上 下
386 / 543
連載

再び魔王城

しおりを挟む

「今回の事は、まことに大儀であった。そして同じ愚を繰り返さぬよう、炭を扱う者に近々新しい決まりを纏めた指示をを出す事にした。多くの民が貴殿らの働きによって命を救われ、厳しい吹雪を乗り切ることが出来た。全ての民に成り代わり、王として感謝する」

 魔王城に直接招待され、魔王様直々に感謝の言葉を頂いた。もちろん言葉だけではなく、一人頭三百万グローと、防寒のペンダントの改良型という報酬もついた。この防寒のペンダント改 (仮名)は、より防寒性を上げて消費するMPの量を減らすことに成功した一品なんだそうだ。そして返却義務も無く、永久所有を認められている。──自分には例のインチキマントがあるのであまり意味がないが。

「また、貴殿らを魔王領における名誉貴族とする。権力などは特にないが、今後は魔王領内にてロード、レディと名乗ることを許す事とする」

 後で知った事だが……この魔王領内でも勝手にこの~卿と名乗ることは大きな罪となる。逆にいうと、特に何の権力が無いとしても~卿と名乗ることや呼ばれる人物は物凄い尊敬を魔族の皆さんから受けるのである。それを知った直後にロナが「こんな風にレディ・ロナ様とか呼ばれるのってすんごいむず痒い! そんな立派な存在じゃないよボクは!」なんて言葉を顔を真っ赤にしながら頭をがりがりと書いていたのは余談であったり。自分もロード・アースと名乗ることが許された訳なんだが……うん、ものすごく似合わないね。

「これからも、魔族と人族が共に歩めるように懸け橋となってくれることを望む。以上だ」

 何故だか知らないが、今回の魔王様の姿は全身フルアーマーだ。声もややくぐもっており、女性の声には聞こえない。まあ何らかの理由があるんだろうけど……とりあえず、無事に謁見は終わった。それぞれ宛がわれた部屋に戻り、今日はログアウトすることになるだろう。なお、希望すればしばらく魔王城内に滞在しても良いとのお許しも出ている。好奇心旺盛なノーラなどは、早速魔王城内の見物に行ってくるといい残し、リビングメイドを一人伴ってどこかに行ってしまった。

「なんか、どっと疲れたぜ……まさか魔王様直々の呼び出しとか、予想できなかったからなぁ」

 なんて言葉を書くツヴァイ。あれからノーラを除くいつものブルーカラーメンバーが自分の部屋に集まり、今回の一件について話をしようと集まった。宛がわれた部屋は十分に広かったのだが、特に自分に割り振られた部屋はでかかった。間違いなく魔王の代理人になっているからだろうなぁ。そしてこの特別広い部屋を割り振られたことに関する質問は全く飛んでこない。おそらく「アースだから、どうせまたなんかやらかしてるんだろ」という認識らしい。まあそうなんですが。

「それにしても、魔王様は格好良かったですね~。鎧姿でお顔を拝見できなかったのは残念でしたが、それは魔王様にもいろいろとご都合があるから仕方ないんでしょうけど~」

 ミリーの言葉に頷く女性陣。でも、あの鎧の中身は女性なんですけどね。

「逆に魔王様が直々に、という点でかなり炭を巡る話はまずい状態に陥ってたんだろうな。褒賞がとんでもない状態だったからな……このペンダント一つとっても相当な逸品だぜ?」

 レイジの言葉に反論は出ない。

「ともかく、これで完全に窮地は脱したと言えるわけですね。正直ほっとしたと言うのは今の私の感想です」

 こちらはカザミネ。そうだな、これで本当に肩の荷を下ろしてホッとできたという事を自分も感じるよ。始めたのは半ば思い付きだが、どうにかしなくちゃ不味いと強く感じたからこそ動いた訳で。

「それにしても、さすがは王ですわね……威圧感というかなんというか、圧倒されましたわ。礼を言われているだけだと言うのに、私、震えが止まりませんでしたわ」

 と、エリザ。ふむ、ドリルロールを備えているだけあって、上の立場にいる人から感じる見えない威圧感みたいな物に敏感なのかもしれない。偏見かも知れないが、どうしても金髪ドリルロールって、貴族の子女のイメージが強いんだよね。それを口に出すような真似はしないけど。

「魔王様もそうですけど、その横にいた四天王の皆さんも威厳がありました。よくある『四天王の中でも最弱だ』などのネタは一切通じない強者の雰囲気が漂っていましたね」

 エリザの言葉を引き継ぐ様にカナさんがそう発言。まあ実際、彼女達もかなりの強者だからね。エキドナに死神、リビングアーマーにサキュバス・クィーン。その気になれば大量虐殺なんか鼻歌を歌いながらやっちゃえる皆さまです。

「その上美人ぞろいだったよね。リアルのボクが嫉妬する! 一人は鎧姿だったから詳しくは分からないけど、後の三人はおかしいレベル! あの顔、あのスタイル! 下半身が蛇だったり黒いフードを纏ったりしてたけど、それでも解る! 女からすれば嫉妬するしかないよ!」

 このロナの発言に、皆がそろってずっこけた。おいおい、あの謁見の最中にロナはそんなところに注目してたんかい。先ほどまであった神妙な空気が木っ端みじんですよ。

「あー、えーっと。なんか職人メンバーの方も、顔を赤くしてる人が何人かいたねー。やっぱり四天王の皆さんにやられちゃってたのかもね。ま、まさかレイ君はそんな事ないだろうけどね?」

 おっと、レイジの恋人であるコーンポタージュの声がいつもより低いですよ? レイジの返答次第ではちょっと小さいお子様には見せられない状況が発生するかもしれません。

「当たり前だろ、というよりも魔王様の存在感に圧倒されて、他の人は全く目に入っていなかったぞ俺は。ロナの方がおかしいんだ」「ボクがおかしいってなんだよー!?」

 ──と、レイジは悲劇を回避した。ロナが頬をハムスターの様に膨らませながらレイジに対してぽかぽかと軽く叩きながら怒っているが、それぐらいで済んで何よりと言って良いだろうな、この場では。

「とりあえずロナ、そこまでにしとけ。で、今後どうするよ? 一応しばらくは滞在しても良いって事だからさっさと魔王城見物に出かけちまったノーラのようにしばらく魔王城の中でいろんなものを見せてもらうってのも悪くはないよな? その一方で吹雪が収まったから各地にあるダンジョンで素材集めに励むってのももちろん選択肢に入る。このどちらを優先するかだけでも決めちまおうぜ?」

 ツヴァイの話にうーんと首を捻るブルーカラーメンバー。自分はもうすでに一回ここにきているし、長居しないでさっさとお暇するつもりだけど……ブルーカラーの皆はどうするのかな。なかなか入ることができない魔王城の中を見てみたいって意見の方が上回りそうな気がするけど。

「俺は魔王城の中を見てみたいな。この機会を逃したら何時になるか分からん」

 レイジのこの言葉に「ボクもそれは同意見だね」とか「そうですね、こんな機会はそうそうないでしょう」と同意する意見ばかりが積み重なる。そしてダンジョンに向かおうと言う意見は、一切出なかった。

「なんか、あっさり決まったが簡単で良いか……で、アースはどうするんだ? しばらく魔王城を堪能するのか、冒険を再開するのか」

 ツヴァイからのこの問いかけに、「冒険に戻るつもり」と返答を返そうとして気がついた。それは、炭の一件で冒険が止まる前まで行動を共にしていたミリー、カザミネ、カナさんの三名の視線。その三人は、一様に自分の事を見ながら、どこぞのTVCMに出てきたチワワの様な表情を浮かべていたのだ。まるで、「こんな滅多にない機会を、潰さないでくれるよね? ね!?」と言わんばかりだ。

 そうか、ここで自分が冒険に戻ると宣言するとしよう。そうすると当然、あの草が取れるダンジョンに行く事になる訳で……で、あそこに行くとなればそれまで自分に同行していた三人もついてくる事になるだろう。自分が一人で良いと言っても、ツヴァイが遠慮していると考えて三人を同行させるように言うかもしれない。そうなると、三人は魔王城内の観光が出来ない訳で……冒険を優先すると、要らん争いをブルーカラー内部に呼ぶかもしれないな。

「そうだな、せっかくだし……自分も魔王城で暫しのんびりさせてもらう事にするよ」

 この言葉を口にしたとたん、ホッとした表情を浮かべる三人。さすがにあのチワワのような表情を浮かべられてはねえ。ああいう表情は、男女関係なしなんだな……破壊力の大きさが。まあいいさ、先を急ぐ訳でもないし、魔王城の中にたぶんあるであろうと思われる訓練所を借りて、久しぶりにいろんな蹴り技の復習でもしてればいいだろう。最近蹴り技の出番がないからな、せめてトレーニングの一つでもしておかないと、いざという時に困るだろう。
************************************************
ゲームの方ですが、βなのにやりこんでくださる方が多数いらっしゃいましてありがたい限りです。ですが、実生活に問題が及ばない範囲でお願いしますね。

スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・限定師範代候補)Lv42  百里眼Lv38  技量の指Lv56  小盾Lv42  蛇剣武術身体能力強化Lv3 ダーク・スラッシャーLv3 義賊頭Lv47   隠蔽・改Lv7 妖精招来Lv18 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv2.58  偶像の魔王 1.12 

控えスキル

木工の経験者Lv14 上級薬剤Lv47  釣り LOST!  料理の経験者Lv27  鍛冶の経験者LV31  人魚泳法Lv10

ExP 11

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人 魔王の代理人 人族半分辞めました 闇の盟友 魔王領の知られざる救世主  無謀者 魔王の真実を知る魔王外の存在  天を穿つ者  魔王領名誉貴族  NEW!

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
しおりを挟む

処理中です...