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お手伝い開始

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「それで、臨時で手伝ってほしい所ってのはどういう所なんだ?」

 手伝うにしても、これを聞いておかないと始まらない。明らかに自分には無理だと言う部署を振られたら困る。例えば極端な力自慢じゃなきゃできない事とか、特化してないと無理な内容とか。さすがにそんな無茶をゼタンが言ってくるとは思えないが、まあ一応確認を取ることは大事だからね。たとえどんな親しい仲であろうと、そこはしっかりしておかないとかえってよろしくない結果を生む。

「それなんだが、一つは給食関連。もう一つが外での隠密関連だ。もう少し細かく説明すると──」

 とゼタンの話を聞くと、まず給食関連の方は生産している人達がかなりお疲れ気味なのでそっちの応援に入ってほしいと言う事。なんでも甘いものが多い妖精国の料理に対し、ここでは肉、野菜、魚と言った物をそれなりに使うので作るのが大変なことに加えて、生徒達がもりもり食べるので大量に作る必要もあり、忙しい時の調理場はまさに戦場の様になるらしい。それなりの人数でローテーションを組んでいるらしいが、それでも今では対応しきれなくなっているそうで……これはまずいと人員強化に乗り出したが、リアルに換算してあと数日ほど完了するまでに時間がかかる。その強化が終わるまでの間サポートに入ってほしいって事らしい。

 もう一つの隠密関連とは、卒業を控えた二期生の仕上げのサポートとなる様だ。卒業が近いと言う事でもう完全に生徒達だけでPTを組んで教師陣の援護は無しという一般放浪妖精と変わらない状態で冒険をさせ、そこで無事各街にある依頼をこなせることを証明できれば卒業認可が出る。しかし、その卒業生が真面目にやっていても、想定外の事故と言う物は常に起こり得る。そんな想定外が起きない様に危険なモンスターの集団を適度に間引く事と、万が一全滅してしまう事を防ぐための救助班の役目を果たす役目を教師が生徒に内緒で密かに行っているらしい。そっちのお手伝いをしてくれないかとの事。

「給食の方は分かったが、隠密の方はどうなんだ? ピンチの一つや二つを自力で抜けられないと卒業した後に困るんじゃないのか?」

 この自分の質問にゼタンからの返答は、「だから全滅じゃなくって間引く、って所だな」との事。例えば、ウォーゴブリンズの六匹PTがいたら、そのうちの二人ぐらいを倒すぐらいに抑えると言うさじ加減らしい。ウォーゴブリンズの四匹PT位は倒せるぐらいの経験はそれまでに積ませているし、勝てないのならすぐさま引くと言う引き際の大切さも叩き込んでいるから念のためだ、って所なのだそうだ。

「とにかく、しばらく給食の援護を頼めないか? アースの腕なら問題なくやれる範疇だから是非やってもらいたいんだよ。給食が止まると、マジで生徒達が暴れ出しかねん。うちの給食を食った生徒が、家に帰ると飯があんまり美味くないからって休みの日でも給食だけは作ってくれって嘆願書も来るぐらいでな……もう一つの隠密の方はその後からで十分間に合うからな」

 あれまぁ、それはすごい人気だねえ。しかし。

「ゼタン、ここで〈料理〉は教えていないのか? 家のご飯があまりおいしくないと言うのであれば、自分で作るしか無かろうに?」

 この疑問をぶつけて帰ってきた返答は。

「あー、もちろん教えているが……やっぱりどうしても上手い下手が出やすい科目の一つになっちまっていてな……料理の上手い奴は、もうPTから引っ張りだこって状況だ。戦闘能力がやや低くたって、危険を察知できる索敵能力や料理といった活力を生むのに必要な能力を持っている奴はやっぱりモテるんだよ。それに、姿形の関係上、料理をする事が難しいって奴もいるからな……グリフォンタイプとか」

 ああ、そうか。妖精って言っても色々居るもんな。プレイヤー達と契約している妖精達だって、人型は稀だったし……グリフォンのような姿をしていると、さすがに料理をするのは厳しい物があるか。他の妖精に素材を切って貰ったりした後に、大きなお玉を嘴に咥えてナベをぐるぐるかき回すぐらいはできるかもしれないけど。想像しておいてなんだが、その光景をちょっと見てみたい気がする。きっとかわいい。

「なるほど、教えているなら後は生徒たちの努力次第か。とにかく話は分かった。後半の隠密はともかく、給食の調理は協力しよう。それにしても、生徒たちの胃袋をがっちりと掴んでどうするよ……胃袋を掴まれた奴は、ここから出て行きたくないって言いだしかねないだろ」

 ゼタンははぁ、と一つため息をついてから……

「それなんだが、言われたことは一度や二度じゃない。だからこそ料理が上手い奴は引っ張りだこになるんだよ。ここで出している給食に近い味が出せるからな、辛い冒険に出るようになっても上手い飯があれば活力が湧いて頑張れる。昔アースが南の砦街でばら撒いていたあの料理のようにな。あの時の飯で、活力を得ていた妖精は本当に多かったんだぜ?」

 また懐かしい話を。あの時は領主のバカ娘のせいで逃げるように街を出ていくことになったが、それまではハイ・ラビットやシーフバードを狩っては料理に使うと言ったサイクルで生活していたからなぁ。あのバカ娘の一件が無ければ、自分はもっと長くあの街にいただろう。

「まあなんにせよ、そこまで行っちゃってるレベルなら確かに給食を止めるわけにはいかんな……じゃあ早速今日から手伝えるところは手伝うとしますか。最初の顔合わせだけお願いしていいか? あと、給食を作る部屋で使用する専用の服があれば、それも貸与して欲しい」

 という事で早速お手伝いを始める事に。ちなみに自分はあっさりと受け入れられた。何でも自分の作るご飯を食った事がある妖精さんが調理班の中にいたので、その腕は問題ないと言ってくれたのが大きかったかな。さて、自分の考えで言うと給食と言う物は学校がお昼に出すと言う物だった。しかし、ここでは違うという事をいきなり知ることになった。とにかく、常時食べられる食事場という形を取っているのだ。もちろん大半はお昼に食べるが、二期生などは訓練を兼ねた冒険にも出ている為、食べる時間が安定しない。その為何時でも食べられるように常時食堂は開けっぱなし。たとえ夜でも深夜になるまでは開いているそうだ。

 なので、料理も常時絶やさない様にしておかないといけない。ゼタンが対応しきれなくなってきていると言うだけあって、忙しくなると調理場は本当に戦場だ。こちらも汁物やから揚げなんかをフル回転で作って居るのだがなお追いつかない。この調理場には十人ちょいのメンバーがいるのだが、全員フル回転。これが連日続いたら確かに疲労でぶっ倒れるわ……隠密方面よりも、こっちをひたすら手伝った方がよいような気がするんですがね。人員強化を本気でやってくれないと、調理場から死人が出かねないぞこれは……

「すみませーん、今日のおすすめをお願いしまーす!」「から揚げ定食お願いしまーす」「スパゲティー&サラダセットお願いしまーす」「ハイ・ラビットステーキお願いしまーす」「ウォーディアー肉の特盛スープお願いしまーす」

 そして注文は止まらない。もうちょっと手加減してよと言いたくなる。もちろんそんな事を言った所で無駄な事だってのも理解している。リアルだって中学生や高校生だと食う人はあきれるほどに食べる人もいるだろう? 特に体育系統の方々はさらに食べる。目一杯動いて目一杯食って体を作るんだから当然と言えば当然なんだけど。そして放浪妖精は当然ながらその体育系統に当たる。もちろん知識だって詰め込む訳だが、体をとにかく動かすのが当たり前の世界。そうなれば当然体からカロリーを求める声は大きくなるのは当然。人はそれを腹の虫という。

「すみませーん、おすすめを三つお願いしまーす」「パンケーキ三枚重ねセットをお願いしまーす」「すみませーん、からあげ丼をお願いしまーす、三つほど」「ウォーディアーステーキを二つお願いしまーす」

 そして入って来る注文はばらばら。なので作る手間は山盛りてんこ盛り。それでも時間は待ってくれない。もちろん注文をした生徒達も今か今かと料理の完成を待っている。それらが積み重なると、導き出される答えは一つ。超なんて文字は生ぬるいほどの忙しさである。

「から揚げ揚がりました!」「パスタOK!」「サラダOK、盛り付けお願い!」「ご飯炊けました! 丼物行きます!」「ステーキ上がったよ!」「スープOK! 次の注文にかかるっ!」

 自分と他の調理場にいる妖精さん達の声が交差して次々とやって来る注文をバッタバッタとなぎ倒す。物騒な例えと突っ込まれるかもしれないが決して間違ってはいない。やがてこの戦いは一時の終わりを迎え、そこにはぐったりとしてる調理戦友達の姿。そんな彼らにちょっとした物を食べさせるべく、まかないとして鶏肉の出汁を取ったスープで煮る水餃子の亜種を作る。皮は厚めでもちもち、野菜多めで穏やかな味わいに仕上げてある。


 鳥ガラ出汁の水餃子スープ

 皮を厚めにして、具は野菜を重視した水餃子入りのスープ。その食感と共に野菜を噛む事で、軽い鎮静化作用がある。

 製作評価8

 精神状態異常解除効果 MP回復効果小


「お疲れ様です、少し我々も食べましょう」

 そうして作った亜種水餃子のスープだったが、これが予想外に受けてしまい、遂には新しいメニュー入りしてしまう事になってしまった……仕事が増えたよ。

 スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・限定師範代候補)Lv42  百里眼Lv39 技量の指Lv69 ↑1UP! 小盾Lv42  蛇剣武術身体能力強化 Lv18 ダーク・スラッシャー Lv9 義賊頭 Lv60 隠蔽・改 Lv7 妖精招来Lv22 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv4  偶像の魔王 Lv3

控えスキル

木工の経験者Lv14 上級薬剤Lv49  釣り LOST!  料理の経験者Lv50 ↑3UP! 鍛冶の経験者LV31  人魚泳法Lv10

ExP 27

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人 魔王の代理人 人族半分辞めました 闇の盟友 魔王領の知られざる救世主  無謀者 魔王の真実を知る魔王外の存在  天を穿つ者  魔王領名誉貴族 

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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