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間章 水面下で動く者たち
閑話アキ先生の考古学教室③ 教えてアキ先生!③
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「やりましたねオーロジー先生!」
「あの童話は真実であるとの先生の説が正しかったと証明できます」
「学会では散々バカにされましたが、これで頭の固いヤツらも受け入れる他ないでしょう」
自説が学会で認められず、アキも講義では童話と史実は別だと語らねばならなかった。本当はいつも童話と史実には密接な関係があると言いたかったのにだ。
「生徒達に虚栄で塗り固められた嘘を真実として語る度に、私ははらわたが煮えくりかえる思いだった」
「心中お察し致します」
「この発見は私の学説の方こそ真実であるとの証左となるだろう」
「おめでとうございます」
「だが、まだ証拠としては弱い」
アキとしては決定的な証拠が欲しい。しかし、石室にはもはや他に手掛かりになりそうなものはなかった。
「私の読みでは童話で語られた雪薔薇の女王を封じた場所はこの石室だ」
広い石室をツカツカとアキは歩き回る。それを助手達は息を殺して見守った。
「絶対どこかに隠し扉があるはずなんだ」
「ですが、どこにも怪しいところはないですよ?」
「やはり、あのメスガキが持ち逃げした指輪が必要なんじゃないのか?」
返す返すも腹ただしい。
「ところで、オーロジー先生」
「なんだ助手Aよ」
「雪薔薇の女王の封印を暴いてしまうのは拙くないですかね?」
「あっ、それ俺も思った」
助手Aの疑問に隣の太っちょの助手が同意した。
「どういう事だ助手Bよ」
「つまりですね、雪薔薇の女王を復活させたら童話と同じようにマルトニアが氷漬けにされるかもしれないじゃないですか」
助手Bの推測に更に隣のガリガリの助手が身震いする。
「ナニソレ恐ッ!?」
「ふっ、恐れる事はないぞ助手Cよ」
「ほ、本当ですか?」
「童話が創作されたのは今から二百年以上前。その時は既に昔話なんだ。つまり、雪薔薇の女王が封印されたのは二百年よりも遥か以前だ」
雪薔薇の女王の作者は不明だが、アキは最低でも二百年前には今の原型が広まっていたと考えている。
「そんな大昔の人物が生きていると思うか?」
「なるほど!」
「そうですよね」
「普通の人間ならとっくに天国へ行ってますよねぇ」
アキの完璧な理論武装にA、B、Cも一安心だ。
と、その時……
――がんがん、どんがん……
左の壁画の奥から物を打ちつけるような大きな音が響いてきたのだった。
「あの童話は真実であるとの先生の説が正しかったと証明できます」
「学会では散々バカにされましたが、これで頭の固いヤツらも受け入れる他ないでしょう」
自説が学会で認められず、アキも講義では童話と史実は別だと語らねばならなかった。本当はいつも童話と史実には密接な関係があると言いたかったのにだ。
「生徒達に虚栄で塗り固められた嘘を真実として語る度に、私ははらわたが煮えくりかえる思いだった」
「心中お察し致します」
「この発見は私の学説の方こそ真実であるとの証左となるだろう」
「おめでとうございます」
「だが、まだ証拠としては弱い」
アキとしては決定的な証拠が欲しい。しかし、石室にはもはや他に手掛かりになりそうなものはなかった。
「私の読みでは童話で語られた雪薔薇の女王を封じた場所はこの石室だ」
広い石室をツカツカとアキは歩き回る。それを助手達は息を殺して見守った。
「絶対どこかに隠し扉があるはずなんだ」
「ですが、どこにも怪しいところはないですよ?」
「やはり、あのメスガキが持ち逃げした指輪が必要なんじゃないのか?」
返す返すも腹ただしい。
「ところで、オーロジー先生」
「なんだ助手Aよ」
「雪薔薇の女王の封印を暴いてしまうのは拙くないですかね?」
「あっ、それ俺も思った」
助手Aの疑問に隣の太っちょの助手が同意した。
「どういう事だ助手Bよ」
「つまりですね、雪薔薇の女王を復活させたら童話と同じようにマルトニアが氷漬けにされるかもしれないじゃないですか」
助手Bの推測に更に隣のガリガリの助手が身震いする。
「ナニソレ恐ッ!?」
「ふっ、恐れる事はないぞ助手Cよ」
「ほ、本当ですか?」
「童話が創作されたのは今から二百年以上前。その時は既に昔話なんだ。つまり、雪薔薇の女王が封印されたのは二百年よりも遥か以前だ」
雪薔薇の女王の作者は不明だが、アキは最低でも二百年前には今の原型が広まっていたと考えている。
「そんな大昔の人物が生きていると思うか?」
「なるほど!」
「そうですよね」
「普通の人間ならとっくに天国へ行ってますよねぇ」
アキの完璧な理論武装にA、B、Cも一安心だ。
と、その時……
――がんがん、どんがん……
左の壁画の奥から物を打ちつけるような大きな音が響いてきたのだった。
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