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第1章 その婚約、本当に必要ですか?
第17話 腹黒令嬢と専属侍女part2
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「私ってそんなに信用ならない女に見えるのかしら?」
エーリックが帰った後、四阿に戻ったウェルシェが愚痴をこぼした。
「いきなりどうしたんです?」
敬愛する主人の為にお茶を注いでいたカミラはその愚痴の意味を測りかねた。
「さっきのエーリック様の話よ」
「もしかして、お嬢様が他の男に心移りするってやつですか?」
それよとウェルシェは不満そうに口を尖らせる。
こんな態度は年相応に可愛いなとカミラは思う。
「確かに私は利益重視の女よ……でも、結んだ婚約を軽々に破棄するほど不義理な女じゃないわよ?」
「お嬢様、恋愛は義理人情ではありませんよ?」
意外と男女の機微に疎い主人をカミラは意外に思った。
「お嬢様は猫を被っていれば理想の令嬢なのです」
「何よぉ、素の私には魅力が無いって言うの?」
「魅力はございますが、理想ではありませんよね?」
ぷぅっと不貞腐れる主人が可愛くて、カミラは心の中でじたばた悶えた。だが、出来る侍女は完全無表情。おくびにも態度に出さない。
「擬態中のお嬢様を前にすれば男なんてイチコロなんです」
「なんだかカミラは一言余計なのよね」
ぶつぶつ文句を垂れているウェルシェだが、彼女の外見は控え目に言っても絶世の美少女。ウェルシェが学園へ行けば子息達がちょっかいを掛けるのは間違いないとカミラは思う。
「だから、エーリック様が不安になる男心を分かって差し上げてください」
「私はずっとエーリック様が良いって言っているのに何を不安になるのよ?」
大人さえ手玉に取る美少女もまだまだ経験不足なようだ。
カミラは色恋沙汰に疎い主人に対して苦笑いを浮かべた。
「学園には多数の殿方が集まります」
「まあ、国中の貴族子弟が通うものね」
「そんな中にはとても素敵な男性がおられるでしょうから、お嬢様が心動かされないか殿下は心配なさっておいでなのですよ」
この男心わからないかなぁっとカミラは思うのだが、ウェルシェはいよいよぷぅっと頬を膨らませた。
「だ・か・らぁ、どんな殿方がいてもエーリック様以外はお呼びじゃないわ」
いつも利益と理屈を重視するウェルシェには恋愛の機微がどうにもピンとこないようである。
「恋は自然と落ちるものですから」
「私は敗残者になるつもりはないわよ?」
「はぁ?」
エーリックの代わりに男心と恋愛の機微を説明していたカミラであったが、ウェルシェより意味不明な答えが返ってきて思考がフリーズしたのだった。
エーリックが帰った後、四阿に戻ったウェルシェが愚痴をこぼした。
「いきなりどうしたんです?」
敬愛する主人の為にお茶を注いでいたカミラはその愚痴の意味を測りかねた。
「さっきのエーリック様の話よ」
「もしかして、お嬢様が他の男に心移りするってやつですか?」
それよとウェルシェは不満そうに口を尖らせる。
こんな態度は年相応に可愛いなとカミラは思う。
「確かに私は利益重視の女よ……でも、結んだ婚約を軽々に破棄するほど不義理な女じゃないわよ?」
「お嬢様、恋愛は義理人情ではありませんよ?」
意外と男女の機微に疎い主人をカミラは意外に思った。
「お嬢様は猫を被っていれば理想の令嬢なのです」
「何よぉ、素の私には魅力が無いって言うの?」
「魅力はございますが、理想ではありませんよね?」
ぷぅっと不貞腐れる主人が可愛くて、カミラは心の中でじたばた悶えた。だが、出来る侍女は完全無表情。おくびにも態度に出さない。
「擬態中のお嬢様を前にすれば男なんてイチコロなんです」
「なんだかカミラは一言余計なのよね」
ぶつぶつ文句を垂れているウェルシェだが、彼女の外見は控え目に言っても絶世の美少女。ウェルシェが学園へ行けば子息達がちょっかいを掛けるのは間違いないとカミラは思う。
「だから、エーリック様が不安になる男心を分かって差し上げてください」
「私はずっとエーリック様が良いって言っているのに何を不安になるのよ?」
大人さえ手玉に取る美少女もまだまだ経験不足なようだ。
カミラは色恋沙汰に疎い主人に対して苦笑いを浮かべた。
「学園には多数の殿方が集まります」
「まあ、国中の貴族子弟が通うものね」
「そんな中にはとても素敵な男性がおられるでしょうから、お嬢様が心動かされないか殿下は心配なさっておいでなのですよ」
この男心わからないかなぁっとカミラは思うのだが、ウェルシェはいよいよぷぅっと頬を膨らませた。
「だ・か・らぁ、どんな殿方がいてもエーリック様以外はお呼びじゃないわ」
いつも利益と理屈を重視するウェルシェには恋愛の機微がどうにもピンとこないようである。
「恋は自然と落ちるものですから」
「私は敗残者になるつもりはないわよ?」
「はぁ?」
エーリックの代わりに男心と恋愛の機微を説明していたカミラであったが、ウェルシェより意味不明な答えが返ってきて思考がフリーズしたのだった。
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