あなたのお嫁さんになりたいです!~そのザマァ、本当に必要ですか?~

古芭白あきら

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第9章 その王子様、本当に改心したんですか?

第104話 その腹黒、本当に登校拒否ですか?③

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「お見舞いの必要はなかったみたいね」
「えっ!?」

 一件落着したのを見計らいイーリヤが声をかけると、ウェルシェは慌ててカミラから離れて居住まいを正した。

「イ、イーリヤ、いつからそこに?」
「『私……どうしてあんな真似を……』から」
「最初から!?」

 侍女に泣きついて甘える恥ずかしい姿を全て見られてしまった。ウェルシェはボンッと音が出そうなほど頭に血が上って全身真っ赤になる。

「ううう、もう、声をかけてくれれば良いのにぃ」
「私は気がついておりましたがね」
「だったら教えてよぉ」
「その前にお嬢様が抱きついてこられたんですよ」
「引き剥がせばいいでしょ」
「引き剥がしてもよろしかったので?」

 ウェルシェはチョンッとカミラの袖を掴んで上目使いになる。

「…………良くない」
「はいはい、存じておりました」
「ふふふ、あなた達ってホント羨ましいくらい仲が良いわよね」

 微笑ましい主従にイーリヤはプッと吹き出した。

「もう、イーリヤは私を揶揄いに来たの?」

 バツが悪そうにウェルシェは腕を組んでプイッとそっぽを向いた。

 ウェルシェは日に日に成長し、成熟した美しさを徐々に開花させつつある。将来、間違いなく絶世の美女として国の内外に知られるようになるだろう。だけど、それ以上にウェルシェはどんどん可愛くなっている。

(エーリック殿下に恋をしたせいね)

 恋心がウェルシェを大きく変えてしまった。先程みたいに昔では考えられないくらい弱さを見せてしまっているが、それは成長と共に改善されるだろう。

(それよりも愛らしくなっていくウェルシェの変化は好ましい)

 イーリヤは成長していく友人の恋を応援したい気持ちが強く湧いた。なんだかんだとイーリヤもウェルシェが大好きだ。それくらいウェルシェは魅力的な令嬢になりつつある。

 微笑ましそうな顔でイーリヤからジッと見られ、不思議そうにウェルシェは小首を傾げた。

「イーリヤ?」
「んっ、ああ、ごめんなさい」

 イーリヤは謝罪するとナーレが引いたウェルシェの前の椅子に座る。

「お見舞いに来たのは本当だけど、別にウェルシェの耳に入れておきたい事があってね」
「何かあったの?」
「ええ、あまり良くない報せよ」

 イーリヤがいつになく余裕の無い真剣な表情をするので、悪いニュースなのだろうとはウェルシェも予想した。

「ルインズとの連絡が途絶えたわ」

 しかし、イーリヤのもたらした情報はその予想を遥かに上回るほど最悪なものだった。
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