あなたのお嫁さんになりたいです!~そのザマァ、本当に必要ですか?~

古芭白あきら

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間章 水面下で動く者たち

閑話アキ先生の考古学教室② 教えてアキ先生!②

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「まあまあ、彼女のおかげで新たな遺跡を発見できたわけですし」
「そうそう、まだ指輪と遺跡に関係性があると決まったわけでもありません」
「さささっ、今は遺跡の内部調査を優先しましょうよ」

 助手達は取り敢えず注意を遺跡へとずらそうと、アキを誘導した。

「むっ、確かにそちらが急務だな」

 実はアキ・オーロジー29才、彼女は少々焦っていた。遺跡が発見されてからもう一ヶ月以上経つのに調査が遅々として進んでいないのだ。

「このままでは学会の老害どもから横槍が入りかねん」

 王座の下に出現した階段を見下ろしていたアキの眉間に皺が寄り、冷たいまでに整った顔が歪む。助手達も並んで階段の奥へと目を向けた。

「ですが、階段の下には幾つか石室があるだけ」
「隅々まで調べても大したものはありませんでした」
「何か仕掛けがあるのでしょうか?」

 アキ達はランタンを手に闇を裂きながら階段を降りる。

 下は大人が数人入れる程度の立方体の石室。階段を降りた真っ正面には唯一の出入り口があり、通路へと通じていた。そこを進めばすぐに似たような立方体の石室へと出る。

「やはり、この壁一面のレリーフが怪しいな」

 幾つかの石室を通過すると最後に大きな石室に出るのだが、他の石室と異なり四方の壁にレリーフが施されていた。

「右の壁には月と砂漠のレリーフ」
「左のレリーフは氷と雪のレリーフ」
「そして、我々が入ってきた入口の上には太陽のレリーフ」

 助手がそれぞれの壁に目を向ける。
 そして、アキは真正面を見上げた。

「前面の壁には薔薇のレリーフ」

 その薔薇はアイリスが見つけた指輪の刻印をアキに思い起こさせた。

「なあ、お前達はこの壁画から何を連想する?」
「それはやはり『雪薔薇の女王』ではないでしょうか?」
「ですね。薔薇は言うまでもなく雪薔薇の女王そのものです」
「月と砂漠はトリナ王国の象徴です。カルミア王国がトリナ王国の前身であるとの説の裏付けになるかもしれませんね」

 助手達が次々に述べる考えにアキは大きく頷いた。

「左の壁画は雪と氷に閉ざされたロゼンヴァイス王国の末路だろう」
「ええ、後ろの太陽は我がマルトニア王国を表していると見ていいでしょう」

 童話では雪薔薇の女王の暴走でロゼンヴァイスは滅亡し、カルミアも大打撃を受けて国力を落としている。そこにマルトニア王国の開祖が雪薔薇の女王を封じ、この地に再び太陽をもたらしたとある。
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