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次のお手伝い

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 翌日、Lv五〇になった〈料理の経験者〉をメインに引っ張り出してスキルの進化を行う事にした。さて、今回の発展先は……


〈料理人〉

 料理の経験を積み重ね、一人前の料理人になった。料理の製作評価が高くなりやすく、低くなりにくい。進化必要EXP五

<医食同源料理人>

 食べる事と病を治す事は通じていると考え、空腹を癒す事と傷を癒す事を兼ね備えた料理を生み出す料理人。作る料理に様々な状態異常回復や耐性効果、ワンモア世界の住人の病をいやす事が出来る効果が付きやすくなる。進化必要EXP一〇

<食事活力料理人>

 食べる事で体力や魔力を取り戻す事を重視した料理を作ることに長けた料理人。作る料理にHPやMPを回復する効果が付きやすい。進化必要EXP一〇


 と、この三つ。正直これは悩むな……料理人に進めば、料理の品質を保ちやすくなる。医食同源なら、今後病人の治療を行う事が出来るようになるし、食事活力なら今不足しているポーション問題をある程度緩和できる。しかし、進める道は一つだけ。正直ダイス神の導きによって決めようかとも考えてしまったが、こういう部分をダイス神に任せてしまうのは間違っているだろうと考えなおす。それからさらに十分悩んだのちに、選んだのは〈医食同源料理人〉。進化に必要なEXPは一〇とかなり重いがこれは有用性を考えれば仕方がない。本音を言うならあと一〇払うから食事活力の方も取りたいぐらいなのだ。

 スキルの進化も終わったので、今日もゼタンの学校にある調理場に助っ人として参加するために移動する。調理場の皆さんも昨日の戦争で戦力になる事は分かって貰えているので歓迎された。そうしてまた始まるお昼時の料理戦争。今日もいっぱい注文が入り、それを次々とこなすために進化したばっかりの〈医食同源料理人〉が上がること上がること。あっという間にLv一〇を超えてしまった。が、そこからは一気に成長が悪くなる。さすがにここまでスキルのレベルが上がってくると、成長に必要な経験量も莫大になって来るって事だろう。

 そんな感じで一週間ほど調理の助っ人行為を続けた。ゼタンの話だと、新しい人員を加えたローテーションが出来上がるのはもうすぐとの事で、この日でとりあえず調理場の助っ人行為は終わりとなる。料理のスキルレベルは十四まで上昇し、〈技量の指〉スキルが七〇に到達してEXPが五増加した。ここまで連日で料理をしたのは久々だったな……助っ人が今日で終わりになると調理場の皆に伝えた所、惜しまれたが冒険者を一か所に縛るものじゃないとの言葉と共に、快く送り出された。握手だけは要求されたが、まあそれぐらいなら可愛い物だよね。

 そうして調理場を後にして、ゼタンの校長室に入る。助っ人が終わったら、来てほしいと前もって頼まれていたからな。おそらく、話は隠密行動の方の手伝いに関することになるだろう。

「おう、アース。本当に今回は助かったぜ。まずは調理場の助っ人代金として三十万グローを用意してある。遠慮せずに受け取ってくれ、正当な報酬だからな」

 と、お金を出されたのでこれはありがたく頂く。あの戦争を戦い抜いたんだから遠慮しない。

「確かに。冗談抜きで調理場は戦場だったな、あんなに毎回注文がひっきりなしに飛んでくるのはきついな……調理班の皆さんには敬意を表するよ」

 リアルであれを自分がやったら、たぶん一か月は持たない気がする。過労でぶっ倒れる事になりそうだ。それに耐えられるんだから、妖精の皆さんは見た目以上にタフだね。

「本当にすまねえと思ってるぜ……一気に忙しくなっちまったからな、食堂周りは。これも一期生が外で頑張ってくれた影響の一つなんだが、努力していい成果を上げたアイツらを責めるのもお門違いだしなぁ……これでも大急ぎで調理班のメンバー増強を行ってたんだが、アースが来てくれなきゃパンクしてた可能性は十分にある。本当に良いタイミングで来てくれて助かった」

 不思議とそう言うタイミングで自分は来てるよな。そう言う星の巡り合わせって奴なのかも。まあゼタンの為なら一肌脱ぐのは構わない。クィーンの為だったら? ──自分は考えるのを止めた。

「で、とりあえず料理の手助けはこれで良いとして、だ。隠密? とかの方はどうなんだ? そっちも手伝った方がよいのかな?」

 そして振られたもう一つの仕事の方も確認を取らないと。一週間たてば状況が変わるなんて事はよくあるから。

「そっちなんだが、やっぱり手伝ってもらいたい。二期生の生徒数は一期生より多くてな……人数が一人でも多い方がありがたいんだ。それに一定レベル以上の隠密能力持ちとなると、教師の中でも限られてくるからな。それに加えて依頼も出せねえ。出した所を生徒に見られたら、『もし失敗しても教師たちが見ているから大丈夫』なんて慢心を引き起こす理由になっちまう。そんな考えを持たせて卒業させたら、あっという間に実戦で死亡して女神の元に旅立つ運命を迎える事になる」

 あー、なるほど。人気が過ぎて生徒が増えすぎて教師の増員が追い付かないのね。

「了解、そういう事なら二期生が卒業するまで手伝おう。んじゃ生徒達の情報を見せてほしい。誰が生徒なのか分からないと仕事のしようがないし」

 という事で、自分にサポートをお願いしたい生徒たちの一覧をチェック。PT内容は前衛が片手剣に盾、片手で持てる槍に盾、両手剣。後衛が魔法使い二人、弓使い一人のバランスが考えられた編成だな。装備も見せて貰ったが、プレイヤーが龍の国辺りで着込むような装備だので妖精国でやっていくのなら十二分すぎる。後は油断さえしなければ、確かに死ぬ要素はまずないな。逆にここまでしっかりとした準備が出来なきゃ、外に出せんか。

「ゼタン、ちなみにこの装備をそろえるお金ってどこから出てるんだ?」「ああ、その装備は生徒達がコツコツ稼いだ金で買わせてる。こっちが買い与える様な事はしないぞ、自分達で依頼をこなして金を稼ぐのも授業の内だからな。もちろんその時は、教師もPTメンバーとして同行はしているが……きちんと報酬を均等割してる。甘やかしてはいない」

 ああ、そう言った経験も積ませてんのね。生徒が自分で稼いだ金で装備しているのであれば別に文句はない。学校が買い与えてしまうと、物の価値が分からないなんて事になる可能性もあるからな。その心配が杞憂で済むなら何よりだ。

「その六人は、大体アースの寝起きのパターンに合うタイミングで冒険をしている。もちろん他にも見ている教師はいるが、メインはアースだ。その六人のサポート、よろしく頼む」

 ああ、そんな所も考慮してくれるのか。んじゃ、この六人にばれない様に立ち回りながら護りましょうかね。



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年末に入り、色々と忙しくなってきてしまいました。申し訳ないのですが、今年の更新は
今回で最後となります。また来年もよろしくお願いいたします。
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