あなたのお嫁さんになりたいです!~そのザマァ、本当に必要ですか?~

古芭白あきら

文字の大きさ
265 / 317
第7章 その準決勝、ただの兄弟喧嘩じゃないですか?

第84話 その王様、完全に尻に敷かれてませんか?①

しおりを挟む
「このままだと君の息子オーウェンを廃嫡しなければならなくなるんだぞ?」

 オーウェンはオルメリアが腹を痛めて生んだ子である。その実の息子から王位継承権を母の手で奪わなければならない。それは身を切るような痛みを伴う決断だ。

 それだけではない。もしエーリックが立太子すればエレオノーラが国母となる。そうなればオルメリアは王妃の座をエレオノーラに譲らねばならない。

「別に良いんじゃない?」

 だが、当のオルメリアはあっさりと言って退けた。その態度は実にサバサバしたものだ。

「だって、私もともと王妃になりたかったわけじゃないしぃ」

 それもそのはず、オルメリアはもともと王妃になる予定はなかったし、そのつもりも微塵も無かったのだからだ。

「と言うより、あなたと結婚するつもり無かったしぃ」
「うぐっ!」

 愛妻にぶっちゃけられ、ワイゼンは顔が引き攣つらせて胸を押さえた。この話題はワイゼンにとってのアキレス腱なのである。

「あなたがどぉしても私に結婚してくれって、土下座してお願いするからしぶしぶ受けたのよ?」
「そ、それは、君が、その……気心が知れていると言うか、安心できるからと言うか……」
「そりゃ、まあ私達って幼い頃からの付き合いだしね」
「そ、そうだろ?」

 うんうんと頷く夫に、オルメリアはしらーっとした目を向けた。

「だけど、私達ってほとんど兄妹みたいなものだったじゃない?」

 実はこの二人、従兄妹であった。

 良く見れば金髪碧眼と特徴や容姿も似ている。並んで立つと夫婦というより仲の良い兄妹みたいだ。

 オルメリアの父であるオドラン公爵はワイゼンの叔父にあたる。ワイゼンの父である前国王とその弟のオドラン公爵の仲は良好で、ワイゼンとオルメリアも自然と兄妹のように育った。まあ、いわゆる幼馴染みである。

「なんか兄と結婚するみたいで恋愛のトキメキみたいなの無かったのよねぇ」

 仲が良いを通り越して完全に腐れ縁。オルメリアも少女時代はそれなりに恋に恋してみたかったのは否めない。

「そうは言うが君だって変な男より私に捕まった方が幸せだったろ?」
「まあ、悪くはなかったわね」

 肩を竦めて同意するオルメリアに、だろだろと食い気味に反応するワイゼンは少しホッとした。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる

千環
恋愛
 第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。  なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

悪役令嬢は断罪の舞台で笑う

由香
恋愛
婚約破棄の夜、「悪女」と断罪された侯爵令嬢セレーナ。 しかし涙を流す代わりに、彼女は微笑んだ――「舞台は整いましたわ」と。 聖女と呼ばれる平民の少女ミリア。 だがその奇跡は偽りに満ち、王国全体が虚構に踊らされていた。 追放されたセレーナは、裏社会を動かす商会と密偵網を解放。 冷徹な頭脳で王国を裏から掌握し、真実の舞台へと誘う。 そして戴冠式の夜、黒衣の令嬢が玉座の前に現れる――。 暴かれる真実。崩壊する虚構。 “悪女”の微笑が、すべての終幕を告げる。

ヒロインはモブの父親を攻略したみたいですけど認められません。

haru.
恋愛
「貴様との婚約は破棄だ!!!私はここにいる愛するルーチェと婚約を結ぶ!」 怒鳴り声を撒き散らす王子様や側近達、無表情でそれを見つめる婚約者の令嬢そして、王子様の側には涙目の令嬢。 これは王家の主催の夜会での騒動・・・ 周囲の者達は何が起きているのか、わからずに行く末を見守る・・・そんな中、夜会の会場の隅で・・・ (うわぁ~、これが乙女ゲームのクライマックス?!)と浮かれている令嬢がいた。 「違いますっ!!!! 私には他に愛する人がいます。王子様とは婚約は出来ません!」 今まで涙目で王子様の隣で大人しくしていた令嬢が突然叫び声をあげて、王子様から離れた。 会場にいた全員が、(今さら何を言ってるんだ、こいつ・・・)と思っていたその時、 「殿下っ!!! 今の言葉は誠でございますっ!ルーチェは私と婚姻いたします。どうかお許しください!」 会場にいた者達を掻き分けながら、やって来た男が叫び、令嬢を抱き締めた! (何か凄い展開になってきたな~)と眺めていたら・・・ (ん?・・・何か見覚えのある顔・・・あ、あれ?うそでしょ・・・な、なんでそこにいるの?お父様ぁぁぁぁ。) これは乙女ゲームから誰も気づかない内にヒロインがフェードアウトしていて、自分の父親が攻略されてしまった令嬢(モブ)の物語である。 (・・・・・・えっ。自分の父親が娘と同い年の女の子を娶るの?・・・え?え?ごめんなさい。悪いけど・・・本当申し訳ないけど・・・認められるかぁぁぁぁ!) 本編・ー番外編ーヴィオレット*隣国編*共に完結致しました。

処理中です...