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第4章 その世界、本当に乙女ゲームですか?
閑話アイリス④ 我が生涯に一片の悔いなし!①
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「よっしゃーッ!」
わが生涯に一片の悔いなし!!――とばかりにアイリスは右拳を天に突き上げた。
「『雪薔薇の指輪』ゲットォ!」
突き上げた拳の指がキラリと光る。その輝きは白き薔薇のレリーフを施した指輪。
「ゲームのお約束を理解しないクソ教師に取り上げられそうになって焦ったけど……」
あの日、新たな発見のあった場所で考古学教師はアイリスから雪薔薇の指輪を取り上げようとした。遺跡で出土した発掘品なのだから当然なのだが、アイリスの視点では自分の物を取り上げようとする蛮行である。
なんとか死守したのだが、揉めている間にエーリックが姿を消していた。彼はこれ幸いとウェルシェの元へと馳せ参じたのである。
アイリスからすれば敵に塩を送ったのと同じだ。だから、考古学教師に恨みを抱くのは無理からぬこと、とアイリスは思っている。
「まあ、いいわ」
自分の指にはまる雪薔薇の指輪をうっとり眺めてアイリスは不気味に笑う。
「悪役令嬢どもにはさんざん脅されたけど……ざまぁ、これで立場は逆転よ!」
修学旅行ではゲームと同じように雪薔薇の指輪を手に入れられたし、薔薇の間の隠し通路も無事出現した。
これでイベントのフラグが立ったのである。
やっぱり、ここはゲームの中の世界なのだ。
「これでイベント『雪薔薇の女王』の発生条件は揃ったわ」
今後のイベント進行と解決の為の雪薔薇の指輪もアイリスが所持している。
「ゲームの設定通り遺跡調査隊が組まれて、ルインズには墓場ドロボー達が集まってるって話だし……これならきっとイベントは発生するわ」
現在、ルインズには急遽警備の兵が送られているが、それ以上に新たな遺跡で一攫千金を狙う者が続々と集まっている。彼らは夢と浪漫を求めて危険な遺跡に挑む冒険家だ。法を破って遺跡に潜り込むのは決して不埒な欲望の為ではない……たぶん?
なんにせよ、現在ルインズには身元不詳のならず者が溢れかえっている。そのせいで治安が現在進行形で悪化しており、王都から送った警備兵だけでは手が回らなくなるのも時間の問題だ。
「警備が手薄になった遺跡に遺跡ドロボーが侵入すればアイツが復活よ」
アイツ――故ロゼンヴァイス王国を極寒地獄へと変えた雪薔薇の女王。
それがアイリスの真の目的だった。
わが生涯に一片の悔いなし!!――とばかりにアイリスは右拳を天に突き上げた。
「『雪薔薇の指輪』ゲットォ!」
突き上げた拳の指がキラリと光る。その輝きは白き薔薇のレリーフを施した指輪。
「ゲームのお約束を理解しないクソ教師に取り上げられそうになって焦ったけど……」
あの日、新たな発見のあった場所で考古学教師はアイリスから雪薔薇の指輪を取り上げようとした。遺跡で出土した発掘品なのだから当然なのだが、アイリスの視点では自分の物を取り上げようとする蛮行である。
なんとか死守したのだが、揉めている間にエーリックが姿を消していた。彼はこれ幸いとウェルシェの元へと馳せ参じたのである。
アイリスからすれば敵に塩を送ったのと同じだ。だから、考古学教師に恨みを抱くのは無理からぬこと、とアイリスは思っている。
「まあ、いいわ」
自分の指にはまる雪薔薇の指輪をうっとり眺めてアイリスは不気味に笑う。
「悪役令嬢どもにはさんざん脅されたけど……ざまぁ、これで立場は逆転よ!」
修学旅行ではゲームと同じように雪薔薇の指輪を手に入れられたし、薔薇の間の隠し通路も無事出現した。
これでイベントのフラグが立ったのである。
やっぱり、ここはゲームの中の世界なのだ。
「これでイベント『雪薔薇の女王』の発生条件は揃ったわ」
今後のイベント進行と解決の為の雪薔薇の指輪もアイリスが所持している。
「ゲームの設定通り遺跡調査隊が組まれて、ルインズには墓場ドロボー達が集まってるって話だし……これならきっとイベントは発生するわ」
現在、ルインズには急遽警備の兵が送られているが、それ以上に新たな遺跡で一攫千金を狙う者が続々と集まっている。彼らは夢と浪漫を求めて危険な遺跡に挑む冒険家だ。法を破って遺跡に潜り込むのは決して不埒な欲望の為ではない……たぶん?
なんにせよ、現在ルインズには身元不詳のならず者が溢れかえっている。そのせいで治安が現在進行形で悪化しており、王都から送った警備兵だけでは手が回らなくなるのも時間の問題だ。
「警備が手薄になった遺跡に遺跡ドロボーが侵入すればアイツが復活よ」
アイツ――故ロゼンヴァイス王国を極寒地獄へと変えた雪薔薇の女王。
それがアイリスの真の目的だった。
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