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ダンジョンアタック開始

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「では、今日から宜しくお願いします」

 今日からは、ミリー、カザミネ、カナの三名とPTを組んで行動する。急な呼び出しをしてしまって済まないと詫びておいたが、昨日も言った通り、こちらとしても都合が良いのでと改めてカザミネに言われた。それに、大太刀では相性が悪いゴーレム相手にイラついていた面もあったようで、こっちに来れて良かったなんて言っている。

「ミリー達は何回も入っている事から慣れているかもしれないけど、自分は今日初めて入るからゆっくりとしたペースでお願いします」

 と、三人には前もって頼んでおく。さすがに初挑戦でハイペース攻略をされたら辛い物があるからね。

「は~い、大丈夫ですよ~。のんびりいきましょ~ね~。所でアースさんのマントが変わりましたね~? 以前のはどうしたんですか~?」

 と、早速マントに注目が集まった。緑色と瑠璃色のマントを使っていたのに、一転して黒に変わればそりゃ気になるよね。ここは軽く説明しておきますか。

「実は、ちょっとある魔族の方と共闘する機会があったんですが、その時に対峙したモンスターに完全に破壊されてしまったんですよ」

 嘘は言っていない。その共闘したのが魔王様だとか、実は魔王領を揺るがす戦いだったとか、そう言う規模であったと言うだけで。でも、そんな事はわざわざ教える事でもない。

「今までアースさんのマントというと緑色というイメージが強い私から見ると、ちょっと違和感がありますね。それに、マントの方もちょっとくたびれた感じですし」

 とはカザミネの発現。くたびれた感じというのはマントの特殊能力にあった擬態効果のお蔭で、そう見えているんだろう。この前会った守護者様にはあまり通じてなかった所からして、極端に強い相手だと魔族でなくてもある程度はこのマントの持っている本来の能力が把握できてしまうようだが……プレイヤーや一般の方にばれなければまあ問題は無いだろう。

「確かに外見はちょっとくたびれているかもしれないけど、このマントは保温性能がかなり高いんだ。共闘した魔族の方が、破けてしまったマントの代わりに譲ってくれた一品だから使い続けるつもりだけどね」

 ごめんなさい、本当はそんな言葉で説明できるようなマントじゃありません。頭おかしいと言われても仕方がないレベルでございます。でも、それを言う訳には行かないので……。

「こちらの世界の人と仲良くなれば、そう言ったプレゼントを頂く機会と言う物はありますからね。私もあるエルフの女性からこの草の指輪もいただいてから常に身につけているので、アースさんの気持ちは良く解ります。それに、この草の指輪にもちょっとした加護が付いていますからね、手放すつもりはありません」

 へえ、カナさんもそんな良さそうな物をプレゼントしてもらってるのか。やっぱりこの世界に居る人は、こちらの誠意には誠意で応えてくれる人がかなり多いんだろうな。もちろん悪意には悪意で返してくるけど……ま、それは当然だろう。そんな雑談を交わしつつ、街を出てダンジョンに向かう。

「さてと、所でランダムダンジョンってどの辺に沸くんです? 街を出て少し歩きましたが……大雑把でいいので教えて貰えると助かります」

 と、そんな話をしながらも一面の銀世界を歩く自分達。雪は降っているものの、近くにモンスターの反応は無いのでのんびりと会話をする余裕がある訳だが。今回の道案内は、一番ダンジョンに入った事があると言うカザミネに頼んでいる状態。

「ああ、もう少し歩けば一つか二つほど、地下洞窟への入り口みたいな物があるんですよ。そこが入り口です。ただ、当たりか普通か大外れなのかは、入ってみないと分からないんですけどね」

 ふむ、もうちょっと歩けば入り口があると分かればそれで十分だね。当たり外れが入るまでは分からないと言うのも掲示板情報と一致するな。まあ極端な当たりは要らないけど、ある程度の新素材が見つかる普通レベルのダンジョンであるとありがたいな。強化オイルや猛毒スープの強化用素材として使えるものが出てくれればなおよしである。

「当たり外ればかりはどうしようもないから、そこはしょうがないよ。で、参考までに当たりはずれは割合で言えばどんな感じ?」

 この自分の質問に対するカザミネからの返答は……

「そうですね……あくまで私の体感ですけど、当たり一割、普通六割、外れ三割でしょうか? ですがこれはあくまで今までの結果です。それに日によってはとことんはずれを引き当て続けたりしたので、何とも……外れだと、得る物が本当に無いんでいろいろ厳しいんですよね。スキルレベルが上がる点は救いですけど、出口が現れたら即座に出てしまっていいでしょう」

 はずれは三割ぐらいか。まあ妥当? な確率かもしれない。ランダムである以上、その辺は出たとこ勝負だ。でも出来る限りはずれは引きたくないなぁ。

「あ、見えてきましたよ。あれが入り口です。今は出入り口は一つだけの様ですね」

 カザミネの言葉通り、前方にはいかにもダンジョンの入り口ですよーと言わんばかりの洞穴が一つ。二つあればどっちにしようかちょっぴり悩む所であるが、一つしかないと言うのであれば面倒がなくていい。だが──

「済まないんだが、自分はダンジョンには居る順番を二番か三番にしてもらえないだろうか?」

 この自分の発言に対して、ブルーカラーメンバーの三人の頭上に?マークが浮かび上がる。そりゃ訳が分からないよね、そんな事をわざわざ口にするのは。隊列を組むにしても、中に入ってからで十分だし。ただ、それには理由があって。

「実は今更な告白になるんだが……その、極端に運とか状況に弄ばれるようなことが多かった事で付いた称号があって……それが悪さをする要素を少しでも減らしたいんだ。誰かが中に入ってしまえばダンジョ ンの状況が確定するんだろうけど、自分が一番最初に入った場合、その称号が悪さをしそうで怖いんだ」

 言うまでも無く、称号『人災の相』の事だ。一人の時は仕方がないが、PTを組んでいる時に巻き込んでしまうのはちょっとねえ。なので、PTメンバーの誰かに先に入ってもらって、ダンジョンを確定してもらってから自分が入れば、どえらい事になる状況を回避できるのではないか、と考えた。

「あ~うんうん、解りますよ~。私の知り合いにも~、本人は頑張ってるのになぜかひどい目にあう人っていますから~。こればっかりは仕方がないですよね~」

 へえ、ミリーの知り合いにもそんな人が居るんだ。親近感がわきそう。

「では、私が最初に入ります。新年の初詣に手引くおみくじでも吉か大吉しか引いたことがありませんから」

 と、カナさん。それはかなり運がいいな。自分は凶を引いたことが数回……大吉を引いたことは記憶にないかな。ミリーやカザミネからもおみくじの結果報告が行われたが、一番結果が良いのはカナさんだったので、カナさんが最初にダンジョン内に足を踏み入れる事になる。まあ彼女はタンカー役でもあるから、戦闘を歩いてもらう事に問題は無い。

「では、よろしくお願いします」

 自分の言葉に頷いてダンジョンの中に入っていくカナさん。その後はカザミネ、自分、ミリーの順番で中に入る。さて、ダンジョンの抽選結果はどうなるかな。
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今回は短いですが、ここで区切ります。
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