じだと思う。二つ目、『蒼海鋼同士では融合できない。何らかの金属を間に挟む必要がある』だと予想される。後で私もいろいろ調べてみるけど、何となく間違ってはいないような気がする。金属がそんな事を言っているような気もするし」

 ニテララさんの仮説に、異論をはさむ必要はなさそうだな。自分とアリーンさんの武器が融合した時の状況から、そう大きく間違ってはいないと思うし。

「赤鯨は厄介な相手。私の様な鍛冶屋は戦えない以上、戦士にできる限り良い武器を提供して生きて帰ってくる事が出来るようにするのが仕事。だからあなたに頼みたい事がある。融合のきっかけを生み出すために、地上の金属をもう少し都合できない? その分、こちらは蒼海鋼を何とかする」

 協力したいのはやまやまではあるが……手持ちの金属はもうほとんど無い。このあとやって来る補給物資を積んだメンバーがどれだけの物を運んできてくれるかは分からないが、そこからそれなりの金属を持ち出すとしたら、それ相応の理由が必要だろう。うーん、軍師役のゴウさんに直接話をしてみるか。水中戦の機動力なら、間違いなくプレイヤーよりも人魚の皆さんの方が上なのだし……その人魚さんの攻撃力が上がると言うのであれば、悪い話ではないはずだ。

「はっきりとしたことは言えない。だが、今回の戦いの指揮を執っている人と交渉はやってみる。人魚のみなさんの攻撃力が上がる事は、赤鯨を討伐する事が出来る可能性を上げてくれることは間違いないのだから、話を聞いてくれる余地は十分あると思う。どうだろうか?」

 自分の考えに、ニテララさんも「分かった、出来る範囲で良い」との返事。ただ、蒼海鋼を貰っても自分一人で恩恵を受ける訳には行かないだろう。なので、さらに条件として赤鯨を討伐出来た時には、今回参戦したメンバー全員に、蒼海鋼との融合を試すチャンスを与えてほしい事を付け加えた。こちらの方も、赤鯨の討伐が出来れば人魚の恩人になるので問題ないとの言葉を貰えたので一安心だ。さて、今日はログアウトだな。今だに武器に頬ずりを続けているアリーンさんをこっちの世界に戻さないとな。
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さて、後はダイジェストの製作だわ~。
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