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第8章 その大会、本当にクライマックスですか?
第99話 そのヒロイン、ベーコンレタスが大好物だったんですか?①
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「い……や……エーリック……様……」
顎を持ち上げられたウェルシェは何故か上手く抵抗できない。
「忘れてしまえ……エーリックの事なんて全部……」
「ダ……メ……」
トレヴィルの唇が近づく。
(嫌、嫌、嫌、嫌、こんなの嫌ぁぁぁ!)
頭では駄目だ、嫌だ、と判断している。だが、どうしてだか身体が言う事を聞いてくれない。
「俺だけを見ろよ」
「ト、トレ……ヴィル……様」
ウェルシェの中のエーリックへの想いが、トレヴィルにドス黒く染められていく。
(もうダメーーーッ!!!)
覆い被さるようにトレヴィルの顔が迫る。腕で撥ね除ける事も顔を背ける事もできず、ウェルシェはギュッと目を瞑った。
ウェルシェの唇がトレヴィルの唇に穢される、と思ったその瞬間――
「ああーーーーーッ!!!」
つんざくような叫び声が闘技場に響き渡った。
「こんのぉッ! また抜けがけしてぇ!!」
会場にいた全ての者の視線がその貫くような喚き声に集中する。
「トレヴィルはレアな隠れキャラなのよ。ヒロインである私が攻略するんだからぁ!」
「ア、アイリス様!?」
そこには眉を吊り上げ凄まじい形相のアイリスがプンプンと全身で怒りを露わにしていた。
「なにこんなとこでイチャイチャ抱き合ってんのよ!」
「えっ?……あっ、なっ……」
アイリスの声がきっかけでウェルシェはまるで呪縛が解けたように思考がクリアになり、硬直していた体が思考とリンクし始めた。
「いっ、いっ……」
そして、トレヴィルに抱き締められている嫌悪感がふつふつと湧き上がる。
「いっ、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
――ドガシッ!!!
「ゔげッ!?」
中国の山奥にある大瀑布さえも逆流させそうなウェルシェの右アッパーがトレヴィルの顎に炸裂!
無防備な顎にもろ入った強烈な一撃に、トレヴィルはカエルが潰されたような短い悲鳴を上げ吹き飛んだ。
「私に何してくれてんですか!」
トレヴィルに迫られた嫌悪感、勝手な事をほざくトレヴィルに言い返せなかった悔しさ、そしていいようにされていた自分への怒り……
先程までトレヴィル一色にされかけていたウェルシェの胸に様々な感情が一気に爆発した。
(こんなの一時の気の迷いよ。そうよ、私がこんなスケコマシに……)
もっとも嫌うはずの人種に抱き締められ、あまつさえキスまでされそうになった。こんなのはウェルシェには受け入れ難い事実だ。
(私がエーリック様以外の殿方に……って、エーリック様!?)
その時になってウェルシェはこの場が大衆の面前であり、当然その中には愛する婚約者がいる事に思いいたった。
顎を持ち上げられたウェルシェは何故か上手く抵抗できない。
「忘れてしまえ……エーリックの事なんて全部……」
「ダ……メ……」
トレヴィルの唇が近づく。
(嫌、嫌、嫌、嫌、こんなの嫌ぁぁぁ!)
頭では駄目だ、嫌だ、と判断している。だが、どうしてだか身体が言う事を聞いてくれない。
「俺だけを見ろよ」
「ト、トレ……ヴィル……様」
ウェルシェの中のエーリックへの想いが、トレヴィルにドス黒く染められていく。
(もうダメーーーッ!!!)
覆い被さるようにトレヴィルの顔が迫る。腕で撥ね除ける事も顔を背ける事もできず、ウェルシェはギュッと目を瞑った。
ウェルシェの唇がトレヴィルの唇に穢される、と思ったその瞬間――
「ああーーーーーッ!!!」
つんざくような叫び声が闘技場に響き渡った。
「こんのぉッ! また抜けがけしてぇ!!」
会場にいた全ての者の視線がその貫くような喚き声に集中する。
「トレヴィルはレアな隠れキャラなのよ。ヒロインである私が攻略するんだからぁ!」
「ア、アイリス様!?」
そこには眉を吊り上げ凄まじい形相のアイリスがプンプンと全身で怒りを露わにしていた。
「なにこんなとこでイチャイチャ抱き合ってんのよ!」
「えっ?……あっ、なっ……」
アイリスの声がきっかけでウェルシェはまるで呪縛が解けたように思考がクリアになり、硬直していた体が思考とリンクし始めた。
「いっ、いっ……」
そして、トレヴィルに抱き締められている嫌悪感がふつふつと湧き上がる。
「いっ、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
――ドガシッ!!!
「ゔげッ!?」
中国の山奥にある大瀑布さえも逆流させそうなウェルシェの右アッパーがトレヴィルの顎に炸裂!
無防備な顎にもろ入った強烈な一撃に、トレヴィルはカエルが潰されたような短い悲鳴を上げ吹き飛んだ。
「私に何してくれてんですか!」
トレヴィルに迫られた嫌悪感、勝手な事をほざくトレヴィルに言い返せなかった悔しさ、そしていいようにされていた自分への怒り……
先程までトレヴィル一色にされかけていたウェルシェの胸に様々な感情が一気に爆発した。
(こんなの一時の気の迷いよ。そうよ、私がこんなスケコマシに……)
もっとも嫌うはずの人種に抱き締められ、あまつさえキスまでされそうになった。こんなのはウェルシェには受け入れ難い事実だ。
(私がエーリック様以外の殿方に……って、エーリック様!?)
その時になってウェルシェはこの場が大衆の面前であり、当然その中には愛する婚約者がいる事に思いいたった。
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