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ミミック三姉妹ダンジョン、リニューアル

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 翌日ログインしてダンジョン内に足を踏み入れた自分は、そのダンジョン内でレモンティーを飲んでいた。

「お味はいかがでしょうか?」

 ウェイトレス姿でニコニコしているのは、確かミミック三姉妹の三女であるククちゃんだったかな? 名前がうろ覚えなんだが……何故か彼女がウェイトレスをダンジョンの一階で行っていた。

「美味しいです。美味しいんですが、ここダンジョンですよね? ですがどう見てもカフェとバーにしか見えないんですが……」

 以前とはガラッと内装が変わっており、なぜかダンジョンの一階なのに敷地の半分は食事とお茶を楽しむカフェ、もう半分が酒を楽しむバーになっていた。お客さんもそれなりにおり、盛況な様子をうかがわせる。ハッキリ言って此処だけを見れば、ダンジョン内とはとても思えない。

「あはは、お姉さまの力が大きく伸びたおかげで、今はこんな事が出来るようになったんですよー」

 なんて、ククちゃんは言っていた。で、更に教えて貰った所……ミミック三姉妹の長女であるミミさんだっけか? がダンジョンマスターとして能力を伸ばし、今やこのダンジョンは地上も地下もあるダンジョンへと大きく成長。サイズだけではなく、特定条件の付与も自由自在に出来るようになったとか。例えば、モンスターがとことん入場者にとっての格上になるエリアや、罠が山ほどあるエリア。そして時間制限付きのエリアや、強制的に移動を強要されて一瞬の判断ミスが死を招くエリアなども作れるようになった。

 それだけでなく、周囲の環境もいじれるようになった。その結果があの街の防犯能力なのだと言う。更にダンジョンの一階はカフェやバーを設置し、入場の順番待ちをするのも苦痛ではない様にしたとの事。それだけの力を得てもダンジョンマスターはダンジョンの外には移動できない為、冒険者たちの雑談などが娯楽の一つになるらしい。だからこそ大勢の人を呼ぶためにも、ダンジョンの周囲で快適に暮らせるようにしていったんだとか。

「それにダンジョンの手入れも今は他の子達に任せられるようになりましたからね、だから私がこんな所でウェイトレスなんてやっていられるんですよー。アースさんも楽しんでいってくださいね。ちなみに、あのカフェとバーの境目にある宝箱は私達に食べて貰いたい料理のお届け場所になってますので、ぜひ何かを入れてくれると助かります~」

 もしかしてカフェとかバーで出してる物って、その提供された食べ物飲み物から情報を得てるのかもしれないな。外に出れないにしては、色々品揃えが良すぎるとは思っていたが。

「それではごゆっくりどうぞー。ダンジョンに挑戦なさるなら準備をしっかりしてから行ってくださいねー。死にはしませんけど大怪我はしますから。街の方に診療所はありますけど、だからと言って大怪我を好んでしたい人はいないでしょう? それと、お姉さまの元に行きたいと言うのであれば、あそこのダンジョン入り口が通じていますよ。もちろん難易度は最狂となっていますけど、挑まれるのであれば応援させていただきます」

 ダンジョンマスターへの行き先もまだ残してあるんですか。普通ダンジョンマスターって隠れてる存在だと思うんだけどなぁ。まあ製作者がそれでいいと言うのであれば、こっちが文句を言う筋も無いけれど。そんな事を考えながら、レモンティーの味を楽しむ。ククちゃんは注文を出したお客さんの所に移動した。その注文を出した人たちは、明らかに冒険者ではない軽装をしていた。その人達だけじゃなく、カフェにもバーにも武器を一切持ってない人が結構いる。彼らは純粋にここでの食事などを楽しむために来ているんだろう。ダンジョンの中ではあるが、内装は立派で城の中にいる気分になるので、特殊な雰囲気も楽しめる。

(さて、せっかく来たんだから何処かには挑戦しておきたい所だが。人気が高いのは格上コースか)

 人の並びから、そう当たりを付ける。恐らく程よい程度に調整された格上のモンスターがバンバン来るんだろう。だからスキルのレベル上げには最適だし、ドロップ品も期待できる。そして集めた物で新しい装備を作るなり売り払ってお金にするなりして買いたい物のために貯蓄するなりするって所か。

 逆に一番人気が無いのは罠エリアだ。これは〈盗賊〉系のスキルが無いと旨みが全然ないものな。でも逆に〈盗賊〉スキルがあれば、スキルあげやお宝に期待できる場所かも……何らかのメリットは用意しているはずだ。ただきつくて、うまみも無いダンジョンなんて基本的に人気でないし。他は大体同じぐらいか。ダンジョンマスターへの道は除外、あそこだけは全く人が居ない。伊達に最強、いやククちゃんの言葉のニュアンスは最凶か最狂だったな。そう言った難易度を誇るってだけはある。──ここから去る前にちょっと挑んでみるのも悪くないかも。

(とりあえず、今日は人気のない罠エリアに行ってみるか。近頃罠解除にあまり関わってこなかったから、鍛え直すいい機会だ)

 ──長蛇の列ができている所に行きたくないだけとも言う。まあ夏や冬の聖戦に出かけられる方は慣れているかもしれないが、自分はちょっとな。レモンティーも飲み干した所で、ダンジョンの入り口に向かう。並んでいる人はいないため、すぐに入場。この罠のダンジョンは、地下三十階が最終ゴールとなっているらしい。以前と同じように十階と二十階にはそこからスタートできる中間地点もある。──という説明がボードに書いてあった。そしてボードの先からがダンジョンとなるらしい。早速罠の有無を確認すると……

(おおう、これは見事に罠だらけ。地面はもちろん天井や壁に至るまで罠がびっしりときましたか。これは全部解除していたら時間がいくらあっても足りない所だが……罠解除の腕を磨き直すために片っ端からやっつけていくか。此処を立ち去る前に三十階へ到達できればいいから、その辺は今後を見据えた上で調整かな)

 周囲にモンスターの反応はないので、罠の解除に集中する。罠の解除難易度は見事にバラバラで、更に罠の内容と噛みあってない事も多かった。例えば、天井が落ちてきて即死を狙う罠があったとする。こういった罠は大抵解除しにくい難易度になっている事が多い。その逆で、罠を起動しても小さな石ころが数個飛んでくる程度の瀕死でもなきゃ問題にすらならない罠というのは簡単に解除できる難易度になっている事が多い。これが今までのダンジョンに設置されている罠の方向性だった。

 ところがこのダンジョンはそう言った今までの方向性を完全に無視している。危険な罠があっさり解除できるのに、簡単な罠の解除に数分以上かかったりする。もちろん危険な罠が解除困難になっているパターンもあったが、どうにも調子が狂う。罠の解除難易度だけで罠の危険性を判断するんじゃない、というダンジョンマスターからの教えなのかもしれないが……やっぱり個人的は危険な罠こそ、解除が難しい物であると言う考えがあるので違和感が拭えない。

 罠を片っ端から解除しながら進み、ようやく地下二階に降りる階段を見つけたんだが、ここまで来るのに一時間半ほどかかっていた。先に進みたいときは罠を発見しながら基本的にはスルーして、どうしても解除しなければいけない罠のみを解除していくと言うやり方を取る事になるだろう。今日は罠解除の腕を磨き直すことが目的だったのでこれで良し、なのだが。後は入り口まで戻ってログアウトかね。罠の復活速度も図りつつ戻る事としよう。

(うーん、罠の復活速度はかなり遅いのかな。あっさり戻ってこれちゃったが)

 ダンジョンから出て来て、今度はミルクティーを飲みながらさっきまでいた罠のダンジョンの事を考える。きちんと罠を警戒しながら帰り道を進んだのだが、行きに解除した罠はすべて解除された状態のままとなっており、かなり拍子抜けした。数分で再び罠が掛かり直すと予想していただけに。楽でよかったと言えばよかったが。

(ま、明日からしばらく潜ってみて様子を見よう。経験も積めたし、スキルもレベルが上がってる。何回もやってみる価値は十分にある)

 最近は戦う事ばっかりでこういう技術系スキルの出番がかなり少なかったから、これを良い機会と捉えよう。ここらで少し腰を据えて罠と対峙するのも悪くない。いざってときにやり方を忘れてましたー何てお間抜けさんじゃ済まないからねぇ。


スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・限定師範代候補)Lv42  百里眼Lv40 技量の指Lv72↑ 2UP! 小盾Lv42  蛇剣武術身体能力強化 Lv18 ダーク・スラッシャー Lv9 義賊頭 Lv63 ↑3UP! 隠蔽・改 Lv7 妖精招来Lv22 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv4  偶像の魔王 Lv3

控えスキル

木工の経験者Lv14 上級薬剤Lv49  釣り LOST!  医食同源料理人 Lv14 NEW! 鍛冶の経験者LV31  人魚泳法Lv10

ExP 23

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人 魔王の代理人 人族半分辞めました 闇の盟友 魔王領の知られざる救世主  無謀者 魔王の真実を知る魔王外の存在  天を穿つ者  魔王領名誉貴族 

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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