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第10章 その女王様、王都に接近中なんですか?
第115話 その完璧令嬢、意外と弱点が多くないですか?③
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「元々お菓子作りができないのに、あなたの為にがんばりましたって男の子はグッとくるんじゃないかしら」
あなたの為ってところがポイントよね、と笑うウェルシェはとても嬉しそうだ。きっと既に脳内でエーリックに手作り菓子を渡してキャッキャウフフしているシチュエーションを想像しているにだろう。
「話は分かりました」
カミラは眼鏡の智を軽く持ち上げるとレンズがキラリと光った。
「それでも私はお嬢様をお止めしなければなりません」
「何でよぉ?」
会心の策を否定されてウェルシェは口を尖らせた。
「その作戦には大きな穴がございます」
「上手に作れない事を心配してるの?」
「はい」
「問題ないわ。多少の失敗なら健気な感じがしてプラスだと思うのよ」
「まあ、エーリック殿下ならどんな物でもお嬢様のお手製となれば絶対口になさるでしょう」
エーリックが食べることはカミラも疑っていない。
だが、カミラが問題としているところは全く違う。
「だからこそ止めねばならないのです」
「どうして?」
意外な反論に意味が分からずウェルシェはコテンと首を傾げた。
「グロラッハ家が王家への謀叛を疑われてしまうからです」
「どうして私がお菓子作りしたら謀反になるのよ!」
「お嬢様のお作りになるものはもはや劇薬を通り越して毒薬。あれを口にするには命を懸けねばなりません。あれを振る舞うのは毒殺を企むに等しい行為です」
「はい?」
「お忘れですか?」
目をパチクリさせ全く心当たりの無さそうなウェルシェに、カミラは深いため息を吐いた。
「以前、お嬢様は私の為にとはりきって料理を作られたではありませんか」
「そ、そうだったかしら?」
「あの時、私はお嬢様の手料理に大喜びして一匙だけ口に入れた後……悪心、嘔吐、腹痛、下痢、発汗、頭痛、発熱などなど、地獄の苦しみを味わった後に天国の花畑を見ましたよ」
だんだん目が泳ぎウェルシェが挙動不審になり、カミラは半眼を向けた。
「危うく死ぬところでした」
「そ、そんな大昔の事なんて忘れたわ」
「ほんの三年前の話ですけどね」
ウェルシェはうぐッと令嬢らしからぬうめき声を漏らした。
「いかにお嬢様ラブの私でも、あれは二度と口にすまいと誓いました」
あなたの為ってところがポイントよね、と笑うウェルシェはとても嬉しそうだ。きっと既に脳内でエーリックに手作り菓子を渡してキャッキャウフフしているシチュエーションを想像しているにだろう。
「話は分かりました」
カミラは眼鏡の智を軽く持ち上げるとレンズがキラリと光った。
「それでも私はお嬢様をお止めしなければなりません」
「何でよぉ?」
会心の策を否定されてウェルシェは口を尖らせた。
「その作戦には大きな穴がございます」
「上手に作れない事を心配してるの?」
「はい」
「問題ないわ。多少の失敗なら健気な感じがしてプラスだと思うのよ」
「まあ、エーリック殿下ならどんな物でもお嬢様のお手製となれば絶対口になさるでしょう」
エーリックが食べることはカミラも疑っていない。
だが、カミラが問題としているところは全く違う。
「だからこそ止めねばならないのです」
「どうして?」
意外な反論に意味が分からずウェルシェはコテンと首を傾げた。
「グロラッハ家が王家への謀叛を疑われてしまうからです」
「どうして私がお菓子作りしたら謀反になるのよ!」
「お嬢様のお作りになるものはもはや劇薬を通り越して毒薬。あれを口にするには命を懸けねばなりません。あれを振る舞うのは毒殺を企むに等しい行為です」
「はい?」
「お忘れですか?」
目をパチクリさせ全く心当たりの無さそうなウェルシェに、カミラは深いため息を吐いた。
「以前、お嬢様は私の為にとはりきって料理を作られたではありませんか」
「そ、そうだったかしら?」
「あの時、私はお嬢様の手料理に大喜びして一匙だけ口に入れた後……悪心、嘔吐、腹痛、下痢、発汗、頭痛、発熱などなど、地獄の苦しみを味わった後に天国の花畑を見ましたよ」
だんだん目が泳ぎウェルシェが挙動不審になり、カミラは半眼を向けた。
「危うく死ぬところでした」
「そ、そんな大昔の事なんて忘れたわ」
「ほんの三年前の話ですけどね」
ウェルシェはうぐッと令嬢らしからぬうめき声を漏らした。
「いかにお嬢様ラブの私でも、あれは二度と口にすまいと誓いました」
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