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第8章 その大会、本当にクライマックスですか?
第93話 その勝負、いよいよ決着ですか?②
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「全く見下げ果てた男だよ……君は!」
――ヒュンッ!
声と共にトレヴィルが払った剣は弧を描いて再びエーリックへと襲いかかる。
「気取って!」
――キンッ!
トレヴィルの剣に勢いがつく前に、エーリックは一歩踏み込み剣の根本で受けた。
「そうやってカッコつけて泥を被れないから、あなたは何もかも一所懸命になれないんだよ」
「分かった風な事をッ!」
「分かるさ」
――ガキーーーンッ!!
体ごとぶつかり合うように二人は再び剣を交え、激しい鍔迫り合いを始めた。
「だから、あなたは他人の努力を嘲っているんでしょ?」
「黙れ、エーリック!」
「やっぱり図星なんだ」
「黙れと言っている!」
トレヴィルは力任せに剣を押し込み、僅かに怯んだエーリックの剣を上へと弾く。
「めんどくさい奴、もういい速攻で勝負をつけてやる!」
「くッ!」
無理やり作った隙にトレヴィルはねじ込むように曲刀を突き出す。エーリックは後方へステップを踏んでかわした。
「わっ、たっ、とっ!?」
が、トレヴィルは更に深く踏み込んで細かく曲刀で突きを繰り出してくる。それらをエーリックはぎりで避け、剣で受け、なんとか持ち堪えた。
「ちっ、しぶとい」
「まだだ、まだ終わらないよ!」
二人の王子の戦いは激しさを増していく。
「負けるわけにはいかない……ウェルシェと同じクラスになる為に!」
「そんな下らない理由でよくも……いい加減、落ちろ蚊とんぼ!」
トレヴィルが激烈な一撃を振り下ろす。だが、苛立ちからか今までと異なり、それは力強いが精密さに欠けた斬撃。剣身に僅かなブレが生じていたのだ。
(好機!)
軸のブレた剣筋は力の方向を御しやすい。エーリックの直剣がトレヴィルの曲刀を軽く受け止めながら、勢いはそのままに横へと滑らせた。
奇跡よ再び!
これぞ運命の女神の計らい。
トレヴィルは大きく体勢を崩してエーリックの横を通り過ぎていく。そして、そのまま地へ転がった。
エーリックはトレヴィルの転んだ先へと体を向けると剣を振りかぶる。トレヴィルは片手を床につき、まだ起き上がれない。
「取った!」
この瞬間、会場の誰もがエーリックの勝利を疑わなかった。
だが……
エーリックがトレヴィルに向かって足を踏み込む――ボコンッ!
「えっ!?」
ほんの僅かだが足元の床が隆起した。
(これは兄上の時と同じ!?)
それはオーウェンとの対戦で起きた現象と全く同じ。
それは体勢を崩す程ではなかったが、エーリックの剣を鈍らせるには十分だった。その刹那の間隙をついてトレヴィルが下から曲刀を斬り上げる。
「エーーーリックゥゥゥ!!」
「くッ!」
トレヴィルの咆哮がほとばしる。
一瞬遅れてエーリックも剣を撃ち下ろし、剣と剣とが二人の間で激突した。
――ガキーーーンッ!
そして、一振りの剣がクルクルと宙を舞ったのだった。
――ヒュンッ!
声と共にトレヴィルが払った剣は弧を描いて再びエーリックへと襲いかかる。
「気取って!」
――キンッ!
トレヴィルの剣に勢いがつく前に、エーリックは一歩踏み込み剣の根本で受けた。
「そうやってカッコつけて泥を被れないから、あなたは何もかも一所懸命になれないんだよ」
「分かった風な事をッ!」
「分かるさ」
――ガキーーーンッ!!
体ごとぶつかり合うように二人は再び剣を交え、激しい鍔迫り合いを始めた。
「だから、あなたは他人の努力を嘲っているんでしょ?」
「黙れ、エーリック!」
「やっぱり図星なんだ」
「黙れと言っている!」
トレヴィルは力任せに剣を押し込み、僅かに怯んだエーリックの剣を上へと弾く。
「めんどくさい奴、もういい速攻で勝負をつけてやる!」
「くッ!」
無理やり作った隙にトレヴィルはねじ込むように曲刀を突き出す。エーリックは後方へステップを踏んでかわした。
「わっ、たっ、とっ!?」
が、トレヴィルは更に深く踏み込んで細かく曲刀で突きを繰り出してくる。それらをエーリックはぎりで避け、剣で受け、なんとか持ち堪えた。
「ちっ、しぶとい」
「まだだ、まだ終わらないよ!」
二人の王子の戦いは激しさを増していく。
「負けるわけにはいかない……ウェルシェと同じクラスになる為に!」
「そんな下らない理由でよくも……いい加減、落ちろ蚊とんぼ!」
トレヴィルが激烈な一撃を振り下ろす。だが、苛立ちからか今までと異なり、それは力強いが精密さに欠けた斬撃。剣身に僅かなブレが生じていたのだ。
(好機!)
軸のブレた剣筋は力の方向を御しやすい。エーリックの直剣がトレヴィルの曲刀を軽く受け止めながら、勢いはそのままに横へと滑らせた。
奇跡よ再び!
これぞ運命の女神の計らい。
トレヴィルは大きく体勢を崩してエーリックの横を通り過ぎていく。そして、そのまま地へ転がった。
エーリックはトレヴィルの転んだ先へと体を向けると剣を振りかぶる。トレヴィルは片手を床につき、まだ起き上がれない。
「取った!」
この瞬間、会場の誰もがエーリックの勝利を疑わなかった。
だが……
エーリックがトレヴィルに向かって足を踏み込む――ボコンッ!
「えっ!?」
ほんの僅かだが足元の床が隆起した。
(これは兄上の時と同じ!?)
それはオーウェンとの対戦で起きた現象と全く同じ。
それは体勢を崩す程ではなかったが、エーリックの剣を鈍らせるには十分だった。その刹那の間隙をついてトレヴィルが下から曲刀を斬り上げる。
「エーーーリックゥゥゥ!!」
「くッ!」
トレヴィルの咆哮がほとばしる。
一瞬遅れてエーリックも剣を撃ち下ろし、剣と剣とが二人の間で激突した。
――ガキーーーンッ!
そして、一振りの剣がクルクルと宙を舞ったのだった。
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